TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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それは、小さくて可愛らしいのだけれど、とても苦手だった。
「アトラスさん! 見てみて! ホラ!」
「向こうでしゃがみ込んで何をしているのかと思ったけど……花だね」
「このシルヴァラントでもまだ花は咲くんだよ!」
はしゃぐジーニアスの向こうではリフィルにロイドが、クラトスにコレットがその花を見せていた。
「アトラスさんはこの花の名前知ってる?」
じっと見ると、様々な記憶がよみがえる。
それは見覚えがあり、心当たりがあり、なおかつ苦い思いが詰まった花であった。
「知ってるよ。……わするな草だね」
決して忘れるな。お前もそれを背負っているのだということを。
脳裏に不意によみがえった声に耳を貸さずに軽く振って追い払う。
「アトラスさん……その言い方、古いよ」
「私はこの響きの方が好きなだけだから」
「ふーん……。ロイドに聞いたら『花は花だろ』って言われるしコレットはコレットで『何とかってお花だよね』」
これだからあの二人は。そんな呟きが聞こえてきそうなジーニアスの動作に思わず笑いがこみ上げる。
笑われたことに不満があるのか頬を膨らませて抗議するようにアトラスを見るジーニアスに、手を振って謝罪を示す。
それが伝わったのか彼は呆れたような表情になるとたくさん咲いているからアトラスにもあげると言って件の花を手渡した。
それに礼を言って受け取るが心中複雑であった。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
リハビリ
[0回]
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星と月がぼんやりと照らす闇夜に浮かぶ桜並木は来た者すべてに感嘆の声を上げさせた。
はしゃぐ神子と白龍を視界の端に留めながら曙未はぼんやりと桜を見上げている九郎の隣に立った。
「九郎殿、今宵は素晴らしいものをありがとうございます」
「……いや、俺も最近皆に会っていなかったからな。つきあってくれてこちらこそ感謝の言葉もない」
そして二人は自然な動作で月を見上げた。
望月になれぬ、十六夜月。
柔らかな風に桜が少しずつ散る様を重ねると、一枚の写し絵のような美しさ。
「曙未。義姉上から何か使いはきたか?」
「……いえ。ですがそろそろ戻ろうと思っております」
「そうか」
「えっ?!曙未さん帰っちゃうんですか?!」
真後ろから聞こえた声に二人とも驚かずに振り返る。気配はもともと分かっていたからそこで望美が聞き耳をたてていたとしても支障はなかったからだ。
無愛想だと自覚している自分になぜここまで構ってもらいたがるのかわからない。
「まだ一緒にやりたいことがたくさんあるんですっ!!」
不思議なほど望美は曙未になついていた。
「手合わせだって、お買い物だってお散歩も……! まだ帰らないでください!」
「それは完全にお前の勝手ではないか」
「でも戻る日は決まってないんですよね?だったら、曙未さんを呼び戻す必要がでてきたら手紙が来ますよ」
「……確かにそうだが…」
九郎が望美に丸め込まれている。
もう少しとどまらないかと言い出すのは時間の問題だろう。
仲がよい二人の様子に曙未は笑みをこぼした。
[0回]

火は水に弱い。水は雷に弱い。雷は岩に弱い。岩は……。
「わっかんねーっ!」
「……私もわかんないや」
「水でいいんじゃねぇのか?」
「そうだなっ!さっすが親父!!」
村の学校で出された宿題に悩んでいたロイドは養父ダイクの一言に飛びついた。
まあ、当てずっぽうでも白紙よりマシだろう。と隣で宿題を覗き込んでいたセフィアは思った。
「それにしても姉貴はずるいよな!」
「何が?」
「学校行かなくてもいいじゃんかよ」
かりかりと雑な字を書き込みながらこぼされた言葉なセフィアは笑うしかなかった。
「その代わりに働いているんだけどね」
「俺もそっちがいいぜ……」
書き終わったのか、鉛筆を放り出して机に突っ伏す。弟の頭からガンッという痛そうな音がしたことにくすくすと笑い、つんつんと尖っている髪の毛を指に絡めて遊ぶ。
「でも学校に行ってるから、友達が出来たんじゃん」
「うっ……まあ、そうだけどさ」
閉鎖的な空間では外の人間は入り込み難いものがある。
だがドワーフに育てられたこの二人は、そんなものを気にせずにその閉鎖的空間である村にうまくとけ込み、その空間の弊害にあっていたとも言える三人と仲が良い。
誰にも壁を作らない姉弟は、壁を乗り越えてしまうのが難点でもあったりする。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
[0回]

いつからだろう。
あの閉鎖的空間に立つ彼らが生き生きとして、輝いているように見えたのは。
「異議あり! 今のは明らかにムジュンしています!」
「異議あり! 喚くだけならば幼児にも出来る! 根拠となる証拠を示してもらおう!」
ここ地方裁判所の小法廷では、とある弁護士と検察官が机をよく叩くせいで安全面に問題がないか毎度検査をしなければなくなったと聞く。
「くらえ! これが君の大好きなその証拠だ……!」
「っムム……グッ!」
白目をむいて唇をぶるぶるさせる検察官である幼なじみの姿にも見慣れてしまった。
「みつるぎ検事さんもなるほどくんもいつおけいこをなさっているのですか?」
「え、お稽古?」
そろそろ休憩を挟む頃だろうとのんびり思っていた頃に隣で傍聴していた春美が不思議そうに首を傾げていた。
「うーん、春美ちゃんがそう思っても不思議ではないほど息ピッタリだもんね。あの二人」
「はい!かくれて努力をなさるなるほどくんとみつるぎ検事さん。すてきです……!」
ほんわかしたと思ったら急に両手をパチンと合わせて目をきらきらとさせる。
かわいい子だなぁと微笑ましいものを見ていた稔莉は、春美に両手を取られてようやく彼女のきらきらとしたまなざしが自分に向けられていることに気づいた。
「稔莉さまもごいっしょにお稽古なさいましょう!」
「……えーと…何のお稽古?」
「わたくしと真宵さまと稔莉さまでがんばれば、なるほどくんとみつるぎ検事さんに負けないはずです!」
腕まくりをしてメラメラと燃えている春美は早速何かを取り出して書き付けている。
結局何をするのか教えてもらえなかった稔莉だが、まあたまには自分がつきあってあげるのもいいだろうと思い、佳境にさしかかった裁判をのんびりと傍聴していた。
(詩的20お題)
春美ちゃん好きです。
[0回]

ensemble―昔話―
ありえない奇蹟を起こそうか。
決して誰にも真似できない奇蹟。
それは自分だけにしか引き起こせないんだ。
「……信じられん」
「……だけど現実だ」
つい最近までは存在した場所に存在しない。
それはとても不思議で不可解で、なんともいえぬ光景。
それは目を疑う光景ではあるが真実であった。
「……今この時から僕たちは、気の遠くなるほどの長い月日を生きなければいけない」
静かな、感情が何も感じられない声が少年の響く。
「やめるなら今だよ」
みんなが居なくなっても僕がやるから。そんな言葉が聞こえる彼の呟きにアトラスは、失笑した。
「この方法の提案者は私だ。なぜ君だけに背負わせなければいけないんだい?」
彼の髪をくしゃくしゃにすると彼女の言葉に続くように彼の姉が、そっと髪を指梳く。
「そうよ。あなただけに辛い思いはさせないわ」
「……私は一度国を追われた身だ。お前の理想郷が叶うまで共にいると誓った」
「……今更やめるなどと誰が言うか」
その言葉達に彼は涙をにじませた瞳を和ませた。
さあ、共に。奇蹟を作ろう。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
TOF2で古代大戦の話があるそうですが、当サイトはまるっきり無視のオリジナル路線です。
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