いつからだろう。
あの閉鎖的空間に立つ彼らが生き生きとして、輝いているように見えたのは。
「異議あり! 今のは明らかにムジュンしています!」
「異議あり! 喚くだけならば幼児にも出来る! 根拠となる証拠を示してもらおう!」
ここ地方裁判所の小法廷では、とある弁護士と検察官が机をよく叩くせいで安全面に問題がないか毎度検査をしなければなくなったと聞く。
「くらえ! これが君の大好きなその証拠だ……!」
「っムム……グッ!」
白目をむいて唇をぶるぶるさせる検察官である幼なじみの姿にも見慣れてしまった。
「みつるぎ検事さんもなるほどくんもいつおけいこをなさっているのですか?」
「え、お稽古?」
そろそろ休憩を挟む頃だろうとのんびり思っていた頃に隣で傍聴していた春美が不思議そうに首を傾げていた。
「うーん、春美ちゃんがそう思っても不思議ではないほど息ピッタリだもんね。あの二人」
「はい!かくれて努力をなさるなるほどくんとみつるぎ検事さん。すてきです……!」
ほんわかしたと思ったら急に両手をパチンと合わせて目をきらきらとさせる。
かわいい子だなぁと微笑ましいものを見ていた稔莉は、春美に両手を取られてようやく彼女のきらきらとしたまなざしが自分に向けられていることに気づいた。
「稔莉さまもごいっしょにお稽古なさいましょう!」
「……えーと…何のお稽古?」
「わたくしと真宵さまと稔莉さまでがんばれば、なるほどくんとみつるぎ検事さんに負けないはずです!」
腕まくりをしてメラメラと燃えている春美は早速何かを取り出して書き付けている。
結局何をするのか教えてもらえなかった稔莉だが、まあたまには自分がつきあってあげるのもいいだろうと思い、佳境にさしかかった裁判をのんびりと傍聴していた。
(詩的20お題)
春美ちゃん好きです。
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