TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
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姉:筒深稔莉(つつみ みのり)
妹:筒深香織(つつみ かおり)
君といたことが。
「あーっもう!」
テレビを見ていた妹が、突然声を荒げたと思ったら急にテレビの電源を消した。
夕飯の準備をしていた稔莉は手を止めると妹の傍まで行きもう一度つけなおした。
その画面に映ったのは、
「あら、響也君じゃないの」
「私この人苦手」
「どうして?」
どうして、と問いかけながら稔莉は笑いがこみ上げてきた。苦手としている理由など分かりきっているというのに。
やはり言葉に詰まった妹は恥ずかしそうに枕に顔を埋めるとぼそぼそと言った。
「やることなすことが気障でヤダ」
「そんなこと言ったら怜侍君も気障だけど?」
「あの人は別でしょう。比べたらだめだよ」
「まあ、確かに」
けれど御剣は気障とは別の次元な気がしないでもないが。女性に対する言動はスマートで、世の奥様には人気だろう。
「なんかこう……色々苦手」
「いい子だけどね」
「そりゃあお姉ちゃんにはそうかもしれないけどさ」
「はいはい」
妹が彼を苦手とする最大の原因は一つの裁判だろう。
彼女が一番懐いていたお人好しの幼なじみ。
彼が法廷を去って早数ヶ月。
世間に激震をもたらしたあの事件。
直接の原因ではないとはいえ、間接的な役割を担った彼を香織は真っ正面から見ることができないのだ。
室内にガリューウェーブの甘いバラードが満ちる。
渋い顔をしながらも結局は見入っている彼女を見て姉は苦笑を浮かべると台所へと戻っていった。
(詩的20題)
久々逆裁です。
逆転検事がでるまでに書いておこうかと。
[0回]
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事件担当弁護士である成歩堂と現場について当たり障りのない会話をしていた。なんとか情報を引き出そうとする幼なじみをかわしながらも所々に情報を織り込むのは難しかった。
そんなとき背中に軽い衝撃を受けて稔莉はゆっくりと振り返った。
見ると見覚えのある人物が背中に張り付いている。
「真宵ちゃん?」
「へへ。稔莉さんの背中って見てると飛びつきたくなるの」
「なのです!」
よくよく見ると春美も張り付いていた。けれど背が足りないせいか真宵と違い腰に張り付いていた。
「どうしたの?」
まだ張り付かれているために体ごと振り返れずに首だけ後ろに向けていた稔莉に成歩堂は珍しく楽しげな顔を向けた。
「お宅の助手と助手補佐が珍しく甘えてきているの」
困った顔とは裏腹にその声は優しさに満ちていた。
「でも、どうしたの?」
「うーん、なんとなく?」
「なんとなくです!」
満面の笑みである姉妹のような従姉妹に稔莉はこみ上げてきた喜びに絶えきれずにくすくすと笑い、身をよじると二人を腕の中に抱え込んだ。
「あーもうっかわいいな!」
「きゃー」
完全に放置された成歩堂は、様子を見に来た糸鋸が来るまで身の置き場に困っていた。
(詩的20お題)
真宵ちゃんとはみちゃんが好きです
[0回]
天才。
天つ才に恵まれ、愛された存在。
天は人に二物を与えずと言うが二物どころかたくさん与えていることもある。やはり天つ才に恵まれていても恵まれない才も同時に持っているものだった。
「…聞いてもいいかな?」
「……却下だ」
馴染みの法律事務所の室内にて繰り広げられている光景に稔莉は?%E:648%#ホましさと同時に目眩を覚えた。
「まだ鶴も折れないの?」
ぴしりと何かが凍る音がした気がした。
陰謀が幾重にも絡まり、同時に悲しさと思惑とその他諸々が複雑に絡み合った事件に終止符を打つと、稔莉の幼なじみである成歩堂龍一は重度の風邪がぶり返し、強制入院と相成った。
それならば今居る場所である成歩堂法律事務所は休業中にあるはずだが、家主に縁のある者が集まり千羽鶴を折っていた。
『千羽鶴を折るとなるほどくんの風邪が治るんだよはみちゃん!』
『ま、真宵さま。つるさんを千羽も手折ってしまうのですか?!』
こんな変わった会話が切片であった。千羽鶴を知らない春美の為となるほど治癒祈願のために急遽千羽鶴作成委員会が作られ、稔莉と御剣が収集されたのである。
折り始めると図画工作が苦手という春美も手慣れた様子で折り始めるがただ一人、真剣な表情で手を震わせながら慎重に鶴を折る大人が居た。
不格好ながらにも愛嬌を感じさせる鶴をゆっくりと折り続ける御剣の様子が懐かしくなり、ついついからかいの言葉がでた。
「昔も苦手だったけどぶきっちょさは変わらないね、みっちゃん」
「ム。そ、その言い方には異議あり!」
「……昔よりは愛嬌のあるものを作れるようになったみたいだけどね」
「……グ」
法廷にて成歩堂に矛盾を突きつけられたときのような反応を示す御剣だが哀れなことにいつもならばそこで慰め役になっている成歩堂は病院に。真宵と春美は鶴を折るのに夢中である。
「だ、だが! 今なら5ミリの狂いもなくおれるのだ!」
「すごいねー」
無感動に言った稔莉はすでに御剣から視線をはずし、鶴を折り始めていた。ふるふると震えている御剣と違い、綺麗に素早く折っていく。
「この小さな鶴で5ミリは大きいわよ」
「……」
そう言っている間に稔莉は一羽を折り終えて御剣の作った鶴の隣に並べた。
確かに自分のものは白い部分が目立ちあちこちにしわが目立つ。
どこか敗北感を味わいながら御剣は視線を手元に落とし無言で折り始めた。
「……でも」
「…?」
「こういうのは綺麗か、じゃなくて気持ちの問題だからね。ぶきっちょな怜侍君ががんばって折ってるんだから龍一君も早く良くなるでしょ」
「……君はけなしたいのか持ち上げたいのかどちらなんだ」
ジト目で睨まれた稔莉はニヤリと笑い、御剣は訊かなかったふりをすることにした。
(詩的20お題)
鎧には必ず欠点がある。そういうニュアンスで。3終了後。
[0回]
4ネタ:デフォルト名・筒深佳織(つつみ かおり)
やりたいことを通しなさい。
唯一の大切な家族である姉にそう後押しされた佳織はその言葉に甘えることにした。
大学の合格通知。
姉は大学に行けなかったというのに自分だけがいい目を見てもいいのだろうか。
そんな彼女の背中を押したのはほかならぬ姉であり、佳織が兄とも慕う姉の幼なじみ達であった。
“兄”の一人である赤いスーツとひらひらクラヴァットが目印の人からお祝いにもらった真新しいスーツに身を包み、佳織は公園のベンチに座り込んでいた。
先ほどまで入学式を共に体験していた姉は事件だと呼ばれて何度も謝りながら仕事場へ行ってしまった。
「…ランチ、一緒に行こうね」
って言っていたのに……。
けれどそんなわがままは言えない。言ってはいけないのだ。
ベンチに両手をつき、パンプスの先に視線を落とす。
ついこの間まで制服を着ていた自分がスーツを着て、姉念願の大学生に。
それは奇妙な感じがした。
自分も進学したかったので姉の夢、というのは少し語弊があるのかもしれない。
一人でランチにいっても、寂しいだけ。
次の姉の休みの日にでも一緒に行こう。
決めると佳織はため息をついてゆっくりと立ち上がった。
ひらりと薄桃色の花弁が目の前を横切っていった。
「―――さくら?」
「おや、桜の精はもうお帰りかな」
強い風が吹き、見事に咲き誇っていた桜が吹き飛ばされた。 見事な桜吹雪に見回れた二人は強風にあおられた髪を手で強く押さえる。
「強い風だったね。大丈夫かい?」
目の前にいつの間にか立っていた青年に佳織は胡乱なものを見るような視線を投げた。
そんなことは構わないのか青年はにっかりと笑い金色の髪を肩から払った。
「――失礼」
「え――?」
彼はそっと指を伸ばして佳織の肩へと手をのせた。
端正な顔が至近距離までに近づき佳織は表情をなくした。
――近い、近いっ!
彼は満足げな顔をするとそのきれいな指先に薄桃色の花弁を掴んでいた。
「健気な花びらが花の精に誘われてしまったようだね」
「……」
こういう気障なような恥ずかしいことを平気で言う人にはどう反応を返せばいいのだろうか。
とりあえず……。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
一歩離れた相手を見て佳織はさらに複雑な顔をした。
身近な人のトレードマークである赤と青を混ぜた色“紫”を身に纏い、じゃらじゃらとした鎖のアクセサリー。顔を隠すように掛けられた気障なサングラスは彼に見事に合っていて、けれど近くだと表情がよくわかった。
「? 君、どこかで会ったことがあったかな」
「は?」
少なくとも佳織はこんな派手な人間は知り合いにいない。違う派手な知り合いはたくさんいるが。
「佳織君」
よく通る低い、けれど耳に馴染んだ声が佳織を呼んだ。目の前に怪しい人間がいようとも条件反射のごとく早さで振り向き、満面の笑みで名前を呼んだ。
「御剣さん!」
目の前にいた相手が呼び止めたようだったが佳織は構わずに足の向きをクルリと変えて駆けた。
「どうしたんですか?」
御剣は公園の前に車を止め少し困ったように視線を這わせていた。
「ム…。その君の姉に言われて君を迎えに来たのだが」
「? 姉さんそんなこと一言も」
「『楽しみにしていたランチを反故にしてしまった』と言っていた。私に佳織君に借りを返す機会をくれたそうだ」
「あー…借りってほどたいそうなものじゃないですけど……じゃあお言葉に甘えて御剣さんとランチに行きます!!」
先ほどまでの青年の存在などさっぱり忘れていた佳織だったが、一方の御剣はきちんと相手を見ていた。
「今日はごめんね?」
「ううん、また今度行こうね!」
「そういえば響也君に会ったんだって?」
「……だれ?」
(詩的20お題)
とりあえず7年前、なるほど君の事件前です。お姉さんはガリューと知り合いです。
[0回]
4ネタ
また、この季節がやってきた。
幼なじみの成歩堂が弁護士バッジを剥奪された季節。
薄紅色の花びらが咲き誇る頃に嫌でも思い出してしまう。
『成歩堂芸能事務所』
堅苦しい名前からいっぺんして、なぜか不思議な名前を掛けている。
時間帯はよい子は家に帰っている時間。
時計で確かめて、片手に持った荷物を確認する。
手を少し挙げて軽くノックをすると中から元気な声が聞こえた。
「あ、稔莉さんです! いらっしゃいませ!」
「久しぶりみぬきちゃん」
用件を言う前に人なつこい笑顔を浮かべた彼女は「どうぞー」と言ってドアを全開にした。
「おじゃまします」
「散らかってますけど気にしないで下さいね!」
頭に青いシルクハットをかぶり服装は真新しいセーラー服の不思議な組み合わせである。
その不思議さには焦点を合わせずにシルクハットに目を留めると稔莉は少し困ったような顔をした。
「もしかして今からお仕事だった?」
「違いますよー。今日はパパが『お客さんが来るからきちんとお出迎えしないといけないよ』って言ってたんで勝負服に着替えてたんです」
てへっと言いながら軽く自分の頭をこづくみぬきを見ながら最近とみに性格があくどくなり始めた幼なじみを思いため息をついた。
客が来ると言いながら片づける気は皆無なのだなと。
「実は今日はみぬきちゃんにプレゼントがあるの」
「うわーなんですか?もしかして牧場のプリン……!」
目をきらきらと輝かせるみぬきに苦笑を浮かべて稔莉は片手に持っていた紙袋を渡した。
「中学生になったみぬきちゃんにお祝いのケーキを作ってきたの」
「わーっ! みぬき嬉しいです!」
喜色満面で抱きつくみぬきのシルクハットが落ち、少し癖のある髪が露わになった。それをそっと撫でながら稔莉はくすりと柔らかい笑みを浮かべた。
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みぬきちゃんの舞台衣装とかみっちゃんがプレゼントしてたらおもしろいと思います。
[0回]