風邪で休んだ次の日、幼なじみの男の子は今まで話したこともなかったような友達を作っていた。
「りゅうちゃん?」
「あ、みのりちゃん」
つんつん頭がトレードマークの稔莉の幼なじみ、成歩堂龍一通称というか稔莉がりゅうちゃんと呼ぶ少年は満面の笑みで振り返った。
後ろにあまり話したことのない級友を伴って。
「おはよう!風邪はもういいの?」
「うん。りゅうちゃんももう治ったんだね」
数日前、二人そろって風邪をひいた二人は仲良く二日前に学校を休んでいた。
「お母さんが『龍一君はもう学校行ったわよ』って昨日言ってたから私も昨日でがんばって治したの」
「う、うん」
「昨日なにかあったの?」
恥ずかしそうに笑う彼は後ろの二人の視線を受けながら稔莉に昨日の話をした。
風邪がまだ万全に治っていなかった彼は体育を見学していた。
だが、昨日は給食費の徴収の日で体育の時間中に一人の男の子の給食費が盗まれてしまった。その疑いが当然のように龍一にかけられたらしい。そして彼を言及するために担任立ち会いの元に学級裁判が行われたらしい。
「何それっ! 誰も見たわけじゃないのにその時の疑わしい子がりゅうちゃんだからって疑うなんてひどいよ!!」
「しょ、しょうがなかったんだよ。僕以外に疑わしい子がいなかったんだから」
「それって、えーと…確か¨えんざい¨って言うんだよ!」
「シロートのわりによく知っているな」
憤る稔莉を諫めていた龍一の隣に、稔莉が一度も話したことのない級友が立った。
思わず名前が思い浮かばずに稔莉は首を傾げながら彼を見渡す。
赤いチョッキに白いシャツと短パン。
人を小馬鹿にしたような話し方。整った顔立ち。
「えーと……みつるじくん?」
「御剣だ。人の名前ぐらいきちんと覚えてもらおうか」
やはり人を小馬鹿にしたような話し方という記憶は間違っていなかった。むっとした稔莉は思わず龍一をみた。
「りゅうちゃん!どうしてこんなのといるの?!」
「ム。こんなのとは失礼な!」
「うるさい!私はりゅうちゃんに言ってるの!!」
「ああもう!!けんかするなよ!」
にらみ合い始めた二人を引き離すように龍一が二人の間に割ってはいる。
「だからね、昨日の話のつづきだけど……」
「……うん」
「ここにいるみつるぎとやはりが助けてくれたんだ」
やはり。ヤハリ。どこかで聞き覚えがある。稔莉はまたも首を傾げた。
その時よれよれのTシャツを着た少年がひょっこりと顔を出した。
オレンジ色の髪が上向きに尖っている彼。
途端に稔莉は彼の存在を思い出した。
「ヤッパリ矢張君だ!……この間えりちゃんのリコーダーのことで女子ににらまれてた…」
「お!おれってユーメージンって奴? よろしくーみのりちゃん!」
へらへらと笑いながら伸ばされた手をはねのけるわけにもいかずに稔莉は渋々握り返した。
一方残された二人は¨リコーダー¨の話が分からずに首を傾げていた。
「…わかったら矢張君と友達やめたくなるよ?」
「…聞きたいような、ききたくないような」
「……やめておこう」
さりげなく矢張から目を逸らす二人にそらされた張本人は清々しい笑顔でウインクをおくる。
「何いってんだよ!好きな女の子のリコーダーはおとこのろまんだろ!」
「……へんたい」
「っ!!」
ポツリの呟くと、稔莉は何かを振り切るように首を振ると唖然としている御剣に手を伸ばした。
「…矢張君に比べたら御剣君がとっても言い人に見える。りゅうちゃんのお友達なら私もお友達」
「なんだ、その変なりろんは」
「あ!御剣だからってみのりちゃんをぶじょくするのは許さないぞ。僕のたいせつな幼なじみなんだからね」
今度は龍一がむっとするのを見て彼はあきれたように小馬鹿に笑うと稔莉の手を握り返した。
「いいだろう。御剣怜侍だ。きちんとおぼえたまえ」
「うわーえらそう! 筒深稔莉。よろしくねー」
(詩的20お題)
子みっちゃんがわかりませんー。
『ドシロートどもが!!』というせりふが好きです。サイコ・ロックをサイコロ錠とか言っちゃうぼけっぷりが好きです。
今更ですが、みっちゃんって転校生でしたっけ?いまいちDL6号事件と転校の順番が分からないのですが…勉強不足ですね
[0回]
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手に汗握るドキドキハラハラの裁判が終了した。給料査定を楽しみにしてくれたまえと言われた上司には申し訳ないが、検察側が負けてほっとしていた。
何よりも、昔よりもつっこみが激しくなった友人にお祝いの言葉を贈りたかった。
被告人と被告の弁護士は、控え室にいる。
稔莉は機嫌の悪い検事の横を素通りすると、そそくさと検察側の部屋を出た。
ノックもそこそこに扉を開けると、そこには久しぶりに会う気がする幼なじみが居た。
「成歩堂弁護士、勝訴おめでとうございます」
被告側控え室にいた全員の視線が稔莉に集まった。
「稔莉ちゃん! ありがとうね」
「いいえ、龍一君の鋭いつっこみがあったからよ」
「……やっぱり僕のはつっこみなのかな」
思っていたよりも彼に対してこの言葉はダメージが大きいようだ。
「なるほど君、知っている方?」
落ち着いた声にそちらを見れば、居るはずの被告人だった少女と同じ格好をした別人が居た。
思わず言葉を失うが、思い当たる節を見つけて我を取り戻した。
「そういえば、綾里さんでしたね。今は霊媒中ですか?」
被告のことを詳しく調べたときに気になったのでさらに詳しく調べたのだ。
今回の事件は、稔莉の幼なじみの成歩堂龍一の師匠である綾里千尋が何者かに他殺された。容疑者は、妹である綾里真宵であった。……当初は。
「あら、優秀な刑事さんですね」
「まだまだ新米ですが。申し遅れました、筒深稔莉といいます。刑事課の新米警官で、成歩堂君の幼なじみです」
「ご丁寧にありがとう。私は綾里千尋、弁護士です」
「綾里千尋さん……亡くなっても弁護士であり続けるなんて素敵です!」
「……驚いた。驚かないのね」
本当に驚いているらしい千尋に何故か成歩堂が焦る。
「彼女、変わってるんです」
「変わってるも何も霊媒されているのは亡くなった方なんだから、驚いてもしょうがないじゃない」
「いや、まあ…そうだけどさ」
反駁することができない成歩堂を見て、稔莉は彼に見えないように微笑んだ。
最終日である今日は彼にとっては絶体絶命のピンチだった。なんと弁護をしていた成歩堂が被告になってしまい、彼は自分で自分を弁護し、恐ろしいつっこみの数々で証人の嘘を暴き、自身の無罪と証人が真犯人であることを立証して見せた。
そのとき、成歩堂が無罪の判決を受けたとき稔莉は目頭が熱くなった。彼はやはり、何も変わっていないのだと。
「………」
「え?何か言った?」
「ううん、なんでもない」
言葉を耳にした千尋だけが優しく笑っていた。
(静寂の音)
実は逆転裁判ってかなり未来の話だったんですね。逆転、そしてサヨナラをクリアしてから知りましたよ。
今回のこれは逆転姉妹の終わりです。今居たまだキャラがつかめていないから箇条書きのメモ書きっぽいです
追記
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