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小ネタ日記

TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。 感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。

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教団主 失われる10 のお題

2.記憶の色彩

 鮮やかだった近くて遠い想い出。
 色鮮やかで決して色褪せることなどないのだと、盲目的に信じていたんだ。

 けれど、現実には思い出は次第に色褪せ、あれほど鮮やかな色を放っていた記憶は最早白と黒の世界となっていた。


「……ねぇ、アディシェスってアンタのこと?」
「……」
「ねぇ、ちょっと。無視しないでくれない?」

 傍らから聞こえる生意気な声音にアディシェスは至極面倒そうに向き直った。
 伸びてきた前髪を指で払うことを忘れずに。

「……なんですか?」

 アディシェスはこの少年と直接的な関わりは一切ない。
 ただ一介の神託の盾兵と次期導師。現導師の養い子と現導師の弟子。ただそれだけの関係。


『君の新しい家族だよ』

 それは違います。“私の”ではなくて“あなた”の新しい家族。

 私の家族はあなただけでいいから。それ以上は何もいらないの。ただ静かに笑いあえれば良かった。


 そんな小さくてささやかな願いは彼の人の立場を思えば到底叶うはずもなく。


 だからその仮初めの幸せを奪ったこの少年が憎いかと言えばそうではなくて。

 互いにのぞき込み合う瞳の中は、絶望と孤独と……似たような感情が小さな灯りをともしていた。

 不意に緑の小さな少年が相好を崩し笑い声をあげた。


「なんだ。アンタも一緒じゃんか」
「……別になにもございませんが」
「ふーん」


 そのときは少年と長いつき合いになるとは想いもしなかった。


**
ねつ造の嵐でお送りしております。

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07:戦うための課題

 八葉がいない。

 それは龍神の神子には多大なる負担となって押し寄せていた。けれど、その負担は避けることができるものではなかった。
「でもどうやれば強くなれるんだろう?」
「それは…、鍛える…とか?」
「うーん…?」

 どちらにしても独学では無理があるだろう。

 悩んだ顔をしている望美を見ながら華織は白龍から望美に手渡された両刃剣を見た。

 九郎が示した『花断ち』
 それは相応の技量がなければ振ってみせることはかなわない。

「やっぱり太刀筋だよね…」
「ん?」
「うーん……」
「華織?」
「うん?」
「太刀筋って?」

 花断ちについて思うことを望美に伝えながら華織は頭では違うことを考えていた。

 望美が刀を手に取る以上自分も守りたいが、彼女の心も守れるだろうかと。



(始まりの35題)

少しずつ書くのが苦しくなってきました…(内容忘れてるので)

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彩雲国 はじまりの物語

※原作沿いになったりします。



 青青とした葉が色づきつつあり、風も心地よい涼しさになり旅をしやすい季節になった。

 澄んだ青空に鳥の鳴き声が響くがすぐさまその空気を打ち消すようなすさまじい音が放たれ始め、鳥が驚いて落ちてきた。

「……かわいそうに」

 壮絶な音の音源は落ちてきた鳥をすくい上げると有紀に手渡した。かわいそうと言いながら苦笑いを浮かべて鳥を受け取る。
 そっと撫でてやると柔らかな毛が指先に心地よかった。

 まだ隣で音が鳴り続けているが、こうも道行く動物が倒れていく様を見ていると自分が人外な生き物に思えてきてしまう。

「ポホペー」
「龍蓮、話す時は言葉でお願いね」
「了解した」

 応えると彼、藍龍蓮は笛を素早く降ろすとじっと空を見た。

「我が旅の朋よ。戻るべき頃合いと見えるが」
「本当?」
「そして藍鴨が私を呼んでいる」

 何故に藍鴨。思わないではいられないが、彼は“そういうもの”なのだ。

「次の街で暫しの別れだ」
「また会える?」
「有紀が望むのならば、我々の縁は消えない」

 彼は嘘をつかない。不確定なことも約束しない。だから有紀は安心して緊張を解いた。

 思えばこうして龍蓮と旅を共にするようになって数年経つが、龍蓮に戻るべきと言われたのは初めてのことだった。

「愚兄その四にはくれぐれも気を抜かぬよう」
「わかりました」

 そのような心配は自分にするだけ無駄だと思いつつ、真剣に心配している龍蓮には告げない。

「油断大敵という」

 けれど彼にはお見通しらしい。
 有紀は曖昧に笑っておくだけにとどめた。

「でも貴陽に戻るとどうして龍蓮のお兄さんに会うことになるの?」
「それは必然だからだ」
「必然……」

 確かに彼の人の御用達である妓楼に用事で度々赴く有紀は会う確率が高そうな気がするが、龍蓮が言う必然はそのことではない気がする。

「君がその道をゆく確率は私にはわからぬ。けれど君は選ぶ確率が高い」
「うん。……なんとなくわかったかも」
「では、まだ見ぬ明日を見に行こうではないか」

 無表情に近いが、有紀には彼が微笑んでいるのがわかる。
 言い回しも独特でたまに何を言っているのかわからないが、龍蓮の傍にいると落ち着くのだ。



 遠くで鳥が鳴いている。貴陽行きの全商連の隊を見つけ、共に連れていって貰うことに成功した有紀は、もう街を出ようとする龍蓮に手を差し出した。

 はじめは困惑していた彼も慣れたもので、迷わずにその手を取って勢いよく振る。

「次はいつ会えるのかな?」
「君が会いたいと願ったとき。といいたいところだが、この度ばかりは致し方ない。再び色づき誇りし木々が凍えるときにでも会えるであろう」
「じゃあそのときは龍蓮の好きな鍋を一緒に食べようね」
「うむ。では白々しい魚鍋を所望する」

 やけに鍋料理は彼のお気に召したらしかった。





「私が女官……?」

 貴陽に帰宅し、久しぶりに帰宅した有紀と共に過ごすためか鳳珠は公休日はきちんと帰宅し、有紀と様々な話をした。

 正月も明けて冬が明けていく様をのんびりと眺めていた日。
 鳳珠がとある老人を連れて帰ってきた。

 老人は朝廷三士の霄太師だと名乗った。

 客室的な部屋で客人の用事を聞いていると、釈然としない何かを感じながら霄太師の口からで単語に首を傾げた。


「そうですじゃ。有紀殿には主上付きの女官となっていただきたい」


 それが新たな物語の始まりだった。



**

まあ、この辺のお話は前から何度も書いているので。
あちこち変わったりしていますが。

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彩雲国 決意の風

 梅が淡い香りと共に開いた。
 鼻を擽る甘やかなそれを胸一杯に吸い込むと、有紀は一歩足を踏み出してみた。
 固い地面が足を支えている。
 暖かくそして涼しげな風が簡易に結い上げられた髪を揺らした。


 振り返ると人の気配のしない有紀の「我が家」が静かに立っていた。

 鳳珠は数日帰ってきていなかった。
 公子同士の醜い争いは朝廷をも巻き込み混乱を極めていた。そんな中、決して信条に悖る政をしないという理由で鳳珠は戸部尚書に、黎深は吏部尚書へと据えられていたのだ。当たり前のように忙しい。


 貴陽には不穏な空気が漂い始め、最低限家がまわせる家人だけ残し他は黄州に下がらせていた。

 だから陰から鳳珠を支えていたのは少数の家人と、有紀だった。
 とは言っても有紀もとてもではないが大っぴらにはいえない方法で鳳珠の傍にいたわけだが、新年を迎えるに当たり疑問を抱いたのだ。

 自分がいるのはここでいいのだろうか、と。

 悩みに悩み抜き、有紀は折りよく訪ねてくれた百合姫にのみ相談をしてある決断をした。

 その決断はもしかすると鳳珠に家族の縁を切られてしまうかも知れないことだった。けれど、やはり今の有紀にはその選択肢しかなかったのだ。

 加えて、つい先日忙しさを理由にして食事と睡眠を怠った鳳珠と喧嘩をした有紀は不意打ちの形ではあったが鳳珠を投げ飛ばし、怒っていたことも要因の一つである。



「ああ、有紀! 間に合ってよかった」

 屋敷に背を向けて歩きだそうとした瞬間懐かしい声がかかった。

「百合姫様」
「間に合ってよかったわ。渡したい物があるの」

 慌てた様子の百合姫が懐の中から差し出した小さな袋を受け取る。視線に促されて中を覗くと木簡が入っていた。

 苦笑に近い微笑を浮かべた百合姫の目に促されて中身を取り出すと手に取った。

 見慣れた、というほど見たことがあるわけでも見慣れぬと言うほど見たことがないわけではないそれの裏書きは、有紀には見たこともない絵面だった。


「百合姫様……これって…」

 けれど見たことのない有紀でも知識として知っているものだ。

 桐と竹、鳳凰と麒麟が見事に合わさった意匠。


「……私、紅家直系じゃ、ないです…よ?」
「玖琅がいつも黎深に構ってくれるお礼だって」

 数年前に話した『全国津々浦々点心修行』のことを聞いた百合が玖琅に話したらしい。

 紅州で黎深の、紅家当主名代として腕を振るっている黎深の、そして邵可の弟である。

 いつぞやに有紀も会ったことがあった。年を聞いてみると若いのに、どこか年不相応に落ち着いているというか、大貴族の重鎮という言葉が見事に当てはまった。

「それに…私の方が黎深様に構っていただいていましたけど」
「そうかしら?」

 心底不思議と言わんばかりの顔をしている有紀に百合姫は笑いかけると、そっとその髪を撫でた。

「今日の決断を後悔しないでね」
「……はい」
「絶対帰ってくると約束して?」
「おいしい点心を見つけて百合姫様に食べていただきたいです」
「あら。じゃあ黎深と絳攸に自慢しなきゃね」

 いたずらな笑みを浮かべてウインクを送る百合姫につられて有紀は強ばっていた表情をゆるめて、百合姫の見慣れた笑顔を見せた。

「戻ってきたらきちんと仲直りするのよ?」
「…考えておきます」



 ころころと笑顔を変えて、送り出してくれた百合姫に一礼すると有紀は前を見て歩きだした。

 自分の行動は『逃げ』としか見られないだろう。
 けれど、今このときにしか機会がない気がする。今行かないと、もう二度と機会は訪れない。

 有紀はもう一度貴陽を振り返った。


「―――行ってきます……」

 『お帰りなさい』の言葉を胸に抱いて。


 なま暖かい風が有紀の頬を撫でた。



***

うちの子は悩まなくていいことで悩んで、流されて後悔して悩んで。
さあ、この後彼女を待ち受ける物は…!


孔雀男です

いまいちなのでたぶんサイトには行かないです。

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06:京邸にて

 桜の花びらを一刀両断する花断ちを見せられた望美はその日から刀を振り、稽古を始めた。
 もちろんただの女子高生だった彼女に刀がうまく扱えるわけもなくすぐにバテる始末だった。

 けれど毎朝素振りを続けている望美を見て華織はいろいろと思うことがあるのか濡れ縁に腰掛けて膝に白龍を抱きしめて望美の素振りが終わるのを待っていた。


「毎朝頑張るね」
「いけないこと?」
「頑張ることは大切なことだよ」
「華織が、頑張ったことと同じ?」

 見上げてくる白龍の前髪を指で掬うと華織は人差し指をたてて笑った。

「今はまだ内緒だよ」
「神子にも?」
「訊かれたら答えていいよ」

「じゃあ俺が訊いても答えてくれるのかな?」

 気づけば隣にも座っている人間がいた。

「景時殿……」

 爽やかな緑の髪に、爽やかな笑顔を浮かべた地の白虎がいた。
 不意に胸がちくんと痛むがそれは無視して華織は白龍をきゅっと抱きしめた。

「内容にもよりますよー」
「え、そうなの?」
「はい。あの子に訊かれたことは全部答えますけど他の人はダメです」
「華織、わたしは?」
「白龍は訊かなくても知ってるでしょ?」
「うん」

 神子と龍神というわけでもないのに意志の疎通が図れる二人を景時は不思議そうに眺めた。
 些か不自然なほどに龍神と神子について詳しいが当事者である白龍は理由を知っているようなので神経質になる必要はないのだろうと景時は笑いあう二人を見て笑った。



(始まりの35題)

遙か3の最初のルートを忘れ気味です。

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【十二国記】
 └雁州国王師右将軍
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【遙かなる時空の中で3】
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【明烏】
 └遙かなる時空の中で3・景時夢
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【彩雲国物語】
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【コーセルテルの竜術士】
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