TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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ほんのりと幸せを運ぶ。
気づいたのは偶然だった。
鼻につくほのかな甘い香り。連想されるのは定番の甘いもの。
決裁待ちの書類を腕に抱えたままマルクト皇帝の資質を訪ねたラシュディは無意識のうちに眉間に力が入った。
それに気づいた部屋の主は面白そうに顔をにやつかせる。
「どうした? ラシュディ。年頃の娘がそんな顔をしてるとじいさんみたいになっちまうぜ?」
「……年頃と言うほどの年でもありませんが、失礼しました」
ピオニーは揶揄ったようだったが、いつもの彼女ならば軽口に乗るというのに今はまじめに切り替えされてしまった。そのことに違和感を感じしばし考え込むが、すぐさま原因に思い至った。
「さっきまでここにガイラルディアが居たんだ」
「ガイが、ですか?」
ラシュディは反復しながら呆れたような視線を向けた。彼も忙しいのだからそう呼びつけないであげてください。蒼い目がそう言っていた。
「まあそう言うな。あいつも見習いみたいなもんだしな」
「……見習いという名の下っ端のような扱いだと思うのですが…」
「まあ、それはどうでもいいだろう? でだ、俺に土産だといっていくつかの焼き菓子をだな」
「……おそれ多いことながら遠慮させて」
「ガイラルディアが丹誠込めて焼いた菓子だぞ? 断るのか?」
意地悪い笑みを浮かべているピオニーはラシュディが焼き菓子を断る理由を知っている。なのにあえて勧めるのは嫌がらせ以外になんの意図があるのかとラシュディは思案してみた。
嫌がらせ以外思いつかない。
「ガイラルディアは『よければラシュディにも』と言っていたが?」
「………一つだけ頂戴いたします」
満足顔なピオニーにマフィンを手渡され、手のひらにかわいらしく乗ったそれを見てラシュディはため息をついた。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
久しぶりのラシュディさんです。冗談抜きで強化期間やりたいです。
[0回]
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季節があるというのは素晴らしいことなのだと、移り変わる景色を見ると想いに耽る。
隣で奇妙だと評される個性的な笛の音を聞いていても、そう思えるから不思議である。
「秋の夕日に映える紅葉って綺麗だよね」
相槌を打つようにほぺひょーと変な音がした。
それはいつものことなので有紀はあまり気にしない。
「今日の夕飯はどうしようか」
脳裏には現在残っている干飯の数と旬の食べ物である。
「ぷへぽひゃヒーひゅるぺほ」
「言葉じゃないとわかんないよ」
流石に細かいところまでは無理であると苦笑を浮かべるが、おおかた肉類であると思われた。
「ふむ。旅の朋のタケタケしい竹ノ子料理も良いのだが今宵は寒い故猛(たけ)たけしい猪鍋は如何」
なぜに猪。そう思いはしたが、肉料理をねだる場合龍蓮がどこからか捕まえてきて捌いてくれるので有紀は冥福を祈りながら調理するだけでいいので異論はない。
「じゃあ寝るところ決めようか」
「うむ。全てを照らす丸いものが姿を隠す前には程良い場所にでる」
龍蓮がいると野営の場所を選ぶのに困らない。
不意にうれしそうな龍蓮の表情が目につき、有紀は首を傾げた。
「どうしたの?」
「不変のものはないのだな」
「……時も季節も、流れ移ろうものだからね」
(不思議な言葉でいくつかのお題)
藍龍蓮が書けません…
リベンジを後ほど
[2回]

触れたら壊れてしまう。そんな気がした。
だから、そっと奥底に大切にしまい込んだもの。
いつも、遠くから見ていた。
自分よりも遙かにうまく立ち回る、そして人に気を使うことのできる人。
自分自身が人付き合いが苦手なためか、そういった人は眩しく見えたのだ。
「君は……政子様の」
「……お初にお目もじつかまつります」
「俺は梶原景時」
「篠崎曙未と申します」
柔らかい微笑を浮かべる人だった。
見た者を心の底から安堵させる笑み。
その立場にいながらも微笑を絶やすことがない。心根の強さを羨みもした。
気づくと羨むどころか視線を奪われていた。
「貴方は……心の強い方ですね」
「そんなことないさ。俺は弱虫だから、君の方がよっぽど……」
「心の弱い者はそのような顔はできません」
現に私は弱い。故に、そのような仮面はかぶれない。
穏やかな微笑を眺めるのが好きだった。けれど自分が目の前にたつとその微笑は掻き消え切なげなものへと変わる。だから遠くから眺めるしかできなかった。
初めて会話を交わした数日。それが心の奥底でそっと隠された思い出。
触れたら壊れてしまう、一刹那の夢幻
(不思議な言葉でいくつかのお題)
いつも景時視点ですが、いつもと逆で。
[0回]

それは魔法の言葉。
「りゅーうーれーん!!」
「何をそのように怒っているのだ心の友よ」
「怒るに決まってるでしょうが!! 離れなさいよ!」
「なぜだ? 心の友には迷惑をかけておらぬと言うのになぜそなたは怒る」
心底わからないといった顔をする龍蓮を見て秀麗と彼のやりとりを見ていた影月と有紀は、プツンと何かが切れる音が聞こえた気がした。
秀麗は勢いよく龍蓮を有紀から剥がすと彼の胸ぐらをつかみ、身長差があるのにも関わらずゆさゆさと揺すった。その目は据わっていて少し怖い。
「私の大切な有紀姉さまに迷惑をかけることは私が何よりも許せないのよ!」
「なんと、我が旅の朋である有紀は秀麗の姉でもあったか!」
「そうよ! なんか文句あるの! だから今後一切有紀姉さまに迷惑をかけたら許さないわよ!」
不思議そうな表情を一転うれしそうな龍蓮を見て、また怒る秀麗の姿に有紀は思わず笑いがこみ上げてくるのを堪えきれなかった。
そんな有紀を影月は首を傾げて見上げる。
「有紀さん?」
「ふふ、ごめんね。ただすごくうれしいなって」
「えっと、秀麗さんと龍蓮さんが仲がよろしいからですか?」
「それもあるけどね。秀麗ちゃんが、まだ私のことお姉さんだって思っていてくれることも、龍蓮がああやってうれしそうなのも」
きっかけは些細なことだ。のんびりとくつろいものをしていた有紀の背中に龍蓮がべったりともたれ掛かり、危ないから離れるように言ったのに聞き入れない龍蓮に秀麗が業を煮やした。ただそれだけ。
「二人とも私のこと好いてくれてるのかなって思えて嬉しいの。……浅ましい考えだと思うけど」
苦笑いを浮かべる有紀に影月は、ほんわかと笑った。
「僕も有紀さんがお姉さんみたいで好きですよー」
「ふふ、私も影月君も好きだよ」
あたたかい気持ちが生まれる。
好きだと、ありがとうという言葉は心をあたためる。
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(不思議な言葉でいくつかのお題)
[2回]

「アトラスさんの子供の頃ってどんなかんじだったの?」
夜。
食事も終わり、各々が好きなように過ごしているこの時間。アトラスはいつものように飽きもせずに星空を眺めていると、いつの間にか隣にジーニアスとコレットが腰掛けていた。
二人とも、とても好奇心旺盛な顔をしており、アトラスはそれを見てふわりと笑うと、そのまま仰向けに寝転がった。
「どんなのだったと思う??」
「え~と・・落ち着いていてジーニアスみたいに頭がよかったとか」
「僕もそう思うな~」
アトラスは首を振った。
「残念。はずれだよ」
「え~」
「どの辺りがはずれなの??」
アトラスと同じ様にジーニアスとコレットも仰向けになって空を見上げた。
「落ち着いていてってところかな。頭がよかったとは思わないけど、賢い子であるとはよく言われていたよ」
自分ではそうは思わないけどね。そういってアトラスはクスクスと笑う。
いつもよりもよく笑うアトラスを見てジーニアスもコレットもつられて笑みがこぼれる。
話して欲しいとねだる二人に「少しだけね」と言って思い出すように瞳を閉じるとぽつりぽつりと話し始めた。
「子供の頃は・・・昔過ぎて忘れてしまいそうだけど・・・。私の子供の頃はなんにでも興味を持って、なんにでも手を出していたよ。音楽に興味を持ったら、それを教わって、剣に興味を持ったから習って・・・。
よく家を抜け出して遊びまわってはクラトスが兄といっしょに探しに来て、よく怒られたよ」
「クラトスさんが、ですか?」
「アトラスさん、お兄さんが居たんだ?!」
そのときのことを思い出しながら笑ってアトラスは頷いた。
「時にはあちこちを散策してクラトスを振り回したりもしたよ」
そのまま、口を瞑ってしまったためにアトラスから昔話を聞くことは出来なかった。
だが、今の彼女からは想像もつかない昔話に驚いた二人はクラトスを見かけるたびに、アトラスに振り回される姿を想像するものの想像できずに首を傾げては話を聞いていなかったロイドとリフィルに不思議がられるのであった。
『・・・アトラス、君の兄上が探していらっしゃったぞ』
『ホント? だったらクラトスも一緒に兄上に探してもらお?』
『・・・だが、そうするとお父上とお母上も心配なさるぞ』
『“子供時代は二度と来ない”から今のうちに遊んでおかないと損だって兄上が言ってらしたもん。親を心配させていいのは子供だけなんだよ!』
『お、おい!アトラス・・・!』
あの頃の少年はいつの間にか愛想もない大人へと姿を変え、お転婆だった少女は落ち着きのある大人へと姿を変えた。
あの時には今の自分たちは想像もつかなかっただろう。
そんなことを独り思ったアトラスは苦笑を浮かべた。
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むかーしの日記から発掘してきました。
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