「アトラスさんの子供の頃ってどんなかんじだったの?」
夜。
食事も終わり、各々が好きなように過ごしているこの時間。アトラスはいつものように飽きもせずに星空を眺めていると、いつの間にか隣にジーニアスとコレットが腰掛けていた。
二人とも、とても好奇心旺盛な顔をしており、アトラスはそれを見てふわりと笑うと、そのまま仰向けに寝転がった。
「どんなのだったと思う??」
「え~と・・落ち着いていてジーニアスみたいに頭がよかったとか」
「僕もそう思うな~」
アトラスは首を振った。
「残念。はずれだよ」
「え~」
「どの辺りがはずれなの??」
アトラスと同じ様にジーニアスとコレットも仰向けになって空を見上げた。
「落ち着いていてってところかな。頭がよかったとは思わないけど、賢い子であるとはよく言われていたよ」
自分ではそうは思わないけどね。そういってアトラスはクスクスと笑う。
いつもよりもよく笑うアトラスを見てジーニアスもコレットもつられて笑みがこぼれる。
話して欲しいとねだる二人に「少しだけね」と言って思い出すように瞳を閉じるとぽつりぽつりと話し始めた。
「子供の頃は・・・昔過ぎて忘れてしまいそうだけど・・・。私の子供の頃はなんにでも興味を持って、なんにでも手を出していたよ。音楽に興味を持ったら、それを教わって、剣に興味を持ったから習って・・・。
よく家を抜け出して遊びまわってはクラトスが兄といっしょに探しに来て、よく怒られたよ」
「クラトスさんが、ですか?」
「アトラスさん、お兄さんが居たんだ?!」
そのときのことを思い出しながら笑ってアトラスは頷いた。
「時にはあちこちを散策してクラトスを振り回したりもしたよ」
そのまま、口を瞑ってしまったためにアトラスから昔話を聞くことは出来なかった。
だが、今の彼女からは想像もつかない昔話に驚いた二人はクラトスを見かけるたびに、アトラスに振り回される姿を想像するものの想像できずに首を傾げては話を聞いていなかったロイドとリフィルに不思議がられるのであった。
『・・・アトラス、君の兄上が探していらっしゃったぞ』
『ホント? だったらクラトスも一緒に兄上に探してもらお?』
『・・・だが、そうするとお父上とお母上も心配なさるぞ』
『“子供時代は二度と来ない”から今のうちに遊んでおかないと損だって兄上が言ってらしたもん。親を心配させていいのは子供だけなんだよ!』
『お、おい!アトラス・・・!』
あの頃の少年はいつの間にか愛想もない大人へと姿を変え、お転婆だった少女は落ち着きのある大人へと姿を変えた。
あの時には今の自分たちは想像もつかなかっただろう。
そんなことを独り思ったアトラスは苦笑を浮かべた。
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むかーしの日記から発掘してきました。
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