TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
[
55]
[
56]
[
57]
[
58]
[
59]
[
60]
[
61]
[
62]
[
63]
[
64]
[
65]
×[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
春の京にて再会した幼なじみ。
以前に遭遇した時よりも精悍な顔立ちになっている幼なじみ。
市に出掛けた望美の後をついていくが、他の八葉がついている為に華織は少し離れて歩いていた。
「お、これなんかいいんじゃねーか?」
「……将臣」
「ん? なんだ、華織」
望美と離れ、いつの間にか華織の隣を歩いていた。
「……前に会った時から思ってたけど」
「なんだ?」
見上げた顔は見慣れていた筈の、けれど見慣れない顔。
「その赤い鎧」
「……ああ」
「……それと、その太刀の紋章」
ごまかしたそうな微笑みを浮かべる将臣。
それだけで、わかってしまうのはやはり長年共に育ってきただけあった。
「…やっぱなんでもない」
「……サンキュ」
「三年って言ったよねー、じゃあ私と将臣は同じ年なんだね」
そう言って、櫛を手に取る。
華美でなく、けれど見事な装飾。それは少し前によく見掛けていたもの。
「…お前、ここに来たのは二年前っつってなかったか?」
「『ここ』にはね。違うとこに一年ぐらいいたから」
櫛を店に戻そうとすると、再び将臣が手に取った。
日の光りに透かしてみたり、指でなぞってみたりする。
「違う時代に落ちてました~とか言うなよ?」
「……さあ?」
手で止める華織を気にも止めず、将臣は櫛を購入し華織の髪に挿していたが思わず手を止めてその顔を覗き込んだ。
「…マジか?」
「おあいこだね。…櫛、ありがとう」
「気にすんな」
[1回]
PR

その報告は、彼女にとってはただの文字の羅列であった。
「……そう」
書類と共に口答で告げられた言葉にアディシェスはそれだけ返した。
面食らったのはそれを告げた彼等の方であった。
くしゃり、と紙が握り締められる音がした。彼女はただそれを無機質に眺める。
「なんでだよっ、あんたの上司だったんだろ?!」
怒鳴るその姿は、アッシュとよく似ていて、けれど瞳に宿す力は全く違っていた。
そのことがとても愉快だった。
そんな感情が見透かされたのか、マルクトのいけすかない大佐が眼鏡をくい、と指で押し上げた。
「ダメだよ、ルーク。アディシェスはシンクと仲が悪いことで有名なんだから。ね、イオン様?」
「……そう、ですね」
「……けど、俺は」
「ところで」
無理矢理割り込むかのように(実際割り込んだのだが)、アディシェスの苦手な彼は会話を転換させた。
「あなたは、被験者のイオン様と親しかった、と伺いましたが?」
「それが、何か?」
びくりとあからさまに肩を揺らす二人。
そういえば彼もレプリカだったと今更ながらに思ったアディシェスは深く息を吐き、大佐を見上げて笑った。
顔は笑っているが完全に目は据わっている。
「それと、シンクが落ちたこととどういう?」
「いえ、何も関係はありません。ですが、ご存知だったのかと思いまして」
「ジェイド」
咎めるような男性の声に大佐は肩をすくめた。
アディシェスもなんとなく彼が言いたいことは理解していた。
「何故――」
「『何故、レプリカを嫌悪したならば止めなかったのか』ですか?」
「――っ」
「その通りです」
大佐を睨みつけるアニスを見て、何故か微笑みが浮かぶ。憎しみに染まった瞳を細める。
――…そんなの、一つに決まっている。
「『イオン』が望んだからに決まっているじゃない」
「ですが、レプリカ情報を抜けば数日後には」
「それぐらい、何? ……どっちにしてもあの子は苦しんでいたのよ。どっかの誰かが余計なことを吹き込んで……」
ティアの肩が揺れた。
「あの子は世界に、全て絶望して、憎んで消えていったの。私にはどうすることもできない。ただ、望みを叶えただけ」
「アディシェス……」
「『イオン様』が大事なアニスなら、わかるでしょう? ……アリエッタも理解できていたらきっとそうしていた。……でも教えなかったのはあの子の優しさ」
先程の憎しみはどこへ消えたのか、彼女の瞳には慈しみしか浮かんでいなかった。
「…素直じゃなくて、優しくないのに優しい。ぶっきらぼうで、でも暖かい。とてもよく似ているアイツは嫌いだった。何より許せないことが、生きていることを憎んでいたことよ。シンクという名前を持っているのに、卑屈なところが嫌いだった」
そこまで言い切ると、これ以上は言うことはないとでも言うように踵を返した。
後を追うように、背中に流れる銀色の髪が黒い団服の上で跳ねた。
「……ホントだったんだ」
つい数日前に自由にどこにでも行けといわれた。
一割方は信じてはいなかったが、真実であったらしい。
上を見ても無機質な室内の天井しか目に入らない。
「……止めるべきだったのかな」
今となってはあの選択が正しかったかわからない。
**
久々の……。最近ブログペットを置いてみて、面白い発言やコメントに笑っています。
[0回]

長い悪夢でも見ていたのだろうか
何もかもを洗い流すように降り注ぐ雨。
草木は好機とばかりに天へとその身を伸ばす。
恵みでもあり脅威でもあるそれらは感動と畏怖をもって迎えられた。
体に当たる雨には気にも止めず一人の人影が立っていた。
その顔には何も宿さず、藍を宿した双眸は薄暗い雨を降らす空を映していた。
「――藍の方」
シワがれた声に雨の中に佇むその人は振り返った。
雨に濡れ、顔に張り付いた髪を軽く払うと笑う。
「なにか? 語り部」
「風邪をひかれる。……中へ」
軒下で読めない表情を浮かべているその人物はどこか気づかわしげな声色だった。
そんな心配を小さく笑うと雨の中の人は背を向け奥へと歩き始めた。
「私は、また間違えたのかな」
呟きは雨に消された。
「……私も、君と同じ気持ちを味わったよ。二度と出逢いたくない絶望という闇と共に、幸福を味わった。――君には信じられないかもしれないけどね、だって私にも信じられないんだ」
笑いを滲ませるその声は果たして天まで届いたのだろうか。
[0回]

退屈で窮屈で。責任と重圧に押し潰されそうな毎日。
だからその檻からこっそりと抜け出してみた。
変わり映えのない毎日。上司にこき使われ、仲間と馬鹿なことをして騒ぐ。
そんないつもと同じような夜に、変わった拾い物をした。
春先とはいえ夜風は冷たい。
「また、一日が終わっちまったなぁ……」
スーツのポケットに手を入れ、首をすぼめる。
明日は訪問中の大国の姫君の記者会見が入っている。寝坊すれば上司に何をいわれるやら。
大通に出て、タクシーが通り掛かるのを待つ。
腰掛けようとベンチをよく見るとそこには誰かが寝ていた。
「……酔っ払いか?」
とても気持ちよさそうに寝ている人間は、一見しただけでわかるほど身なりがよかった。
小さく寝返りをうつ姿はとても幸せそうで、けれど時折寝言が聞こえる。
何をいっているのか少し興味を持ち、耳をすませてみた。
「ん……光栄です」
「……は?」
夜の静かな石畳に呆気に取られた彼の声が響いた。
「……ありがとう、光栄です」
繰り返された言葉は寝言にしてはやけにはっきりしていた。
酔っ払いは放っておくに限る。そう結論づけた彼は他人の振りをした。
元から他人ではあるが。
だが、世話好きといわれる彼はやはり見知らぬ女性であっても気になって仕方がなかった。
ごまかすように空を見上げてみたり明日の予定をそらんじてみたりするものの、結局は女性の肩を揺り動かしていた。
「…こんなところで寝るもんじゃないぞ」
「……ん、光栄です」
寝たまま微笑まれる。
「…それはどうも。じゃなくて、起きないと警察に引っ張られるぞ」
「…ありがとう」
「だから、起きろー」
無理矢理肩を掴み、起き上がらせると流石に目を開けた。
「どなたでしたかしら?」
「…初対面です」
「それはどうもご親切に」
ペコリと頭を下げるが、そのまま彼へともたれかかる。
慌てて支え、顔を覗き込むともう目は閉じられていた。
「だから起きろ」
再び揺すると彼女はうっすらと目をもう一度開き微笑んだ。
「若者はもっと世界へと羽ばたくべきです。これからは彼等の活躍に期待したいものですわ」
「……そうだな」
その時、ちょうどよく通りがかったタクシーを呼び止めた。
「じゃあオレは帰るけど娘さんはどこに行くんだい?」
立ち上がると彼女は再び微笑み、そしてつっぷした。
助けを求めてタクシーの運転手をみるが目を反らされた。
深々と息を吐くと白くなり空へと消えた。
「家はどこだい?」
「ん……」
「……しょうがない」
世話好きと言われ、困ったものには手を伸ばさずにはいられない性質の彼はまたため息をつくと女性を抱き抱え、タクシーへと乗り込んだ。
深く眠って起きない女性を不服ながら部屋へとつれていき、ベッドに腰掛けさせる。
肩を揺すると、女性の瞼はゆっくりと上げられた。
「……ここはクローゼットですか?」
一体どこで育ったのか。と疑問に思いつつも、ネクタイを緩めながら彼は苦笑した。
「狭くて悪かったな。ここはオレの部屋だ」
「まあ、それは失礼しました」
そして自分が座っているのを手で探り首を傾げた。
「では、この硬くて小さいのがベッドですわね?」
「……硬くて小さくて悪かったな」
箪笥から新品のパジャマを取り出して女性に持たせる。
「わたくしのガウンはどこに?」
「悪いがそのパジャマで我慢してくれ。オレは少し出るから、そこのベッドを使ってくれて構わないから」
彼の言う事を聞いていないのか彼女はパジャマを見て眠たそうだが目を輝かせていた。
翌朝、寝坊した彼は隣に女性が寝ていることに驚きながら慌てて出社した。
「ガイ、遅い出勤ね」
受付の女性にそう微笑まれ、慌てて編集室の扉を開ける。
「すみません。お探しと聞きましたが」
「おや、ガイ。君が珍しく寝坊ですね」
上司は眼鏡の奥で怪しげな笑みを浮かべた。
そして手元にあった新聞を彼に投げつけた。
難なく受け取った彼はその一面記事を見て驚愕した。
「『ルニア王女急病
訪問中のルニア王女が急病のため全ての予定が中止に。王女は明後日次の訪問国に発つ予定………』ってことは記者会見は」
「よかったですねぇ。寝坊しても問題はなかったですよ。ですが、出社時間から遅れているのでそこのところはお忘れなく」
上司の楽しげな言葉を背中で聞きながらガイは席に座ると呆然と記事を見つめた。
…記事に大きく掲載されている王女の写真を。
そこには昨晩拾った女性が着飾って写っていた。
「……俺、とんでもないものを拾ったのか…!?」
「なんだ? ガイ、猫でも拾ったのかぁ?」
「……いっそ猫の方がよかったな」
とりあえず彼は慌てて早退した。
**
父が某映画を見ていたので私も最初の方のみ見ていました。
ネタを考えているときはすごく面白そうだと思うのに、いざ書いてみると面白くない方が多いようなきがします。
[0回]

「今日は【夫婦】の日だ」
そんな事を言われて、本日がどういう日なのか思い出した彼女は部下として失格なのか、本気で悩んでいた。
カリカリとペン先が紙を引っかく音が響く。時折、思い出したように紙同士の擦れあう音もした。
マルクト帝国軍第三師団師団長であり、マルクト帝国皇帝の懐刀であり、死霊使いとして恐れられているジェイド・カーティス大佐の執務室には部屋の持ち主しかいなかった。
彼一人が、大量に積まれた書類と向き合い、着々とその量を減らしていく。
それは、比較的静かであった一日の終わりがけのこと。
比較的静か。
その言葉が意味するとおり、何度言っても執務を抜け出してくる君主や、仕事詰めの上司である彼を心配してさりげなくお茶の時間を作る部下がいつものよりも静かであったために、彼の周りは閑散としていた。
相変わらず部屋の一角は彼の人の所有区と化してはいるが。
「・・・・・・ふむ」
添削のために俯いていた結果、若干落ちた眼鏡を直し、横髪を書き上げると、独り言が出てしまった。
そんな自分に少し笑い、ジェイドは机に手をついた。
仕事がはかどったのは事実であった。
だが、休憩なしに仕事を続けた体は少しの休憩を要求しているようだった。
若干顔を上げて、壁にかけてある時計を見るとそろそろジェイドの本日の仕事終了の時刻であった。
本日は久しぶりの定時帰宅。
といっても家には誰も待っては居ないのだけれど。
まあ、日頃君主のお守りをしているのだから、早めに帰ったところで面と向かって文句を言う勇気のある人間はこの中に数人しかいないので、さっさと帰る事にしよう。
そう決めたジェイドは未処理の書類を手に、席を立った。
執務室の音素灯を消すことを忘れずに。向かうは部下の執務室。
◆ ◆ ◆
ノックをしても、いつもならばすぐに開く扉が今日は開かなかった。
誰もいないのだろうか。だが、彼女も今日は定時組だが、終了時刻まできっちり残るはずだろう。
「ラシュディ?」
取っ手に手をかけ、力を加えるとそれはあっけなく回り、鍵が掛かっていないことを知らせた。
「はっ、これは大佐。失礼致しました!」
室内に入ると、慌てた様子でこの部屋のもう一人の主が駆け寄ってきた。その人物はジェイドの手元の書類を見るとすぐさま受け取り、片手で敬礼した。
「フォルツォーネ中佐はどこに?」
「は、中佐は先ほど陛下の元へ行かれました。この書類は」
「ああ、君にお任せしよう」
そういうと、彼女は敬礼し真面目な顔で「お疲れ様でした」と告げた。
さすがラシュディの部下だ。と自分の部下でもあるのにジェイドは頭の片隅で感想を述べると、部屋から出た。
陛下の下に呼ばれているのなら、そのまま帰宅するのだろう。
いつもの場所で久しぶりに酒でも。そう思い、ジェイドも帰宅するため、コートを羽織ると軍部を後にした。
城の前の広場を通ると聞きなれた声にジェイドは呼び止められた。
振り返ると、同じ様に、コートを羽織ったラシュディが二人と共に立っていた。
似ているようで全く違う銀色の髪を持つ困った顔をしている軍人と、悪戯が成功したような笑みを浮かべた金色の髪を持つ青年と共に。
思わずジェイドは溜息をつき、手を額に当てた。
「全く、陛下。一体どういうおつもりですか?」
「そんな言い方はないだろう。俺達はお前を待っていてやったんだぞ?」
「勝手に抜け出されては困ります。貴方は参謀総長に説教をされるだけですが、ラシュディとフリングス将軍までその迷惑をこうむるんですよ」
「心配するな。今回はあいつらも丸め込んである」
楽しそうに笑うピオニーの斜め後ろでラシュディとアスランが顔を見合わせて苦笑していた。
「陛下、少し違いますよ。丸め込んだのではなくて、黙認してくださっただけですよ」
「そうです。我々がきっちりとお部屋までお送りすることを条件に、です」
そんな部下の苦労も気にも留めないのか、ピオニーはジェイドの肩を軽く叩いた。
「まあ、細かいことは気にするな。行くぞ」
「はいはい、不本意ながらお供させていただきますよ」
◆ ◆ ◆
連れて行かれた先は、グランコクマでも、指折りのレストラン。
そして、通されたのはVIPルーム。
「一体、どちら様がここの料金を払うんでしょうねぇ?」
くだらないことに税金を使わないで下さい。そう意味を込めてピオニーを見るが、彼はただ笑うだけであった。
部下を見ると、彼女も笑ってけれど首を横に振った。
「ここは、マクガヴァン元帥が抑えてくださったんです」
「俺が、やりたいことを話したら快く応じてくれたぞ」
「・・・元帥もくだらないことに・・・。で、一体何を始めるつもりですか?」
すると、ピオニーは驚いたように眼を見開いた。そして、ラシュディとアスランと顔を見合わせる。
「大佐、今日が何の日か分かりますか?」
「シルフリデーカンの22ですが?」
はあ、と大きな溜息が聞こえた。
呆れた顔をした、ピオニーが無理矢理ジェイドを席に座らせた。
そして、無理矢理ワイングラスを持たせる。
ワインを注ごうとするピオニーの手からアスランがとり、ジェイドへと注ぐ。
「大佐、お誕生日おめでとう御座います」
「お前、ついに自分の誕生日まで忘れたか」
「おめでとう御座います、大佐」
一瞬、眼を見開いたジェイドは、また俯いて溜息をついていた。
「寂しいお前のために、じいさんが大枚はたいたんだ。ありがたくうけとっとけ」
「はいはい、ありがとうございます」
余談ではあるが、嫌がらせのように用意されていた甘いケーキをジェイドは平気な顔をして食し、ピオニーは翌日胸焼けがすると、ラシュディやアスランに零していた。
お誕生日おめでとうございます。
**
いい夫婦の日だね、といわれて「ジェイド誕生日じゃん!」と思いだしました。(変な覚え方)
慌てて書いたために、オチもなにもありませんが、ジェイド誕生日おめでとう!(アゲハ蝶で書く時間が足りませんでした!)
またいつか加筆修正します。
[0回]
