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小ネタ日記

TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。 感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。

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遙か4 二日目の朝焼け

~移り往く季節を君と~



 肌を刺す様な寒さに、張り付いていた瞼を持ち上げた。
 隣を見れば、あどけない寝顔で眠り続ける夫君。珍しく朔夜が先に目覚めたらしい。

 彼を起こさないように気を使いながら、そっと寝具から抜けだし、夜着のまま広縁に足を踏み入れる。突き刺されるような寒さにおそわれるが、しっかりと目が覚めた。

 薄闇に包まれた常夜の空気をそっと吸い込む。

 空の端に曙光が滲み始める。

 日の出だ。寒さにかじかむ手を合わせ、息を吹きかけ擦っているとふわりと温かいものに包まれた。

「我が妃は初秋から風邪を召されたいのかな?」

 肩に顎を乗せ、朔夜を抱き込み自分ごと被る布にくるむのは先ほどまで寝ていると思っていたアシュヴィンだった。

「ごめんなさい。起こしてしまった?」
「……まあ、な。だが、日の出か。たまには早起きもいいもんだな」

 悪戯に朔夜の頬に口付けると朔夜を抱え直した。そのまま頭の上に顎を乗せられる。二人の身長差ではそのままの体勢ではアシュヴィンが疲れるために、定番の格好だった。

「冷えてるではないか。もう秋なんだ。きちんと上着を羽織ってからにしろ」
「忘れてたの」
「ならば次からは忘れないようにしてもらいたいな」

 アシュヴィンが喋る度に振動が頭から伝わってきて、どうにも笑いがこみ上げてくる。

 そうこうじゃれている間に、薄暗い青空に曙光が広がり、空の端に日輪が顔を覗かせていた。

「……やはり豊葦原の風景は美しいな」
「………」

 広がりゆく日の出の光をじっと見続ける妻の髪をさらりと撫でつけ額に口付ける。静かに伏せられた瞳の奥は見えない。


 いくら、愛情を注ぎ注ぎ合おうと、二人の大前提にある事実が深入りを拒む。そこを乗り越えたいと、望みながらもまだこの妻の思いを尊重したいと悩む自分にアシュヴィンは笑った。

「さて、我が妃の気は済んだかね?」
「ええ。っわ!?」

 頷くのを見届けずに己よりも小さな体を抱き上げる。薄い夜着越しに伝わる体温は冷えきっている。
 突然のことに驚き身を竦ませる妻の腕を首に回させ、そのまま共に寝具に入り込む。勿論抜け出そうとする体には腕を巻き付けて阻止する。

「二度寝するぞ」
「えっ! でも」
「どうせリブが起こしにくるだろう。それまでつきあって貰うぞ」

 胸に抱き込めば、おとなしくなる額にそっと口づけを落とし、掻き抱いて目を閉じた。



(不思議な言葉でいくつかのお題2)


新婚バカップルでした。

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遙か3 一日目の邂逅

~虹の向こうに~


 姉や幼なじみ達と濁流に呑まれてから綾音の日常は変わった。

 ただの遊技の延長線だった弓を片手に、人の理から外れた存在を滅する日々。
 怨霊、と呼ばれるかつては人や動物、植物。白龍のいう五行の上に生きていた其れ等が浄化という名の消滅を遂げると、誰もが浄化をした神子……姉に感謝していた。

 譲は、それが正しいことだと、当たり前のことなのだと認識したらしい。

 けれど、綾音が抱いたのは違うものだった。

「怨霊って、その……亡くなった時にこの世に未練が少し残っていて、陰の気? に引きずられて、異形になってしまった人や動物達だと思っていたんですけど、違ったんでしょうか……」

 少しの未練で、自らの意志も曲げられて望まぬ姿に変えられてしまった哀しい存在。
 だから、強制的に浄化させられても最期は安らかに眠るように消えていくのではないだろうか。

 そんな疑問を投げかけられた敦盛は驚いたようだったが、すぐに優しい微笑を浮かべると小さく頷いた。

 京や他の町で抱かれている一般的な怨霊の話はそうだろう。他の者が聞いたら、同じことなだけだと一蹴されるだろう。だが、自らがその身である敦盛は違った。

「やはり、あなたは優しい方だ。……怨霊は哀しい存在。故に心の底で神子の浄化を願う」
「……敦盛さんも?」

 寂しげに見上げられた敦盛は言葉に詰まると、綾音から目線をそらした。
 目の前に立つ公達は、人の理から外れてしまった哀しい存在。その手に触れても温もりは与えられず、ただ冷えきっている。

「…私は今は神子の八葉。この責が終われば、私は理に戻らなければならない」
「……うん」
「だが……」

 冷たさを伴うだけだからと、自らは握らない綾音の手を掬い取ると、敦盛はそっと自らの額に当てて目を閉じた。

「それまでは貴女と共にいることが許されるならば、私は貴女の傍にいたいと思う」
「っうん。私も敦盛さんといたい」


 優しく笑い合う二人を曼珠沙華が見ていた。






「そこは、姫君の繊手に口づけを贈るところだろ」
「いやぁ、お二人とも初々しいですねぇ。僕も若い頃は」
「お前は初々しさなどなかっただろう」
「そうだぜ。あんたが初々しい時なんて赤子の時だけだろうさ」
「綾音は敦盛君が大好きだよね」
「……多分、お互いに自分の感情には気づいてないと思いますよ」
「えー?そうかなぁ…」
「綾音もついに、そういう年頃になったんだなぁ」
「将臣君」「兄さん」
「あ?」
「「年寄り臭い」」


(不思議な言葉でいくつかのお題2)

出歯亀隊です。

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彩雲国 落日の通り雨

 すべてを、洗い流す。すべてに、恵みをもたらす。



「わー、降ってきたっ」

 ふらふらと貴陽を出歩いてきた有紀は久しぶりに一人でウィンドウショッピングという名の冷やかしを楽しんでいたところで、夕立に降られた。

 とっさに肩布を頭に掛けてどこか雨宿りの場所を探すが、見渡せる範囲にある店の軒先は雨宿り客で一杯だった。

 割り入る隙間がないわけではないが、夕立な訳だしこのままでもいいかと自己完結した時。有紀に降り注ぐ雨が消え去った。

「え?」
「そのまま帰ったら風邪ひきますよ?」

 聞き慣れた耳障りの良い声に振り返ると、眉目秀麗な青年が呆れを含ませた笑顔で有紀に傘をさして気配なく後ろに立っていた。
 見知らぬ人がいれば話しかけるのをためらう類の美形ではあったが、有紀は顔見知りだったために柔和な笑みで見上げた。

「静蘭、久しぶり」
「ええ、お久しぶりです。有紀さんはまた散歩ですか?」
「うん。静蘭は……」

 彼の空いている手をみると買い物籠が見えた。まだ何も入っていないところをみると今から買い物だろうか。
 有紀の考えを読んだかのように、静蘭は「そうですよ」と微笑んだ。

「お嬢様は今日はアチラで帳簿付けをされてくるらしいので私が」
「あー…。胡蝶さんは秀麗ちゃんが大好きだからね」

 貴陽一の女郎で帳簿付けの賃仕事をしている秀麗の姿と、そこを取り仕切る伎女の姿を思い起こし、有紀は苦笑を浮かべた。
 たまに有紀も頼まれて手伝いに行くが、秀麗はそこにつとめる者達に大切にされている。

「有紀さんも今夜はご一緒にどうですか?」
「え、いいの?」
「ええ。お嬢様も旦那様も喜ばれます」

 嘘偽りない笑みで静蘭は言った。客が一人増えると食費を圧迫するが、そんなことよりも人を招いて食卓を囲むことの方を大切にするのだ。
 しかし静蘭も他の客ならば、少し難色を示す。けれど、この知己の少女は別だった。自分のそんな気持ちに少し驚きつつも、すんなりと受け入れてしまう。

「じゃあ、お呼ばれさせていただこうかな」
「ええ、是非」
「そうだ! この間旅先で食べたのが美味しかったから、みんなに食べて貰いたいな」
「それはとても楽しみですね」

 傘の中でそんな話をしていると、次第に雨足も弱くなり、雲の隙間から陽光が差し込み始めた。




(不思議な言葉でいくつかのお題2)

静蘭が自分から食事に招待する希有な人物です。

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傍系主 夢のおかわりもう一度

 傍で微かなうめき声が聞こえた。
 近頃性根を入れ替えた、又従兄弟がまた魘されているのかと起き上がりルークを見るが、彼は健やかな寝息をたててチーグルと共に気持ちよさそうに寝ていた。

 また、聞こえる。

 呻き声は誰なのか。完全に起きあがりあたりを見渡す。
 火の近くで寝ずの番をしているジェイドの姿が見えた。


「っあ、ねうえっ……―――」

 よく探すまでもなく、ルークの隣。ルニアから少し離れた位置で寝ているガイだった。
 眉間に深い皺を寄せ、うっすらと汗をかいて、苦悶の表情を浮かべている姿に悪夢に魘されているのだと簡単に想像がついた。

 そっと立ち上がり、ガイの枕元に膝をつくと、ジェイドから視線を感じたがすぐにそらされた。

 朝を迎えたときにまたからかわれるのだろう、と思い微かに笑うと汗でびっしりと額に張り付いているガイの前髪を指で払った。

 固く握りしめられている片手をそっと解して握りしめると、肩がぴくりと震えるのが目に映った。
 寝ていても反応するのは相当体の奥深くまで染み着いているなと苦笑する。

「…大丈夫だよ」

 髪をさらりと撫で、手を優しく握りしめる。
 たったそれだけのことで悪夢が去るとは思ってはいないが、何もしないよりもましだろうと、ルニアは優しくその動作を繰り返した。

 どれくらいの間繰り返したのだろうか。
 ガイの手に力が込められて握り返されたのにルニアは気づき、髪を撫でる手を止めた。

「ガイ…?」
「……ありがとう、……ルーニャ」

 不意に開かれた青い瞳と目が合い、ルニアは驚いたように目を瞬かせる。
 指を絡ませて握られた手が震えていないのに気づき、相好を崩した。




(不思議な言葉でいくつかのお題2)

何気なく傍系主のプロットを立てています。
はじめは特に深く考えていなかった設定が小ネタ日記で深く根付き初めて、いい感じに育ってきたと思うので…。最期はガイEDですけど。
それは誰でも予想してますよね~
ただ見ていてじれったいほどのゆっくりとした関係ですね。

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真田さん家 満月を呑んだ石

 真田家の周りには、少し変わった人が多い。
 まず、垣根を挟んだお隣の家だ。

 隣の家は、とても広い庭を持っていて、古くから剣道の道場を開いている。住み込みの弟子もいるらしく、近づけば賑やかな掛け声がするのだが、土地が広すぎて往来まではその声は届かない。
 その家の主は武田信玄という。
 なぜか周りからは「お館様」と呼ばれているが、気にする人間は一人もいない。
 丸めた頭が眩しく、年を感じさせない力強さと猛々しさ。腹の底からの声は隣町まで届くとの噂である。
 真田家の両親と昔からのつき合いらしく、子供だけで過ごす隣家に常に気を張ってくれている。

 ちなみに幸村がとても懐いていて、垣根を潜ってはよく敷地に潜り込んで遊んで貰っているらしい。本人曰く「たんれんでござる!!」らしい。
 幸村が時代錯誤なしゃべり方をする原因の10割がこの老人である。



 お向かいさんは、とても美麗な男性が一人で暮らしている。
 秀麗な顔立ちと穏やかな物腰、柔らかいしゃべり口調は近所の奥様にも人気である。たとえ年齢不詳であったとしても。
 その人は上杉謙信という。
 その昔、武田信玄と剣道の腕を競い合い日の本一の座をかけて何度も雌雄を決したらしい。
 今ではご近所でも評判なお料理教室を開いていて、余分に作ったおかずをよくお裾分けで貰う。


「おお、麻都ではないか!!」
「さなだのむすめよ、なにかふじゆうなことはありますか?」

 保育園の帰り道。疲れて歩きながら眠る弟を背負いながら帰り道を歩いていた麻都は、そんなご近所さんに遭遇した。

 帰り道に買い物をしようと思っていたが、さすがにそこまで力持ちではないので先ほど兄に連絡を取ったばかりだった。

「こんばんは、お館様、謙信公」
「その背中におるのは幸村じゃな」
「そなたにはおもたいのではないですか?」
「どれ、儂が負ぶってやろうか?」
「いえ。ところでお二人は揃ってどちらへ?」

 忘れていたと言わんばかりに笑いだした信玄の声に背中の幸村が反応した。

「おお、忘れておった。今から、儂等の昔の友に会いに行くところでな」
「まちあわせのじかんをまちがえ、いまからむかうところです」
「うむ。手伝ってやれんですまんの」

 心底心配そうな顔をする二人に笑いながら幸村を背負い直す。もごもごとおやかたさまとつぶやいているのが聞こえる。

「ありがとうございます。もうすぐ兄が来てくれるらしいので大丈夫です。お二人とも、楽しんでいらしてくださいね」
「そなたも。ああ、もんかのものにやさいづくりのめいじんがいるときいたのでみやげにそなたにもってきましょう」
「おお、そう言えばそう言っておったな。どれ、みやげを楽しみにしておれ」

 豪快に笑いながら反対方向へと歩いていく二人を見送って軽い会釈を送ると、軽いクラクションの音がした。
 慌てて振り返ると兄の愛車が後ろに停まっている。

「ごめんね、やっぱり今日は俺が行けば良かったね」
「ううん。私が行った方が早いから。それに拾って貰えるだけで助かる」

 運転席から降りて、麻都の背中から幸村を受け取ると、チャイルドシートに寝かせる。
 そのまま流れるように助手席の扉を開く兄に思わず笑い、乗り込む。

「今日は車で行って正解だったねぇ。どうせだから夕飯外で済ませちゃう?」
「うーん。さっき、どて煮が食べたいって言われたばっかりなんだよね」
「どて煮? 幸って相変わらず、年に似合わないのが好きだねぇ。まあ、いいじゃんいいじゃん。今日さ、片倉の旦那に伊達グループのレストランの割引券貰ったんだ。だから行こうよ」

 そのまま車を走らせる兄の横顔を見て、後ろを見る。
 幸せそうな顔で寝ている幸村は、夕飯の内容が変わったところで怒る子ではない。

「なら行く前に制服は着替えたいなぁ」
「了解ってね~」



(不思議な言葉でいくつかのお題2)

佐助は基本は電車通学なのですが、たまに車で行きます。
麻都の高校の帰り道に幸村の保育園があるもよう。

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