TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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ひらひらと舞い落ちる薄紅色の花弁の下で、彼女は切なそうに微笑む。
それは花弁を惜しむようで、けれど自分もそうあれたらという願望が伴ったまなざしだった。
それを見る度に景時は彼女をこの地に引き留めるように手を伸ばしかける。
けれど、己が両腕を見れば血塗られ決して彼女にふれられぬことを悟る。
その度にまた思うのだ。
自分は彼女を引き留めることは叶わぬのだと。
「曙未さんは桜を下から見上げるのが好きなんですか?」
神泉苑に来るつど桜を見る曙未に気づいたのか、白龍の神子――春日望美は明るい笑みと共にそう尋ねた。
そんな声を聞いてしまった景時はつい振り向いて少し困惑しているような曙未を盗み見た。
まだ神子にどのように接すればいいのか戸惑っている曙未はなんと答えればいいのかわからないようだった。
「……君は、誰かがつなぎ止めておかないとどこかに飛んでいってしまう気がするよ」
「景時、曙未は人間なのだから飛ぶわけがないだろう?」
「うわっ! …そ……そういう意味じゃなくてさ、九郎」
気づくと桜の幹に隠れ見ていた景時の後ろに九郎が立っていたことに驚きつつも拾われてしまった独り言に苦い笑みをこぼした。
「そういう意味じゃないんだ」
「ではどのような意味なんだ?」
九郎になんと答えればいいのか考え倦む景時は曙未がなんと答えたのかは聞いていなかった。
そして曙未のその答えを聞いて望美がうれしそうに微笑んだことを知るのは曙未と白龍のみであった。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
明烏も一歩間違ってハッピーエンドに終わる予定です。
うちのサイトでバッドエンド的なものは神子さまだけですね。アゲハ蝶もそんな終わり方のはずだったのに。
[0回]
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きれいな花が咲いていた。
周囲を見渡すと咲き誇るのは彼女一輪のみで、摘み取ってしまうのはかわいそうだといつもは思わないことを想った。
「……そのような理由でこれを?」
「うん、そうなんだ」
渡されたものを丁寧にそっと持つ彼の双眸は暖かいまなざしでそれを見ていた。
「セフィアは細工もとてもすばらしいが、デッサンもすばらしいのだな」
「うーん?比べる対象がないからよくわかんないけど……」
照れくさそうに頬をかくとセフィアは彼に渡したそれを横からのぞき込んだ。
「いいものを見慣れてるリーガルにお世辞でもそう言って貰えるとうれしいな」
「私は世辞は苦手だがな。この花からは、『生』への強い執着心を感じ、同時に寂しさと愛おしさを想う」
優しい眼差しは小さな紙に書かれた花からセフィアへも向けられた。
日頃難しくて哀しい顔をしているリーガルがこんな優しい表情を浮かべるのを見るのが好きなセフィアはうれしくなって微笑んだ。
「みんなでお揃いの髪飾りを作りたいねって想ったから今晩から作るんだ。できたらリーガルにもあげるね」
髪飾りはいらないと言おうとしたリーガルは無邪気に笑うセフィアの申し出を断ることができずに苦笑を浮かべてありがとうと伝えた。
女性陣がお揃いの髪飾りをつけているのに加えて、リーガルがつけていても気にならない程度のものを彼がつけているのを見てなぜかロイドがほしがり、しかしセフィアは女性陣とお揃いをロイドにあげるという話があることを補足しておく。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
リーガルさんとグウェンダルが混ざります。未熟ものめ!!
実は企画主との組み合わせで一番好きなのは、セフィアとしいなかリーガルだったり。
リーガルさんとのほほんとしているのを見て、拳を強く握るロイドとクラトスも楽しいのですが。
[0回]

仕事が終わりのんびりと後宮の自室でくつろいでいると遠くから聞きなれた声の絶叫が聞こえた。
それは久しく聞いていなかったもので思わず口角があがるのを抑えられなかった。
梅雨入りを果たした彩雲国では、有紀の故郷でよく見られた移り気の花言葉を持つ紫陽花が咲いていた。
それを押し花にしていた栞を本に挟むと迷子の幼なじみを連れ戻しに自室を出た。
しとしとと雨が降る中、湿度と自身の手によってくしゃくしゃになった地図を握りしめて鉄壁の理性を自負する吏部侍郎、李絳攸は目をつり上げた。
「ここはどこだ!! いつから吏部は移動したんだ!」
ぴちょん、と屋根の縁から落ちて紫陽花の葉に雨粒が降り落ちた。
本人は絶対に認めないが迷子中の絳攸は非常に苛立っており、些細な音を立てた紫陽花を親の敵とばかりに睨みつけた。
「紫陽花を睨んでも何も変わりませんよ?」
慌てて振り向くとくすくすと笑っている有紀が立っていた。
大人げない(さすがに冷静になるとそう思われる)姿をずっと見られていたと気づいた絳攸は恥ずかしさがこみ上げぷいとそっぽを向いた。
「覗き見とは趣味が悪いぞっ!!」
耳が少し赤いのが隠せていないのを見て有紀は思わず笑ってしまった。それを耳ざとく聞きつけた絳攸は勢いよく振り返り有紀を睨みつけた。
女官姿の有紀を上から下までじっくりと見ると片眉をつり上げた。
「……仕事はどうした」
「終わったのでくつろいでおりました」
「普通に話せ」
絳攸は有紀が敬語で話すのが好きではなかった。
一応女官であるために位が高い絳攸に敬語を使うのは当たり前であるのに彼はそれを厭う。
そんな絳攸のまっすぐなところが好きでいつも怒られると分かっていて敬語で話すのだ。
「……有紀がいるということはここは……」
「後宮だよ。絳攸は」
「……仕事中だ」
憮然たる面もちで腕を組む彼はどこか投げやりだった。付き合いが長いだけに仕事中なのに後宮をうろついている理由を指摘されても腐れ縁に指摘されたときよりも怒りはわかない。
「じゃあ道を間違えたんだね」
「……そうだ」
地図が悪いと言わんばかりに強く握りしめる絳攸を見てプライドが高いのは相変わらずだと思わず笑いがこみ上げる。
「どうせずっと迷ってたならもう少し迷子になっていたことにしない?」
突然の誘いに彼は疑問符を浮かべた。
「こんな風に絳攸とゆったりと過ごすのは久しぶりだね」
「そうだな……。俺が官吏になってから……か?」
後宮の自室に招いた有紀に彼ははじめは
「節度を持て!! 男を簡単に招き入れるな!」
と怒鳴ったが有紀が苦笑を浮かべ「黎深様はよくいらっしゃるよ」と告げるととたんにおとなしくなった。
お茶とお茶請けを出すと絳攸は少し表情を和らげた。
彼が数刻も後宮でぐるぐると迷子になっていたことは想像に難くない。
主上付きになったけれど肝心の主上には見えることが叶わず、真面目な彼は非常にいらいらしている。
そんな主上を変えるために有紀の大切な友人……紅秀麗に白羽の矢が立ったのだ。彼女が後宮にやってくる前に有紀は秀麗を支えられるようにと後宮に入った。
この采配がどのような結果をもたらすかまだ有紀は知らないが今このときを大切にしたかった。
「ゆっくりしたら外朝まで案内するね」
「……頼む」
それまでは久しぶりにゆっくりと会話を楽しもう。
お互いの穏やかな顔がそう語っていた。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
彩雲国の原作沿いを二巻まで買いてみたいです。(首締め)
[2回]

大広間には、冷たい沈黙が降りた。
「この国は好きか?」
後戻りできない、大きな一歩。
皆、一様に顔を伏せ、今上帝の言葉を待つ。
「今の立ち位置から移動する気はないか?」
逃げられない卑怯な質問に嘘偽りなく答えればもう罠にはまったも同然で。
「ええ、マルクト帝国が好きよ。……愛しているわ」
静かな声は、水音に沁み入ることなく彼女の胸に静かに浸透した。
「俺の隣に居て欲しい」
ふざけないでと叫びたいのか、逃げてしまいたいのかわからない。
ただ心だけが正直に叫んでいた。
私に、隣に立つ資格があるのなら。
椅子に腰掛けた皇帝は不敵に笑った。
「妃を迎えようと思う。皆の意見が聞きたい」
外堀からじわじわと埋めていく卑怯さ。
けれども、太陽のようにきらきらと輝く金の髪も、いたずらに光る青い瞳も、痩身に見えながらもたくましく力強い腕も、傲慢なほどに自信がある強気なところも。そんな卑怯なところも。
「私に、その資格があるかしら」
「……ある」
――この国を愛している者なら、大丈夫だ。
**
途中で力つきました。
[0回]

グウェンダル夢?
時は26代魔王、フォンシュピッツヴェーグ卿ツェツィーリエの時代。
戦火は広がり、ついにテリアーヌス卿セレスティア率いる隊にも出動命令が下った。
そのことに何よりも最後まで反対していた者は魔王陛下たるツェリとその息子達とアニシナだった。
だが決定事項とされたその命令を苦しむツェリから承けた時、セレスティアの心は穏やかだった。
出陣の挨拶に赴いたセレスティアにツェリは涙ながらに謝った。
「許して頂戴。いいえ、そんな甘いことを言えないことはわかってはいるわ。でも、でも……っ」
「陛下……」
「んもうっツェリって呼んで頂戴!」
「ツェリ様、よくお聞き下さい」
ツェリと対して変わらない背丈のセレスティアは肩に顔を埋めていたツェリを真っ正面から見据えた。
「私は誰も恨んでいませんし、憎んでもいません。私は軍人です。軍人である以上、国を守るために全力を尽くします。大切な人の住む国を守るためには命も惜しくない」
「セレス!」
「ですが私は命を粗末にするために赴くわけではありません。だからこそツェリ様にお願いがあります」
美しい翡翠の瞳に涙をためるツェリにセレスティアは穏やかに微笑んだ。
「祈って下さい。戦が終わるよう、無駄な犠牲が出ることのないように」
泣き崩れてしまったツェリを付き人に任せるとセレスティアはその場を去った。
厳かな空気漂う血盟城の廊下を静かに歩き続ける。
忙しなく人が行き交う公の場と、魔王とその家族の住まう私的の場の区切りにさしかかるとその足を止めた。
ツェツィーリエの次男、ウェラー卿コンラートは今、ウィンコット領にて剣術指南をしている。
三男フォンビーレフェルト卿ヴォルフラムも今はビーレフェルトに居る。
そして、長男フォンヴォルテール卿グウェンダルはこの奥にいるはずだった。
十貴族の長の一人として、軍事会議に出席しているからである。
明日には戦地に赴く準備が始まるために挨拶しておきたい人物ではあったが、幼い頃共に過ごしたときとは違い彼にはセレスティアが理解することのできない大きな責任と重圧を背負っている。
そんな彼に一軍人でしかすぎないセレスティアが挨拶に行ってもいいのだろうかと戸惑いが生まれていた。
アニシナにも肉親にも友人にも挨拶は済ませた。あとは彼だけ。
石畳を右に行けば、彼の私室へと。左に行けば、ぐるりと城を回り入り口に。
誰も通らない廊下の真ん中でセレスティアは石畳を見つめていた。
だが、結局彼女の足は左へと向かった。
忙しいグウェンダルの時間を自分のようなただの幼なじみに裂くのは忍びないし、迷惑だろうと結論づけたためだ。
(グウェンから見れば、ただの幼なじみだもの……)
自嘲し、心の内でぼやくとほんのりと胸の奥がつんとした。
誰とも会うことなく城の入り口に着いた。
血盟城内に部屋を賜ってはいたが、どうしても行く気になれなかったために夜まで城下で過ごすつもりだった。
明日は朝早い。
もう懐かしい人と会うこともないのだろう。そう思うと少し寂しかった。
(……グウェンに、会っておきたかったな)
また自嘲した時、廊下の奥から荒々しい足音が聞こえた。
同時に、大好きな低音の叫び声が聞こえた。
「セレス!! セレスティア!!」
思わず足が止まった。
立ち止まったセレスティアを見て声の持ち主は足を止めることなく走り続けた。
もう一度、今度は静かに名を呼ばれセレスティアは後ろをゆっくりと振り返った。
「閣下……」
視界に入ったのは深緑色の軍服に剣とベルト。
ゆっくりと見上げれば、黒に近い濃灰色の長い髪と深い海のような青い瞳。
冷たい印象を与える彫りの深い顔の眉間にはこれ以上ないくらい深い皺が寄っていた。
同い年で幼なじみのフォンヴォルテール卿グウェンダルである。魔王陛下の長男である王太子たる彼はヴォルテールを治める長でもある。
「閣下と呼ぶなと何度言えばわかる」
眉間のしわはそれが原因らしい。
「……ごめんなさい、グウェンダル」
曖昧に笑うこともできずに俯くと大きな手がセレスティアの顔に添えられクイと上を向かされた。
見上げると悲しさと、怒りが混ざった青い瞳が目に入った。
「……どうして私には会っていかいないのだ」
「……忙しいと思って」
「私はっ!……私は一言おまえに言わなければいけないことが」
言葉を遮るようにセレスティアは背伸びをするとグウェンダルの唇に人差し指をあてた。
「あなたが謝る必要はないわ。私が出陣してはいけない理由があるわけではないのだから」
「……」
何か言いたそうなグウェンダルの視線を無視してセレスティアはしゃべり続ける。
見た目と反比例するグウェンダルはセレスティア知る限り誰よりも優しく、誰よりも国の安寧を願っている。
そんなグウェンダルに自分のために悲しい思いを、つらい思いをさせたくなかった。
「私は争いは嫌いよ。だから戦いに行くわ。あなたは、無駄な犠牲を出さないように采配を」
「……っだが」
「このまま酷くなれば、“彼ら”はいらない誹謗中傷を?%E:221%#ッて絶望的な場所に送られてしまう。あなたの大切な弟がよ?それでもいいの?私はいやよ」
優しくもあり不器用な彼は、すぐ下の弟を血など関係なく愛していることを知っているからこそ。
「ありがとうグウェン。最期に会えて良かったわ」
背伸びをやめて、そっとグウェンダルから離れたセレスティアは穏やかに微笑んだ。
それがなぜか最期の別れのように見えたグウェンダルは思わず腕を伸ばした。
優しくではなく痛いほど抱きしめられたセレスティアは彼が泣いているように感じた。
「……必ず帰ってこい。生きて帰ってくるんだ」
「……ええ」
(不思議な言葉でいくつかのお題)
気づいたらすごく長くなりました。愛故ということにしておいて下さい。
原作>マ王!ではありますが、話の展開的にマ王!の方が書いていて平和になりそうです。
断然原作派ですが、書くならマニメ……。
原作っぽくつけるならグウェンダル夢が「マのつく風と共に」で、ギュンター夢は「あなたとマのつくワルツを」
的な副題です。本題にすると面倒そうなので。
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