TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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彩りと華やかさを添える。
一本一本丁寧に、色合いを考えて美しく仕上げる。
「……紅貴妃様、よくお似合いです」
そっと手をはなすと彼女は静かに瞼をあげた。
その瞳はいたずらに輝く。頬を幼子のように膨らませて有紀をじっと睨んだ。
「もう、誰もいないときはいつもの有紀姉さまでいてって言ったのに」
「でも本当に貴妃様らしいから思わずそう言ってしまっただけ」
困ったように笑うと秀麗は一瞬言葉に詰まり、ごまかすように鏡を見た。
毎朝秀麗の髪に簪を挿すのがここ最近の有紀の日課だった。
あまり自分の髪に頓着しない有紀が手がけているのになぜかとても秀麗に似合う。
それはとても不思議なことではあったが、秀麗は嬉しく思っていたので疑問の欠片も抱いていなかった。
「今日も可愛いわよ、秀麗ちゃん」
「……っもう、からかわないでよ」
怒ったフリをする秀麗を見て有紀はとても幸せそうに微笑む。
籠の中の鳥は秀麗にはまるで似合わないけれど、こんな風に楽しく笑い会える日が一時でもあるのはとても嬉しい。
幸せだとにじみ出る有紀の微笑を見て秀麗は言葉にまたも詰まり、有紀の帯飾りを見ながらそっと口を開いた。
「……有紀姉さまは、後宮は楽しい?」
「そうだね、目的があるととても心が満たされるかな」
「……もしも、もしもよ?」
帯飾りから顔を上げた秀麗は、なんともいえない微笑を浮かべた有紀を見た。
思わず言葉を飲み込んだ秀麗はじっと有紀の目を見続けた。
「なあに?」
「…、ううん、なんでもないわ」
たとえばの話は好きではない。
(ふしぎな言葉でいくつかのお題)
リハビリです。原作沿いとかは始めると首を絞めそうです。書きたいけど
[1回]
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彼が残した書き置き。
それは彼が傷つきぼろぼろになり、信じるものを失ってしまったことを語っていた。
だが、傷ついたのは彼だけではなかった。
「……ボクらの知っている御剣は、死んだんだ」
「……龍一君」
一人きりになった事務所で彼は顔をゆがめながらそっぽを向いた。
片手に握りしめられた一枚の紙切れはぐしゃぐしゃになり、原形をとどめていなかった。
「勝手なことを残して居なくなる。やっぱりアイツは、あの頃とは全く違うんだ……ッ!」
怒気に紛れて悔しげな表情が見え隠れする幼なじみの様子から稔莉は彼が感じていることを理解した。
それは成歩堂龍一が何よりも嫌うことの一つ。
『裏切り』
「怜侍君は裏切ってないよ」
「……っ、ボクにはキミのようにアイツを信じられる要素がないんだ。……それに、この書き置きがアイツが裏切ったという何よりの証拠だ」
握りしめた紙切れを睨みつけて、彼は再び呟く。
頼りなく、けれど怒りや憎しみに近いものを漂わせながら。
「ボクの知っている御剣怜侍は死んだんだ」
(詩的20お題)
2をクリア書きたくなるネタ。
[0回]

久しぶりに店にきた幼なじみは噂ではもう帰らぬ人のはずだった。
「お久しぶりです、エミリア」
にこやかに笑みジェイドは特に驚いた様子のない幼なじみに手を振った。
「あらジェイド、元気そうで何よりだわ」
「いえいえ」
「そちらの後ろで驚いている方々は?」
ジェイドは肩を竦めると入り口であんぐりと口を開けている旅の道連れたちを振り返った。
「しょうがない方たちですね。あなた方は、そこが入り口だとお気づきですか?」
「申し訳ありません、ジェイド」
いち早く我に返ったイオンが呆然と立ち尽くす皆を入り口から退くように促す。それに乗じて我に返ったアニスはジェイドにびしり!と指を突きつける。
「た、大佐が……。大佐が、女の子のあこがれのお店が行き着けぇ?!」
だがアニスの叫びも介さないのかジェイドははははと笑いながらエミリアに言った。
「だ、そうですよ。よかったですねぇ、エミリア」
「しかもなんか親しげですよイオン様~!!」
納得がいかないのかアニスがイオンの腕をぶんぶん振り回すがイオンは苦笑を浮かべるだけだった。
「お、落ち着けアニス。いくらジェイドだって親しげな女性の一人や二人や」
「さすがに大勢はおりませんけどね」
「ほ、ほらな?」
「ガイだって動揺しているくせに」
漫才でもしているかのような彼らの会話にきょとんとしていたエミリアだが、不意に目元を和ませて小さく優雅に礼をした。それに合わせてかジェイドはエミリアをさしてにこやかに笑った。
「幼なじみのエミリアですよ。エミリア、こちらはまあ愉快な仲間たちといった感じです」
「ずいぶんな紹介の仕方ですこと、失礼ですわよ大佐」
「おや、これは失礼」
にこにことジェイドたちのやりとりを見ているエミリアは、時計を見てはっと驚いた。
「ねぇジェイド」
「なんですか?」
「私、あなたが死んだと聞いたのだけど」
「ええ、まあこの通り五体満足ですけど」
「それは見ればわかるわ」
肩を竦めるジェイドと会話の内容の割に特に不思議な顔をしていないエミリアを見てルークは首を傾げた。
「なんか、ケテルブルクのジェイドの妹の反応がふつうじゃない気がしてきたんだけど」
「……いや、あの人の反応がふつうだと思うぞ」
次第に驚きではない焦りを顔ににじませてエミリアはジェイドを見て、不意にティアやアニス、ナタリアを見た。
三人はジェイドとエミリアのやりとりに既に興味をなくしたのか店内に陳列している棚を物色していた。
楽しそうに笑い合う姿を見て、徐々に落ち着きを取り戻すとエミリアはゆっくりと笑みを浮かべた。
そんなエミリアを見てジェイドもあからさまなため息をつく。
「何に焦ったかと思えばもう店主の顔ですね」
「……陛下には顔をお見せしたの?」
「ま、一応は」
「鬼籍入りしてなかった?」
そんなことを心配していたのかとジェイドは肩を竦めて笑う。
「陛下があなたと同じように信じていてくださったようなのでまだ大丈夫でしたよ」
「そう……無事でよかったわ」
ふわりと微笑むとエミリアは三人のそばへと静かに移動した。
「……でもアンタにも笑いかける相手がいたんだな」
「ただの“おさななじみ”ですよ。彼女はね」
「……ってことはあのディストとも……?」
ジェイドは目を細めると勝手知たたる店内と言わんばかりに備え付けのいすに座った。
「あなたならこの色の方が似合うわよ」
「え……っ?」
おいてあったネックレスを眺めていた三人の邪魔にならない位置から一つずつ手に取るとひらりと見せて笑った。
「興味あるお年頃ってやつでしょ?」
「え、えと……で、でも旅では邪魔になるだけだし…」
「こうやって街に来たときくらいおしゃれしたくない?」
「そ、その……」
黙り込んでしまったティアに微笑みを浮かべているとアニスが勢いよく手をあげた。
「はーい、お姉さん大佐とどんな関係ですか?」
その質問に思わず首を傾げるとエミリアは正直に答えた。
「おさななじみよ?」
「……あやしい関係?」
「違うわよ?」
「……そういえば、大佐の行きつけだからと言ってこんなに大勢でお邪魔してもよろしいのでしょうか」
ナタリアが不安げに店の奥につながる扉を見るとエミリアは楽しそうに小さく笑った。
「あら、気にしないわ。ジェイドにつき合える人たちは貴重だもの。こんな店でよければ歓迎するわ」
なぜかティアとアニスとナタリアとガイの四人が驚いたようにエミリアを見た。
四人がなぜ驚いているのかわからないルークはイオンと顔を見合わせた。
「おや、エミリアもずいぶんと有名になりましたね」
「まあ、庶民は両国をよく行き来するしな……」
「大佐自体有名ですが、大佐のお知り合いの方々も名が通った方が多いのですわね……」
よけいに訳が分からないルークは困ったように笑うエミリアをじっと見つめた。
「改めまして『胡蝶』の店長兼デザイナーのエミリアです。ジェイドをよろしくお願いしますね」
(不思議な言葉でいくつかのお題)
思ったように書けないのがアゲハ蝶とアビス本編を絡めること。
前から別場所でチャレンジしているんですけどうまくいきません……
[0回]

痛々しい少女の姿に有紀はどうすればいいのかわからなかった。
邵可の妻薔君が亡くなられてから有紀は黎深や鳳珠に連れられて邵可邸に行くことはなくなった。
聞く話によると家人達が、薔君が亡くなったために動揺している家主たちを後目に高価な品々を持ち出して家を荒らしたとか。
行くな。とは言われていない。けれど、行ったところで慰めの言葉は言うべきではない。
けれどその話を聞き、有紀は居ても立ってもいられなくなり屋敷を飛び出した。
家主達が意気消沈しているだけで屋敷が見ただけでわかるほど空気がよどむことを有紀は身を以て知った。
哀しい。なぜ、どうして。
そんな感情が漂っているようだった。
「有紀ねえさま?」
「……っ」
屋敷の入り口に立ちどうしようか悩んでしまった有紀の背中に聞き覚えのある小さな声がかけられた。
振り向くと、髪を適当に纏め服も適当に着付けて、きょとんと有紀を見上げている秀麗の姿があった。
「……秀麗ちゃん」
「有紀ねえさまどうしたの? とってもかなしそうだよ」
自身も大変な境遇に放り出されたというのに有紀を気遣う秀麗の優しさに有紀は思わず目の奥が痛くなり涙がこぼれそうになった。
それを堪えるために有紀は膝を折り秀麗を優しく抱きしめた。
「有紀ねえさま?」
「…大丈夫だよ。秀麗ちゃんの顔を見たら元気が出たから」
どのくらいの間そうしていただろうか。
そう大した時間が経たぬうちに有紀は秀麗を放した。そして優しく髪を撫でながら秀麗の顔をのぞき込んだ。
「髪と服は自分で?」
「うん」
「じゃあ秀麗ちゃんが自分で結えるように教えてあげる」
「ほんと?」
ぱっと顔を輝かせる秀麗を見て思わず有紀も笑みが浮かぶ。
「じゃあお茶とおりょうりのつくりかたもおしえて?」
「……静蘭は?」
「……せいらんはいっぱいかなしんでるから、しゅうれいがつくってあげるの」
あの冷静という言葉が何よりも似合いそうな静蘭が……。思わず有紀はそんな静蘭を思い浮かべてしまった。
「いいよ。私もあまり作れないけど、お饅頭を作るのが上手な秀麗ちゃんならすぐ上手になるよ」
仲良く厨房に立つ姿を二人の人間が見ることはなかった。
**
オチがありません。
[1回]

範にて黄旗が揚がる。
簡素な言葉で香寧の文は始まり、そして終わっていた。
次は範に行く。ある程度状況を見て、戻る。勝手に出歩かないように。
締めの言葉に雁国主従は浮きかけた腰を渋々下ろした。
黄旗が揚がったというのに範の人々は浮かない顔をしていた。
黄旗。すなわち麒麟旗が揚がったということは、蓬山におわす麒麟が王の選定に入ったことを示す。
王が選ばれれば天災は収まる。
だが、範の人々が浮かない顔をしているのも香寧にはわかる気がした。
まだ営む気力のある茶屋で香寧は小休止を取っていた。
「お客さん、外の人だね?」
のんびりと茶碗を机におくと香寧は話しかけてきた店の者に顔を向けた。
「……ああ」
「どこか聞いても?」
「支障はない。雁だ」
香寧の予想通り店の者は一瞬だけ羨ましそうな顔をするとすぐに落胆したように苦笑を浮かべた。
「……雁のお人には何もない国だけどね」
「……いや」
あの荒廃に比べれば。その言葉を飲み込むと香寧は静かに茶碗に手を伸ばした。
「……雁は、腕が売りだったな」
突然割って入った人物に別段驚くことなく香寧は店の者に目配せした。心得たのか店の者は突然入ってきた人物。顔立ちがすっきりとした青年にも茶を出した。
「よく知っているな」
「……雁も特に産出するものがないわりに他国との取引が成り立っているからな」
「……怪我の功名のようなものだがな」
疑問符を浮かべる青年に香寧は首を横に振って失言を無かったことにした。
「このまま国が復興したとしても範には何もない」
「……民がいるじゃないか」
「……だが、民にも何か目指すものがあれば復興の度合いも代わり、後々国が豊かになる」
そこで言葉を切り香寧を見る青年は「雁のように」という言葉を飲み込んだようだった。
豊かになった雁だけを知るものには知らないことがある。
普段はそこまで説明する気が起きないと言うのに香寧は何故かそこで微笑が浮かんだ。
青年も何故そこで笑われるのかわからないのだろう。端正な顔を少し不可解そうにゆがめる。
「すまない」
笑いを堪えながら謝罪を口にすると青年は納得がいかないようだった。
「市井を歩き旅の途中の私のようなものと茶を酌み交わす人間がまるで王のようなことを口にしたから」
おもしろいと思ってしまった。
「いいことを教えよう」
「…なんだ」
「雁があの腕を身につけたのは偶然だ。……いや、必然だったのかも知れない」
ある程度豊かになり始めた数十年前に進めた計画。
「なに単純だ。王が国全体の建物を統一してしまえと言ったから民は必然と腕を身につけた。いつの間にか外交に使えるようになっただけのこと」
「……」
「範には民がいる。荒廃は……妖魔までもが飢えるほどではない。なんとかすればなんとかなる」
実際になんとかしてしまったのだから。
香寧の言葉に深く考え込んでしまった青年と自分の分の代金を机に出すと香寧は剣を手に立ち上がった。
その時の気配に気づいたのか青年も慌てて立ち上がり既に店を出かけた香寧の背中に声を投げる。
「名をっ、名をお聞きしてもよろしいか!」
香寧は立ち止まると、うっすらと笑みを浮かべた。
「香寧だ。栴香寧、雁国靖州師右将軍」
「呉藍滌、だ。……将軍がこのような最果てまで来ていてもよろしいのか」
「おそらく雁だけだろう。このような暴挙を許すのは、な」
官吏達もむしろ歓迎している風があるのは、香寧が出かけることにより王が出歩く口実が減ったことだろう。だからと言って雁国主従が出歩く回数が大幅に減るわけではないのだが。
仕方がないといったように笑う香寧をどう取ったのか彼はなんともいえない表情を浮かべていた。
「……また、会えるだろうか」
「そうだな、しばらくは範に滞在するつもりだから縁があればまた会えるだろう」
まさかこのときの青年に今後もつきあいができるとはこの時の香寧は思いもよらなかった。
美しい襦袢に身を包み扇を広げる範国国王氾、呉藍滌はついと香寧を見やった。
「…、なにか?」
「いやなに、そなたは変わらんのと思うて」
「変わって欲しいのか?」
鼻で笑う香寧の前に静かに立つと彼はついと扇を使って香寧の顎を掬った。
「つれないところは変わって欲しいとは思うがね、だがそれもそなたの魅力だろうて」
「…私にそんなことを言うのは君ぐらいだと思うけどね」
「だから山猿達はわかっておらぬと言うのじゃ」
ふふふと男のくせに蠱惑的に笑う藍滌を見上げて香寧は「首が痛い」とのんびり思っていた。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
「媚薬のような囁き」をおもしろいと言ってくださった方にお礼を…!!
あんまりラブくない仕上がりになりましたがい、いかがでしょうか…??というか出会い編ですね。
とまあこんな風にサイトの方で反応をいただけるとよろこんで調子に乗る人間です。
藍滌さまって登極前はなにをしてたんでしょうね。
とりあえず……意表を突いて反物屋とか?
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