TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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愛しい笑顔を胸に
初めの印象は『変わった子』
調った顔立ちをしているのに何もかもに興味を持っていないような、受け入れないようなそんな表情。
けれどどこか落ち着いていて優美な所作。年に似合わぬ落ち着いた言動。
それら全てを以てして『変わった子』だと思っていた。
ふとした瞬間に浮かべる人形めいた無機質な顔。陽に光る朱色の髪はきらきらと輝き、内緒話をする時は色の違う双眸がいたずらに輝く。
ルニアは退屈になるといつも窮屈な屋敷を抜けだし、市井に降りていた。
いつものように退屈を紛らわす為に屋敷を抜けだし、小さな公園に来ていた。そこで同い年ほどの子どもが走り回って遊んでいるのをベンチに腰掛けてみるのが好きだったのである。
ある日、ルニアの真っ正面のベンチにルニアと同じ様に腰掛け、子ども達を見ている少年が居ることに気付いた。
毎日同じ時間帯に同じような服装で、同じような顔をして座っていた。
落ち着いた色合いの金髪に澄んだ青色の双眸。それら全てに覇気を感じない。
どうしてだろうか。
けれど理由を知りたいと思う前にルニアは少年に話し掛けていた。
「ねえ、名前聞いてもいい?」
突然のことに少年は僅かに目をみはり、けれど小さく微笑んだ。
「……ガイだよ」
教えてもらえるとは思っていなかったルニアは嬉しく、鍛え抜かれた笑顔とは違う心からの嬉しさを口元に刷けて微笑んだ。
それは彼女にしては珍しいことだった。ルニアは周囲の大人や子どもに対しては一線を引いていたのだ。
「ガイっていうんだ。わたしはルニア。よろしくね、ガイ」
ガイはルニアから目を反らすように伏せたが、ルニアは感じた。
ガイとは仲良くなれる気がする、と。
手を出すと申し訳なさそうに断られ、彼はルニアに触れないことを告げられるがそんなことはどうでもよかった。
互いに打ち解けあうのに僅かに時間をかけたがすぐに仲良くなった。
竹馬の友とまでも呼べるようになった二人。
互いに会える一時は大切な時間で、そして幸福。
崩れ去ったあの日までは。
さよならの挨拶も告げずに別れたあの日からルニアの生活は一変した。
**
傍系主で考え中の中編の内容の序章っぽく
[0回]
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雪が降っていた。
辺り一面を多い隠してしまう白い使者。
なにに誘われたのか夜も深まる時刻に肩掛けのみを羽織り有紀は外へと足を踏み出した。
凍てつく寒さが背中を覆い身が震えるが、いたずら心はやまない。
何の音もしない庭院に、サクリと雪を踏む音が響いた。
共に漂うのは慣れない気配。全く知らない気配に体が竦む。
雪が降る音がしている気がする。おそらくそれは幻聴で、心臓の音が耳元で聞こえるようだ。
勇気を持って振り返れば、そこには白銀の髪を持つ、気配が強くとげとげしい空気を纏った青年が立っていた。
「…誰だ」
見た目に伴い声も聞き惚れそうなほど美しい。けれど鳳珠には負ける。
それを思い雪を見ると、あのときを思い返すからだと思いだして有紀はふわりと笑った。
「ここは後宮ですよ。主上の許可なき方はご退出願います」
「後宮、か…」
つぶやくと彼は空を見上げた。肩から白銀の髪が滑り落ちる。
「迷われたのですか?」
サクリ。音を立てて有紀は前に進む。
白銀の髪に積もった雪を伸ばした指先で払い落とすと彼の視線が有紀に集中しているようだった。
じっと眸を見返すと有紀はふと肩に羽織っていた肩掛けを外し、彼に差し出す。
「…体を冷やしてはいけないのは女性の方だ」
受け取ろうとしない相手に有紀はふわりと笑みを浮かべた。そして小さく首を振る。
「いいえ、年輩の方は敬い大切にしなければ」
そう言って問答無用に彼の肩に肩掛けを羽織らせる。驚いたような気配がするがそれは黙殺して、そっと相手の手を取った。
野良仕事や武術とは無縁だと如実に語る手は、有紀の想像通りやはり冷えていた。
「このまま外朝までご案内いたします。と言いたいところですが、温かいお茶でも飲んで行かれますか?」
「…年頃の娘が不用心なことを言うな」
「では温石は?」
「いらない。案内していただこう」
申し出はほぼ断られたが、手はふりほどかれなかったので有紀は微笑み、外朝を目指した。
「木瓜は庭に植えてはいけませんよ?」
「植えていない」
さくさくと雪を踏み分けて回廊へと渡ると彼は憮然とした面もちで言った。
こんな時間に後宮に迷い込む人間だからどんな人物かと思ったが、意外と迷信を信じるタイプだったらしい。
その後は会話などなく、雪が降り続ける以外になにも起こらなかった。
さすがに夜半時であり風は冷たく、雪によって冷えた冷気が容赦なく回廊に吹き込む。
思わず肩が震えたが、自分で渡しておきながら上着を返して欲しいなどと言えるはずもなく、かといって無言で自分の腕をさすっても寒いですと言っているようなものなので、我慢した。
だが所詮はやせ我慢なので、カタカタと体が震えるのはどうしようもなく、それを押さえようと意識をそちらに集中していた。
だからなのか、唇が震え、歯が鳴らないように気をつけている有紀を横目で見ている彼には気づかなかった。
長く感じていた外朝へと続く回廊もようやく終わりが見え、ほっと一息つきそうになるのをまたも堪えながら有紀はなけなしの笑顔を浮かべた。
「着きましたよ。この先からは外朝になります。歩いていても咎められることはないと思いますが、警備の方に見つかると言い訳が面倒だと思うので上手く歩いてくださいね」
「……私が誰なのか聞かないのか」
ずっとそれが聞きたかったのだろうか、彼はじっと有紀の眸をみた。
月明かりと僅かな篝火しかないために、有紀には彼の表情はわからなかったが本当に疑問に思っているのが眸からわかった。
「危ないことを考えている方で離さそうでしたし、なによりも」
彼から視線を外して不意に庭園を見る。
雪はまだやまない。
「後で咎められて名前を聞かれても知りませんと言っても嘘にはなりませんからね」
彼が笑ったのが気配で分かった。
ふわりと有紀の肩に暖かいものがかかる。
見なくてもわかる。最初に貸した肩掛けだ。
「…早く戻って体を温めなさい」
「…ありがとうございます」
まさか気遣われるとは思っていなかった有紀は肩掛けを軽く握り、彼を見上げながら相好を崩した。
「…名を」
「有紀と申します」
「…リオウと言う」
覚えておきますねと小さく答えると彼は返答をせずに踵を返した。
立ち去る姿はとても美しくどうみても年齢にそぐわなかったが、有紀はあまり気にもとめていなかった。
後日、用事があって戸部を訪れた有紀は景侍郎に出されたお茶にくつろぎながら仮面を外した鳳珠を見てにこにこと笑った。
「年をおとりになっても美しい方は鳳珠さま以外にもいらっしゃるんですね」
「……有紀、なんと言った?」
(冬に咲く薔薇)
標璃桜さまに遭遇してみる。字を登録していないので間違えているこ可能性大。
木瓜の木を植えるとぼけるとか未だ信じている人はそう居るまい。
[2回]

――それが、私の夢だ
――俺が叶えたいのはそんな些細なことで途方もないことさ
どうして二人して同じことを言うのだろうか。
それを俺に告げて、俺に叶えろとでも言うのか。だが、それはない。あいつらならば、最後までお膳立ててから、俺に最後の判を押すように促すだけだ。
だが、それだけ途方もないことを夢見て奴らは見ることなくこの世を去った。ただ一人、意志を受け継いだ娘を残し。
ちょうど二人を足して二で割ったような娘。
俺も若い頃に会っている。彼女も何故か覚えているが、どうしてそこまで奴らの夢を叶えようと奔走するのかはわからない。
「なあラシュディ」
「なんですか、殿下」
「…何故そこまでこだわる」
個人一人では絶対成し遂げられない夢。夢と言うには余りにも簡単で、余りにも非現実的。
何時居ても答えはおなじであるし、彼女が浮かべる表情も同じ。
「……刷り込みのようなものです」
たったそれだけのために何故。
答えは誰も知りようがない。
(美しき空想)
意味不明!軍人主なのに何故かピオ視点。
[0回]

それは決して手には入らない。
優しい声で名を呼ぶ母親。
それは無邪気に遊ぶ子供の名なのだろう、無邪気に答える甲高い声。
穏やかな夕暮れの見馴れた光景。
あたたかい、どこにでも見かけられるのどかな日常はしかし、ルニアにとっては経験したことのない非日常だった。
雲の隙間から差す茜色の光に染まる地面に親子の影法師が映る。
「ルニア」
突如誰かに肩を叩かれ、ルニアは驚いて振り向いた。
薄い金色の髪を茜色に染められ、優しげでけれどどこか寂しさをたたえた青い眸にルニアが映っていた。
ガイラルディアその人が立っていた。
女性恐怖症の彼も最近は肩に触れるくらいはできるようになった。今では、マルクトに戻り伯爵位を継ぎ、忙しい日々を送っていた。忙しさの原因は一部の権力を振り回す人間でもあったが。
「そろそろ夕飯の時間だぞ」
「……うん」
「…何かあったのか?」
ぼうっとしている感が否めないルニアの様子にガイは彼女の目の前で軽く手を振る。そんなことをされなくとも見えていると言いたげにルニアは彼の手を強く握った。
やはり自分からする場合と違い心の準備がいるのかガイは腕を捕まれた瞬間肩をピクリとふるわせた。
「なにもないわよ。……ねえ」
「ん?」
ガイを見て、目元を和ませるとルニアはグランコクマの広場へと視線を走らせた。
皇帝陛下のお膝元とあるだけあるのか、美しく人々は皆誇りに胸を張って路を歩く。
通り過ぎる人は皆、笑顔であたたかい。
遠目に見える広場の噴水は、水しぶきが光に当たってきらきらと光輝き、一部は茜色にも輝く。
居住区から聞こえるのは幸せそうな人々の声。
「街の住人全員が幸せとは言わないわ。でも」
先ほど見ていた、憧れの情景。
思い浮かべたのか彼女の色違いの双眸は細くなり微笑みを浮かべた。
「とても、あたたかい水の都」
どこか寂しさを浮かべていることに気づいたガイはけれど、なにも言わずに小さく顎を引き相づちを打つに留めた。
「行こう、今日は久しぶりに俺の手料理だ。心して味わうんだぞ?」
「ふふふ」
手をつないで帰ろう。
そうしたら、迷子にならない。寂しくもない。
(ワイングラスの中の月)
二度と取り戻せない暖かな家族とのやりとり。
でも今からでも作れる。
[0回]

先日も自分がわざわざこの得体の知れない少女を町中で拾い、お屋敷まで連れてきた。
そもそも、自分はこの家に仕えるが、全く関係のないしかも自分の行動に責任の持てない人間の面倒を見てやる義理は微塵もない。
だが、主人であり、いのちの恩人でもあり、"静蘭"の全てである彼らに頼まれたことは断ることはできないのだ。
『静蘭、この間から黎深と一緒に来ている女の子を覚えているかい?』
始まりは、邵可様の一言だった。何気ない会話だったが、どう考えてもその後の考えに簡単に結びつく。
「……はい。お嬢様がいたく懐いていらっしゃります」
この屋敷のただ一人の子供は体の弱い幼子一人。お二人の宝物である秀麗様。
誰にでも笑顔を向ける幼子だが、彼女には特に懐いている。
「有紀さんがね、最近街を出歩くようになったらしいんだ」
「……それが?」
訊き返すと、邵可様ではなく奥様が扇を広げ扇ぎながら答えた。
「わざわざ図体のでかい三人をつれてこんでも有紀を連れてこれるのじゃ。静蘭、ちと連れてこい」
「……は?」
そういえば奥様も妙にあの少女を気に入っていたようだった。奥様はそれ以上は続けずに、邵可様をニヤリと見た。
「いくら治安が悪くないとはいえ、女の子が一人で出歩くのは危ないのは静蘭もわかるね?」
「……ですが、黎深さまも影をつけておられるのではないですか?」
だったら自分がそんな面倒をせずにすむ。
けれど、それを言った途端に邵可様は何とも言えない色を顔に浮かべ、奥方は馬鹿にしたように笑った。
「お主、馬鹿よのぅ。なあ、背の君」
「うーん……。ともかく、秀麗はあまり外に出られないだろう?その秀麗に少し年上だけど、頼りになれる友人を作らせてあげたいんだ」
「妾の大切な秀麗の為じゃ。協力せい」
それを言われると、是以外の答えなど存在しない。
「静蘭。彼は『シセイラン』だ。だから、『静蘭』と同じ年の子と仲良くすることもできるのにね」
「それに気づいておらんから静蘭は馬鹿なのじゃ」
薔君の言いように邵可は微笑のみにとどめた。
彼女が一体何を考えているのか、自分には関係ないが、自分に面倒が来るならば鬱陶しいもの以外何者でもない。
けれど、宮の中で不快に思っていた人物のような嫌悪感は浮かばず、代わりにどこか懐かしい感覚を覚えることには目を瞑る。
どろどろと目に見えない何かが渦巻く狭い箱庭で、縋っていた小さな光に抱いた感情に似る。
夕暮れ時。街を歩く人々は夕餉の支度に追われ忙しない。
道行く人々が足早に通り過ぎ、路の端では遊び疲れた子供たちが別れを互いに告げている。
そんな人混みの中でも簡単に見つけることのできる黒い髪。
美しい着物を纏い、複雑ではなく、軽めに施された髪飾り。
特に整っているわけではない十人並みの容姿も頓着せずに、精一杯目の前にあるものを掴もうと手を伸ばしている。
手を伸ばすのに掴むことを躊躇する臆病さ、掴んだ後に相手を気にする頼りなさ。
けれど、相手の顔色をうかがわずに振りまく明るくて柔らかい笑顔。
それらが、自分の中に大切にしまい込んだ優しいあたたかな記憶と重なる。
「…有紀さん」
声をかけられれば、自分の名前であれば振り返る。淡い、薄緑の着物の上に黒髪が踊る。
踊り終えた髪が肩に戻ると同時に小さな黒い眸に銀の髪を持つ無表情な顔が浮かぶ。
「静蘭さん」
数歩離れていたとしても、彼女は淡い笑顔を浮かべて近寄る。はじめの頃は戸惑っていたのに気づくと彼女は、戸惑うことなく自分と接するようになった。
「秀麗ちゃん、今日は元気なんですね」
「……そうです」
歩き始める自分の横を出遅れて歩き始める。まるで当然のように肩を並べて歩く彼女は、『静蘭』と気後れなく会話をする。
今日は公休日でないために、奥様やお嬢様はこの少女を旦那様が帰っていらっしゃるまで引き留めるだろう。そのさいの紅家の家人の厭そうな顔が目に浮かぶようだ。彩七家筆頭名家の一つとはいえ本家筋以外の人間で賢いものは多くないらしい。
「あ、静蘭さん見てください」
喜怒哀楽のうちの二つを素直に出す彼女はそれに従ってか嬉しそうに声を弾ませた。興奮しているのか、人の袖を遠慮なしに掴み軽く引っ張っている。
何故かそのことに不快感を抱くことなく素直に彼女が指さす方を見れば、思わず目を疑った。気づけば街の人々の大部分が同じようにそれに見惚れていた。
「怖いくらい、綺麗ですね」
雲一つない、茜空。橙色に染まる太陽を遮るものは何一つなく、彼は勝ち誇るように己の色を見せつける。
そうして辺り一面をも己一色に染めあげる。なんて、傲慢で美しいのか。
ふと隣を見ると、先ほどまではしゃいでいた彼女は自分の腕を小さく握っていた。
普段なら他人の腕を握るということはしないのに、一体何に不安を感じているのだろうか。黒い二つの眸が不安に陰る。
自分の腕を握り小さな手の上から重ねてそっと握るとようやく彼女は自分の腕を握っていたことに気づいたらしい。
慌てて離そうとするのを握った手で制すると彼女は困ったように眉を八の字にした。
「この時間帯は逢魔が時と言うんです」
「おうまがとき?」
「普段は目に見えない悪いものが行き来するんです。…綺麗な夕暮れなんですけど」
「……それなら」
気づいたときには口から言葉がでていた。
「二人で居れば怖くないでしょう?」
(曇りなき夕暮れ)
偽静蘭注意報
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