TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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彼女はどんな願いだって叶える。それは彼が『彼』のレプリカだからという理由だからではない。
ただの仕えられる者と仕える者の関係だからだ。
けれど、彼女はただ一つだけ叶えない、従わないものがある。
「導士イオン、どうかなさいましたか?」
夕焼け色の髪を払いながら彼女は首を傾げた。髪とは対象的にその隙間から覗く二つの瞳は凍りついた鎧の様に冷たかった。
「アディシェス、お願いがあるんです」
聞いてもらえますか? そう尋ねると彼女は小さく頷いた。その顔(かんばせ)にうっすらと微笑を刻むが瞳は冷たいまま。
「どうか、導士イオンではなくて……」
「それは無理なお願いです。イオン様」
「それは、僕が『彼』のレプリカだからですか?」
何度願っても彼女は『イオン』とは呼んでくれない。
笑ってくださいと願えば、彼女はどんな微笑みも浮かべてみせる。
けれど、どう願っても。どうあがいてもそれは叶えてくれない。
「それでは、失礼します」
「あ・・・」
ただ一人。導師守護役であり、『導師イオン』と親しくあり、計画のことを知っていて、左遷されなかった人物。
夕焼け色の暖かそうなのとは反対に、とても冷たいその心。
溶かすことは、『彼』にしかできない。
***
イオン→アディシェスっぽい?
どうでもいいですが、教団主の髪の色があいまいです。
銀なのか、橙色なのか!?
[0回]
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何気なく100のお題
076 背中越し(傍系主・ガイ)
「うーん、大ピンチ?」
「何で疑問系なんだい…」
ルークを迎えに行く途中のアラミス涌水道。ルニアとガイは魔物に囲まれていた。
ガイは剣を手に、ルニアは難刀を手に互いに背を向ける。
「多く片付けた方の」
「だから何で君はすぐにそうやって……!」
「ガイはすぐ怒る!」
**
077 これに免じて(軍人主・ピオニー)
新しい上司の機嫌の良し悪しはまだ彼女にはわからないが、この人のならばわかる。
付き合いは長い方であるのだから。
だから、こんな方法では逃してもらえないことも知っているのだが……。
「殿下……」
「下手に出てもダメだ。今度という今度は許す気はゼロだ」
ブウサギの限定モノで見逃してください。
**
078 面影(旅主・リーガル)
「……天使様、そんなにリーガル凝視しちゃってどうしたのよ」
「……いや、特にさしたる意味はない」
だが気になるのだろう。見られているリーガルは居心地が悪そうだった。
今にも前方のロイド達の塊に突っ込んでいきそうだ。そうしないのはプライドだろうか。
「そーいやぁ、リーガルの髪の色ってアトラスに似てんなぁ?」
「……神子、何が言いたい」
じっとリーガルを見ていたアトラスは少し寂しそうに笑った。
**
079 爆弾(コーセルテル・マシェル)
セレスティアという人はマシェルに取って謎大き人である。と同時に何でも相談できて、便りになる姉のような人である。
「セレスさんって、カディオさんやミリュウ兄さんと前から知り合いだったんですか?」
それはマシェルが前から聞きたいことであった。
「うーん、どうだろう?」
しかしてセレスティアの反応は薄かった。本当にどうでもよさそうである。
その反応からマシェルはこれ以上尋ねていいのかわからなかった。
今新たに増えている竜術師達に過去を聞きにくいように昔からいるセレスティアにも聞かれたくない事があるはずなのである。
「そういえばセレスさん聞いてくださいよ」
「ん?」
「サータってば……」
**
080 取りとめのない言葉(彩雲国・双花菖蒲+劉輝)
「黎深様を一言で表すと、ですか?」
聞き返すも三人は一様に頷いた。答えるのは必須らしい。
鳳珠ならば一言「家族」や「官吏の鏡」とでも言えるのだが……。
何故に黎深? と思わないでもないが有紀は真面目に考えてみた。
「……あ、ありました」
「どんなのだ?」
三人は揃って「天上天下唯我独尊」と失礼だが真実を思い浮かべた。
けれど、彼女の答えは全く違っていた。
有紀は楽しそうに笑うと言った。
「『かわいい』ですねー」
言いようのない沈黙がおりた。
「…有紀殿…。その、本気で?」
「え、だって一生懸命で可愛い方ですよね?」
「だ、第二の邵可なのだ」
「主上。邵可様には誰もなれませんよ?」
**
あと少し!
[2回]

大きな図体をして、こそこそしている人間というのは客観的に見るととても怪しい。
後宮に来て一週間。有紀は、府庫でそんなことを思った。
しかも、そのこそこそしている人間は禁色である『紫』の衣を無造作に纏っている。
例によって例のごとく邵可とお茶をしようと仕事をさっさと終わらせて府庫に訪れた有紀は、茶請けに持ってきたドーナッツをもち困ったようにそこに立ち尽くしていた。
『紫』を纏った青年は、戸棚に手をかけて邵可がいると思われる個室をちらちらと覗いている。
さらさらと長い髪が、反動で揺れている。
声をかけるべきか、かけぬべきか。それが問題である。
有名な一説を勝手に使用すると、よし。とこぶしを握り締めた。
「邵可様に御用がおありですか?」
「―っ」
有紀の存在に気づいていなかったのか、青年が鋭く振り返った。
その機敏すぎる動きで振り返った青年の整った顔立ちが、凄絶さを浮かべている。
薄茶の透き通った瞳が浮かべているのは・・・――。
互いの視線が交差し、青年が逸らそうとした瞬間に優しげな府庫の主の声が響いた。
「おや、有紀さん。いらっしゃい」
「邵可様・・・」
「邵可・・・」
青年と声が被った。
意外そうに有紀と青年を見た邵可は、有紀が持っているものに視線をやり、あの暖かい笑顔を浮かべて「どうぞ」と二人を招きいれた。
邵可に誘われると青年も断り辛いのか、青年は苦しげな表情を浮かべて邵可の後に続いた。
いつものように有紀が茶を淹れる。いつもと違うのは人数が一人増えている。ということである。
いつまでも強張っている青年の表情に苦笑を浮かべる邵可を見て、首を傾げつつも作ってきた茶請けであるドーナッツを備え付け(何故あるのかわからないのだが)の皿に載せた。
すると、青年の緊張が一瞬だけほぐれたようだった。
慎重にドーナッツを手に取る青年。
「これは・・・」
「これを作ってくださっているのは彼女ですよ」
「・・・そなたは」
再び薄茶色の瞳と視線が交わる。
先程と違うのは、相手には困惑の色が浮かび、有紀にはなんの感情もわいていないこと。
静かに青年の前に湯のみを置くと、有紀は略礼をした。
「始めまして、有紀と申します」
「・・・そなたが珠翠の言っていた新しい女官か」
「珠翠様をご存知なのですか?」
青年はぴしりと固まった。一気に湯のみの茶を飲み干し、咽ている。
「だ、大丈夫ですか?」
慌てて駆け寄り、背中を軽くさする。慌てている有紀と青年を邵可がのんびりと微笑ましそうに見ていた。
収まり始めた青年の為に新たに茶を注ぐと、彼はなみだ目になりながらゆっくりと茶を飲んだ。
「・・・すまぬ」
「私こそ驚かせてしまったようで、申し訳ありませんでした」
「この菓子はそなたが作っておったのだな」
指で涙をぬぐうと、青年はドーナッツをもそもそと食べ始めた。
そういえば、と。有紀は思い出す。
ここ数日間。邵可に何か作って持ってくると「少し多くもらってもよろしいですか?」と聞かれては「どうぞ、邵可様の為に作ってきたんですから」といって一人分にしては多すぎる量のものをおいていっていた。
「邵可様が一緒にお食べになっていた方なんですね」
「ええ、ありがとうございました」
「喜んで食べていただけるだけで私は嬉しいですから」
ものすごい勢いでなくなっていくドーナッツに気づいた有紀はとりあえず自分と邵可の分は確保した。
「お気に召しましたか?」
「・・・餡子の多いものも好きだ」
「おはぎですね。では、今度はそれを作って持ってきます」
「よいのか?」
「ええ」
又も空になっている湯のみに茶を注ぐ。
先程、交差したときの彼の瞳には「怯え」という抱くことが不思議な感情が浮かんでいた。それが今は消え、おいしそうに有紀が作っているものを食べている。
それが嬉しくて有紀は知らず知らず笑顔になっていた。後宮に入ってから浮かべてばかりいるつくり笑顔ではない、やわらかい笑み。
「そういえば」
「・・・うむ?」
「お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
ぴたり。と、青年の動きがまたも止まった。じっと、その顔を見ていると視線が宙を彷徨っている。
それは、黎深が邵可に追求されたくないことを追及されたときに見せるものや、絳攸が同じく追及を逃れたいときに見せる表情に似ている。
もう既に、彼の纏っている服装から名前など検討がついているのだが必死になってごまかそうとしている様子がなんだか微笑ましい。
たとえ彼がどういう考えでごまかそうとしているか、とかはどうでもいいのだ。
「・・・り、劉輝という」
「『劉輝様』ですね」
「う、うむ」
偽名を言われるかと思ったが、彼は名乗った。姓は言っていないが。
有紀はクスリ、と笑うとそっと彼の顔に指を伸ばす。
劉輝がビクリと反応して、眼を閉じた。それにあえて気づかない振りをして有紀は劉輝の頬についていたドーナッツのカスを指でぬぐった。
「ついていましたよ」
「・・・すまない」
「いいえ」
それが出会いだった。
**
中途半端ながら、とりあえず終わり。
[1回]

本日、鳳珠は公休日である。
そして、なぜか黎深や悠舜と出かけるのに有紀も連れて行ってくれるらしい。
公休日に三人でお出かけしている時は有紀はそのまま絳攸と一日を過ごしているのだが、どうしたのだろうかと内心首を傾げながらも行き先はどうあれ誘ってもらえたことが嬉しかったので、首を縦に振った。
軒に揺られて数刻。
ついた場所は、鳳珠の屋敷以上に広い邸宅であった。
しかも、なぜか黎深がそわそわとしている。しまりのない顔をしていて、なんというか警察がいたら(この国にはいないらしいが)職務質問をされそうである。
「れ、黎深さま・・?」
「なんだ」
けれど、話しかけると途端に普通の表情を浮かべる。けれど、瞳は嬉しさに滲んでいた。
けれど、どう考えてもこの豪邸に自分は場違いではないかと思わず鳳珠の服の端を握り締める。
そんな有紀の珍しい行動に鳳珠が、驚いたようなけれど優しい表情でしゃがみこみ、視線を合わせる。
「どうした」
「えと・・・その。私、場違いだと思うんですけど・・・」
「だそうですが、黎深。どうなさいますか?」
悠舜と鳳珠の視線を向けられた、黎深は屋敷を見ると再び顔を緩ませる。黎深の大好きな人の屋敷なのだろうか、と思い有紀も黎深を見ると突然振り返った黎深と目が合った。
やはり屋敷から目をそらすと途端に普通の表情を浮かべている。何故、そこまで完璧に感情の制御を行えるのだろうかと、場違いだと思ったことを忘れて不思議に思っていると、黎深が片手を差し伸べた。
「ここは私の兄上の邸だ。兄上がお前も連れて遊びに来いと言っていらしたから、お前もつれてきた」
「黎深さまの、兄上さまですか・・・?」
「さっさと来い」
「え、あ。わっ・・・」
ぐい、と手を引っ張られてそのまま邸の門へと連れて行かれる。黎深に有無を言わせずに引っ張られるのはこれで何度目なのだろうか、と考えながらも助けを求めるように鳳珠と悠舜を見る。だが、鳳珠は足の悪い悠舜に手を貸していて、残念ながら有紀の助けを求める視線には気づかなかった。
(5歳児じゃないんだけどなぁ・・・)
彩雲国に来て一年。一つ年上ぐらいだと思われる絳攸が10歳になったので、おそらく有紀はこの体は9歳ぐらいだと思っている。
9歳といえば、小学校3年か4年である。
(・・・手つないでったっけ?)
思い出せないが、見上げる黎深が嬉しそうだからまあ、いいかと完結させた。
「ほう、そなたが鳳珠殿の養い子か?」
「そうですよ、義姉上」
「名はなんという?」
黎深の兄である穏やかな顔立ちのいかにも「父親」然たる人の名前は紅邵可というらしい。
そして、その隣にいた鳳珠にも勝るとも劣らない美しい顔立ちの女性は邵可の妻で薔君と名乗った。
見た目はいかにも深窓の姫君、なのに躊躇することなく床に膝をつき有紀と目線を合わせてきたことに有紀はとても驚いた。
「有紀、と申します」
「よいよい、堅苦しい言葉など使わんで。のう、背の君?」
「・・・!?」
「どうかしたかい? 有紀さん」
邵可の奥方の話し方といい、その『言葉』といい。全てが有紀を驚愕させ、同時に感動させた。
感極まってしまった有紀を不思議そうに見る邵可夫妻だが、黎深率いる三人はこの夫婦の一人娘秀麗と家人の一人静蘭と共に遊んで(?)いる。
ので、助け舟は誰も出してくれないので有紀はなんとか思いとどまり正直に話すことにした。
「えと、その・・・。奥方さまは本当に、邵可さまのことを大切に思っていらしているんだなぁと思ったら・・・」
言葉にし始めたら恥ずかしくなってきた有紀は頬を染めながら、恥ずかしそうにちらちらと二人を見た。
「・・・ふむ。妾はこういう反応をとられたのは初めてだからの、よくわからんが。邵可、わかるか?」
「うーん・・・?」
「その・・・。背の君って、本当に大切な方にしか使わない呼び方だと私は思っていたので・・・」
「ほほう」
ぽす。と頭の上に手が載せられた。そして、にんまりと笑った奥方殿は楽しそうに有紀の頭をなでていた。
「ほんに、有紀殿は面白いのう」
「へ、えと・・・。ありがとうございます?」
「うん。邵可、ちょっくら有紀殿と女二人で話したいことがある。黎深達の相手をしてやってくれぬか?」
「うん、いいよ」
あっさりと追い払われに応じてしまった邵可によくわからないままに軽く会釈を返すと、笑い返されてしまった。
そして、目の前にいた奥方は移動していて、隣の席をぽんぽん、と叩いていた。まるでここに座れといわんばかりに。
「して、有紀殿。おぬしは、不思議なところからまいったの」
「・・・わかるんですか?」
「しかも『扉』を無断で潜ったな?」
「『扉』?」
扉、といわれるようなものを潜った覚えは有紀にはない。
ただ、階段から落ちただけだ。
だが、奥方はまじめな顔をして指で軽く長方形を描いた。見えない何かを空でなぞるように。
「偶然何かの拍子であいたのを潜ってしまったのじゃな。『扉』には『仲介人』が本来はついておる。本来ならば『仲介人』がおらねば開くことはない。して、そなたは無断で『扉』を潜った。二度と、潜れることはないだろう」
「・・・・・・なんとなくですけど、帰れないことはわかっています」
奥方の示す『扉』と『仲介人』というのはいまいちわからないが、それが意味することは決して帰れないということである。
それは、理解している。あらゆるものから『瑠川有紀』が消えた、あの日から。
すらりとした指が有紀の頬を伝った。奥方が綺麗な指で有紀の輪郭をなぞっていた。
「奥方さま・・・?」
「そなた、面白い眼を持っておるの」
「目?」
「眼じゃ。色とかではないぞ」
元から黒いですといおうとしたが、先手を打たれてしまった。
きょとん、と奥方を見ていると彼女は妖艶に笑う。その美貌でその笑みは、はっきり言って心臓に悪い。
「有紀殿。そなた、黎深を見て最初にどう想うた?」
「黎深さま、ですか・・・?」
小さく顎を引いた奥方はようやく有紀の顔から指を引いた。
ほっとしつつ、黎深に会った時のことを思い出す。
倣岸不遜で、居丈高な態度。覗き込んだ瞳はとても、冷えていた。
その時のことをまざまざと思い出し、有紀は知らず知らずのうちに寂しそうな表情を浮かべていた。
「とても、哀しそうな瞳をしていると想いました」
「哀しそう、か。うむ、中らずとも遠からず、じゃの」
よう聞けや。そう言った奥方は、すごく嬉しそうに笑った。
「有紀殿は、よい眼を持っておる。その眼は、千里眼というわけではないが、その気になれば人の感情を全て読み取ることができる」
「・・・はい」
「じゃあ、おぬしはそこまで人の感情を読み取りたいとは思うとらんから『気持ち』が見えるだけじゃ」
「気持ち?」
「今の妾を見て『嬉しそう』だと。黎深が『寂しい』と、本人も気づいておらぬことに気づいておる。まあ、黎深には我が背の君がおるでの」
背の君。そう呼んでいる奥方もとても幸せそうに、けれど悲しそうに笑う。
この人は、いったい何をどこまで知っているのだろうか。
「見たくもない『気持ち』が見えるかもしれん。それは、有紀殿。おぬしの気持ちのありよう次第で見えるようにも見えぬようにもなる」
「え、気持ちのありよう・・・?」
「うむ。まあ、無意識のうちにきちんと使い分けておるようじゃな」
なんだかよくわからないが、普通じゃない眼を持っているらしい。
奥方はこの話は終わりだとばかりににっこりと笑い有紀の頭をくしゃくしゃになでた。
「あまり気負うでないぞ。そなたは好きなように生きていけば、自ずと道はできてゆくに。して、有紀殿」
「・・・はい?」
「妾はあまーい菓子を食べたいのじゃが、そなた面白いものを知っておるかの?」
「あまーい菓子・・・ですか」
「なに、今じゃのうてよいのじゃ。また来るときにでも作ってきてくれ。楽しみに待っておるぞ」
どうやら異国の甘いお菓子が食べたいらしい。
甘い菓子といわれて思い浮かぶのは、饅頭やら羊羹だが、それはこの世界にあるらしい。
甘い菓子。
ケーキ、プリン、栗きんとん。思い浮かぶのはいいが、材料がない。
首を捻り、考え始めた有紀を見て、奥方は笑った。
「お話はもう終わったかな?」
「うむ。終わったぞ邵可。さて、有紀殿。妾のかわいい秀麗と遊ぶのじゃ」
「秀麗は今日は元気だからね」
ひょっこりと戻ってきた邵可と、奥方に率いられ黎深達と一緒にいる秀麗の元へと行くと、両手に花(?)を引っさげた有紀を恨めしそうに見る黎深と目があってしまった。
そんな黎深を呆れたように鳳珠と悠舜が見ている。
「秀麗、新しい遊び相手じゃぞ?」
「はい?」
新しい遊び相手。その言葉に顔を輝かせた秀麗は、有紀の目には贔屓目なしに可愛らしく移った。
「おねえさま、おなまえは?」
「有紀です。えーと・・・」
「しゅうれい!」
どう呼べばいいのか困り、振り返ると奥方や邵可が「好きに呼んでいいよ」と言って笑っていたので、考えたあげく有紀は秀麗の視線にあわせてしゃがみこんだ。
「よろしくね、秀麗ちゃん」
有紀に新しい、年下の友達ができた時だった。
**おまけ
「鳳珠さまの子守歌初めてききました」
「・・・家でも歌ってやろうか?」
「え、えーと・・・。今きけたのでいいです」
「・・・・・そうか」
「有紀殿が知っている子守唄はどんなのじゃ?」
「え、うーん・・・?『ねーんねーん、ころーりよ』って言う奴です」
「妾は知らんの。歌ってみろ」
「(微妙に眠れなさそうな歌だけどいいのかなぁ・・・?)」
**
途中までうっかり題名間違えてました(汗)
薔薇姫様の口調がいまいちわからないので、微妙です・・!
これで、邵可様とのつながりができました!秀麗と静蘭も。
あとは、絳攸なのにうまく進みませんー・・・。
後日加筆修正してサイトにアップ予定
[0回]

何気なく100のお題
071 泣き落とし(遙か・明烏)
彼女は後悔した。
えぐえぐと泣き始めた子供――のような外見の神をどう扱えばいいのかわからなくなった。
「・・・・・・っ」
迷ったあげくにそっと小さな肩を抱きしめた。幼い甥や姪を泣きやませた経験が殆どない曙は戸惑いながら白龍の髪を撫でる。
「・・・お願いですから泣きやんでください」
「・・・・・・願い、聞いてくれる?」
「え、ええ。私にできることでしたら・・・」
「私の神子の願い、叶えて」
何故そこで神子が出るかわからなかったが曙はとりあえず頷いた。
同時期、物影からひっそりと盗み見する白龍の神子と天地の白虎の姿が。
「・・・先輩、白龍使って何してるんですか」
「むぅ。だって、曙さん最近忙しくて構ってくれないんだもん」
「望美ちゃん、彼女にも一応仕事があってね?」
「時間が余ったら景時さんも入れてあげます」
「・・・・・・ホント?」
**
072 拒絶反応(彩雲国・楸瑛)
軍人らしく剣ダコがあるが綺麗な指で彼は髪を掬い軽く口づけた。
そして片方の指で彼女の頬をそっとなぞる。
「つれない人、どうかその瞳に私も映してもらえないだろうか」
彼の経験では相手は頬を染めて何かしらの言葉を紡いでくれる筈だった。
はずだったのだが
問答無用で突き飛ばされ、楸瑛は転ばなくとも後退った。
そして彼女は涙目で腕を摩っている。
「有紀、どうした! 常春頭に何をされた?!」
「嫌だな絳攸。私は何もしてないよ」
けれど(ある方面では)信用のない楸瑛の言葉は聞かず絳攸は怒鳴った。
彼から視線を有紀へと戻すと楸瑛は目をみはった。
顔は赤いがまだ一生懸命腕を摩っていた。そして、ポツリと床へと零した。
「……鳥肌たった……」
楸瑛は有紀の認識を改めた。
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073 下剋上(コーセルテル・アータ)
マシェルの代わりに留守番を引き受けたセレスティアは子竜立ちに囲まれながら本を読んでいた。
だがまだ卵からかえって間もない彼等はすぐに昼寝の時間へと変えてしまった。
「アータも、眠いなら寝ていいよ?」
セレスティアの膝に乗り本を覗き込みながら船を漕いでいた彼は必死に首を振った。
「子竜は寝て遊ぶのが仕事だよ? マシェルが帰って来たらこんなに本を読んだって驚かすの?」
知の竜である地竜のアータ本を読むのが好きだった。
彼の言い分は何となくわかるのだがセレスティアはアータの頭に手を乗せそっと撫でた。
気持ち良いのか眠たそうに瞼が落ちる。
「驚く前に心配しちゃうよ? だから、もうお休み? ……え?」
抗えなかったのか、アータの目が閉じられる寸前に聞こえた言葉にセレスティアは苦笑を浮かべる他なかった。
「はーい」
下克上はまだまだ遠い。
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074 えぐられる(軍人主・ジェイド)
大量の書類にもたれかかりたいのを堪えてラシュディはため息をついた。かれこれ本日二桁目のため息である。
「フォルツォーネ大尉。こちらの書類もお願いしますねー」
「……カーティス中佐。私は何故こんなことを?」
敬愛している上司に「明日からはあの坊やに可愛がってもらうんじゃよ」と言われたラシュディは本日ジェイド・カーティスの執務室に居た。
「」何故? と聞かれましても貴女が私の部下になったからですよという答えしか私は持っていません」
いやー流石元帥の秘蔵っ子ですねぇ。という厭みにしか聞こえない言葉にラシュディはため息を吐くと書類整理を再開した。
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075 絶交(旅主・ユアン)
「貴様はどちらにつく」
友人の声にアトラスは振り向くことはなかった。
否、"振り向けなかった"。
「私は、……臆病だからね。どちらにもつくことはできない」
「……ならば、あちらにもつかん。そう言うことだな?」
確かめるような口調には小さく顎を引くことで肯定の意を示した。
「…どちらにもつくことはないよ」
繰り返された言葉に彼は失望したように荒々しく踵を返した。
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[1回]
