4ネタ
また、この季節がやってきた。
幼なじみの成歩堂が弁護士バッジを剥奪された季節。
薄紅色の花びらが咲き誇る頃に嫌でも思い出してしまう。
『成歩堂芸能事務所』
堅苦しい名前からいっぺんして、なぜか不思議な名前を掛けている。
時間帯はよい子は家に帰っている時間。
時計で確かめて、片手に持った荷物を確認する。
手を少し挙げて軽くノックをすると中から元気な声が聞こえた。
「あ、稔莉さんです! いらっしゃいませ!」
「久しぶりみぬきちゃん」
用件を言う前に人なつこい笑顔を浮かべた彼女は「どうぞー」と言ってドアを全開にした。
「おじゃまします」
「散らかってますけど気にしないで下さいね!」
頭に青いシルクハットをかぶり服装は真新しいセーラー服の不思議な組み合わせである。
その不思議さには焦点を合わせずにシルクハットに目を留めると稔莉は少し困ったような顔をした。
「もしかして今からお仕事だった?」
「違いますよー。今日はパパが『お客さんが来るからきちんとお出迎えしないといけないよ』って言ってたんで勝負服に着替えてたんです」
てへっと言いながら軽く自分の頭をこづくみぬきを見ながら最近とみに性格があくどくなり始めた幼なじみを思いため息をついた。
客が来ると言いながら片づける気は皆無なのだなと。
「実は今日はみぬきちゃんにプレゼントがあるの」
「うわーなんですか?もしかして牧場のプリン……!」
目をきらきらと輝かせるみぬきに苦笑を浮かべて稔莉は片手に持っていた紙袋を渡した。
「中学生になったみぬきちゃんにお祝いのケーキを作ってきたの」
「わーっ! みぬき嬉しいです!」
喜色満面で抱きつくみぬきのシルクハットが落ち、少し癖のある髪が露わになった。それをそっと撫でながら稔莉はくすりと柔らかい笑みを浮かべた。
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みぬきちゃんの舞台衣装とかみっちゃんがプレゼントしてたらおもしろいと思います。
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