TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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春の京にて再会した幼なじみ。
以前に遭遇した時よりも精悍な顔立ちになっている幼なじみ。
市に出掛けた望美の後をついていくが、他の八葉がついている為に華織は少し離れて歩いていた。
「お、これなんかいいんじゃねーか?」
「……将臣」
「ん? なんだ、華織」
望美と離れ、いつの間にか華織の隣を歩いていた。
「……前に会った時から思ってたけど」
「なんだ?」
見上げた顔は見慣れていた筈の、けれど見慣れない顔。
「その赤い鎧」
「……ああ」
「……それと、その太刀の紋章」
ごまかしたそうな微笑みを浮かべる将臣。
それだけで、わかってしまうのはやはり長年共に育ってきただけあった。
「…やっぱなんでもない」
「……サンキュ」
「三年って言ったよねー、じゃあ私と将臣は同じ年なんだね」
そう言って、櫛を手に取る。
華美でなく、けれど見事な装飾。それは少し前によく見掛けていたもの。
「…お前、ここに来たのは二年前っつってなかったか?」
「『ここ』にはね。違うとこに一年ぐらいいたから」
櫛を店に戻そうとすると、再び将臣が手に取った。
日の光りに透かしてみたり、指でなぞってみたりする。
「違う時代に落ちてました~とか言うなよ?」
「……さあ?」
手で止める華織を気にも止めず、将臣は櫛を購入し華織の髪に挿していたが思わず手を止めてその顔を覗き込んだ。
「…マジか?」
「おあいこだね。…櫛、ありがとう」
「気にすんな」
[1回]
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『夢にて、また会わん』
『故に、我等は汝の光に惹かれる』
『頼るならば我等を』
『再びおぬしのもとに馳せ参じよう』
――汝がわれらの・・・・・・・・・
「―ちゃん? 華織ちゃん?」
「え・・・?」
遠くから聞こえていた声に耳を傾けていた華織は目の前にある顔のドアップによって現実に引き戻された。
「大丈夫かな?」
「あ、はい。大丈夫です・・・」
心配そうに声をかけてくる仲間達に笑顔で返しながら、心は遙か遠くにはせていた。
それは、2年前の出来事。
今も懐の中に大事に仕舞われている四枚の札。
頭の中に語りかけてくるような優しい四色の声。
「華織」
「なに、白龍」
「呼ばれていた?」
簡潔なその問いに仲間は首を傾げるが、意味が分かった華織は小さく頷いた。
そのこたえが嬉しかったのか白龍は相好を崩し、華織に抱きついた。なんなく抱きとめた彼女は、白龍を抱き上げる。
「彼らは、華織を守ってくれる。私と違って、彼らは力、あるもの」
「・・・・そうだね、そろそろ呼び出しが掛かるかもね」
「うん。明日、神泉苑に行こう。会える」
**
別館で書きたいなぁと思っている遙か。
書き残し。
[0回]
――……しらゃん……っ
短く鳴らされた玉の音。風に舞う花のように。
高く歌い上げる笛、拍子を告げる鼓。
伸ばされた手に続く白い布と美しい玉の鈴。
拍子を歌うように、乱すように鳴らされる鈴は心に染み渡る。
舞う白の袖はどんな衣よりも鮮やかで、何よりも目に焼き付く。
なにもかもを払いのけ、引き込ませるその双眸はここではない世界を見ていた。
追い上げるかのように高く鳴く声。
――しゃらん……
何よりもその凛とした眼差しに一瞬で心を奪われた。
そうして空間から音が消えた。
しばし何の音もない時間が流れる。芸術を解せぬ者にもこの静寂により先程のがとても素晴らしいものだということを思い知る一瞬。
それが出逢いであった。
―……次に会ったときにはお前の舞が見たいな
―では、待ってるわ―
―……どう思ってるの?
―お慕いしております―
「私は…、汐はいつまでも将臣殿のおかえりをお待ちしておりますわ」
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別館にて構想中の将臣中編『舞姫』です。題名は捻らず…。ただ語彙が乏しいのみですが。
受験終わったら書きたい……
[0回]
相手との死闘で倒れた彼女は大量の血を失っていた。
そして腕の中の彼女は驚く程冷たく、顔も青ざめていた。
「君はっ、こうなると知っていて…っ」
哀しげに歪められたその顔へと曙は手を伸ばす。その動作は酷くゆったりとしていた。
景時の頬に充てられた彼女の掌がそこに赤い筋を作る。彼女のほっそりとした白い手は彼女自身の血で濡れていた。
「だって、…これ、しか……なかったのよ…」
苦しそうな浅い呼吸を伴いながら彼女は苦しそうに笑った。隠すように浮かべる笑みではなく、本心を裏に伴わせた滅多に見ることのできない笑み。
「君を失ったら、俺は……っ」
曙の頬へと寄せる彼の手に片方の手を重ね、ゆったりと瞬きをした。
「梶原殿には、もっと、いい方が……」
神子様である彼女の様に。そう哀しげに笑って彼女の手からするりと力が抜け落ちた。
慌ててその表情を見ると、青ざめるを通り越し土気色に近かった。
彼は涙を流しながら軍医の名を叫ぶ。
この命の灯火が消えてしまう前に。
**
別館で構想中の景時中編の一部です。
入試終了まで時間が取れないので空き時間に携帯から。
デフォルトは立花曙(たちばな あけみ)
非恋になるかは微妙です……。
[0回]
同じ、匂いを感じ取ったのはどちらも同じ。
初めて言葉を交わしたときからずっと思っていた。
彼女は自分と同じ人間だと。
まるで己と対のような漆黒の髪に瞳。
相手に踏み込ませないように、距離を謀り。踏み込み過ぎぬようにまた謀り。
「――……私は、貴方が嫌い」
拒絶の色を浮かべながらも美しく笑うその姿に嫌悪に近い、――…高揚感のようなものを思った。
「そう、ですか?……僕は好きですよ」
心にもない事を告げ、笑みを張り付けるとその顔は嫌悪を浮かべた。
「――…特に、そういうところが」
「ふふ、光栄です」
笑い続けると彼女は踵を返し、神子達とは反対の方向に進んだ。
「同族嫌悪って奴かい?」
「盗み聞きとは趣味が悪いですね」
血が繋がっているのを身に染みて思い知らせるような笑みを彼は浮かべた。こういうところはかわいくない。
「同族嫌悪というなら彼女のことも好きになれないのではありませんか?」
嫌がりそうな事を敢えて尋ねると思った通り、心底嫌そうな顔をした。
「女の子であれぐらいなら可愛らしいからな。おっさんのアンタと違って」
言いたいことだけ言って立ち去る甥の姿にため息が出る。
少し話すとわかった。笑顔に慣れている人間だと。
本音と建前の建前しか表に出さない、笑顔で固められた人間。
けど、その中は誰にも見せられないくらいに笑顔に反比例する程の暗さ。闇の大きさ。
「華織?」
心配するように覗き込む望美。
この子が居てくれなければ、自分もあんな風になっていたのかと思うと薄ら寒い物が背中に流れる。
「ん、なんでもないよ」
「九郎さんが呼んでるよ、早く行こう?」
頷いて追い掛ける薄紅色の背中。
彼には彼女のような存在は居なかったのだろうか。
それとも……。
「おい、行くぞ。望美、華織。皆お前達を待っているんだぞ」
「ごめんなさい九郎さん」
「今行きます!」
考えるのはまたいつかにしよう。
[0回]