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小ネタ日記

TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。 感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。

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遙か3 冬空の一等星

※『虹の向こうに』の設定です。
デフォルト名:春日綾音(かすが あやね)



 冷たい空気によって頬に小さく痛みが走る。
 何でもない振りをするには少し痛いそれに対して、同じように冷えた手のひらで頬を包み込む。
 一瞬ヒヤリとした冷たさに襲われるも、徐々に肌同士の接触によりぬくもりが生まれる。


「綾音殿、こちらの方が風が当たらない」

 寒空の下で星月夜を見上げる綾音に、低く落ち着いた声がかけられた。
 声の主がすぐにわかった綾音はすぐさま振り返り、大きな笑顔を浮かべた。

「敦盛さんもこっちにこない?」
「……私がそちらに行ったら貴女はこちらに来てくれるだろうか」
「うん」

 二つ返事につられたのか、霜の降りた地面を踏みわけて同じ星空の下に敦盛が姿を表した。
 好きな空を敦盛と眺められることが嬉しいのか、綾音は喜びを隠さずに冷えた手を差し出した。けれど敦盛はそっと首を振った。

「…私が触れると貴女がよけいに冷えてしまうから」
「関係ないよ」

 もう一度力強く差し出すが、やはり敦盛は手を出さない。それをじれったく思ったのか綾音は問答無用とばかりに敦盛の右手を握り、引いた。

「今日は特に寒いから星が綺麗だね」
「そうだな……」
「あんな風に光る物が手元にあれば毎晩便利なのにね」

 懐中電灯などを思い浮かべながら呟いた綾音の言葉に敦盛がクスリと笑う。
 何か面白いことを言っただろうかと首を傾げる綾音に笑いを納めた敦盛は笑みを浮かべて言った。

「よく将臣殿が申されていた。星は勝手に燃えているから燃料はいらなくて経済的だと」
「…マサ君と同じ発想ってイヤだなぁ」

 一般常識と少しずれたことを面白がって行動する幼なじみの笑い顔を思い浮かべ綾音はいやそうな顔をする。けれどその中にも優しげな色を見つけた敦盛もつられ、優しく笑う。


「こちらの世界にも綾音殿の世界にも、同じ星があるとお聞きした」
「うん。同じ星座もあるし、やっぱり北極星はあるみたい」

 空を見上げ、見覚えのある星座を指でなぞる。


「……もし、」
「もし?」

 もし、私も貴女と同じ……。

「…いや……。そろそろ風が冷たくなってきた。戻らないか」
「うーん、でも……クシュ!!」
「身体も冷えきってしまう前に」

 そう言って笑い、自分の打ち掛けを綾音に被せると淡く微笑み、打ち掛けを押さえていない方の綾音の手を取ると、先ほど呼び寄せようとした場所へと誘う。

 先ほどは渋られたことを率先してされ、そして滅多に見られない微笑を目の前で目撃した綾音は驚きに固まったまま敦盛の先導に従った。



 もし、私も貴女と同じ世界に行けたなら。輝きは変わらない貴女の光をたどって必ず逢えるのに。

 けれど、紛い物のこの身体ではそう願うことすら罪だろう。


(不思議な言葉でいくつかのお題2)


あっつんが好きです。
敦盛→←綾音ちっくに。
遙か3は→←の組み合わせが好きです。明烏も実は→←の設定……あまり生かされていませんが。

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彩雲国 天河石の鳳凰像

 キラキラと輝くのは夜空に浮かぶ宝石達。それらを見守る暖かな月にゆったりと弓を弾き、月夜の曲を奏でる。


 さわさわと木々の葉を揺らす風の調べを邪魔しないように、静かに自然に。


「秀麗殿の二胡も見事だけれど、有紀殿もよい音を持っていらっしゃる」
「当たり前だ。こいつも長いこと弾いてきているからな」
「秀麗~……」

 自分の奏でる音を肴に三人が酒を酌み交わすのを聞き、思わずクスリと笑いがこぼれる。

「分かっていないなぁ絳攸。自分の音を持つというのはとても難しいことなんだよ」

 秀麗な目元を細め、指を目の前で振る藍楸瑛をちらりと一瞥し、そして笑いながら二胡を奏でる有紀を見て絳攸は杯をぐい呷った。その飲みっぷりに楸瑛から拍手が贈られるが絳攸は気づかないフリをして杯に酒を足した。

「有紀が弾けばそれは有紀の二胡だ。秀麗が弾けば秀麗の音。この二人はこれが当たり前なんだ。有紀、こっちに来て呑まないか」
「うん、有紀殿の酌で飲めるなんて私は幸せものだな」
「馬鹿が。明日どうなってもいいのならやらせてみろ」
「……やっぱり共に呑み交わしませんか?」

 なにを想像したのか少し青くなった楸瑛が、自分の隣の席に空の杯を置いた。それを見て黙礼で礼を述べると最後の音をきっちりと弾いた。

「うーん有紀もう終わりなのかぁ?」
「まあまあ主上。有紀殿と呑み交わす機会などあまりありませんよ?」
「うぅむ。確かにそうだな」

 頬を酒で染めた端正な顔をだらしなくゆるめ劉輝は己の隣の席(絳攸と劉輝の間の席)を叩き、座るように促した。
 その誘いを断れず二胡を置き、腰掛けるとあからさまなため息が楸瑛から聞こえたが、三人は無視をし、絳攸は何もなかったかのように有紀の杯に酒を注いだ。

「次!次は余からだぞ」
「はい。絳攸にしては珍しく甘いのを飲んでいるのね」
「べっ、べっ別に! たまには甘い物も呑みたいときはある!」
「有紀、さあ余からの酒だぞ! 心して呑むのだ!」
「はい。それでは失礼して…」

 一介の女官がこんなことをして許される訳ではないのに、自身とて理解しているのに、この優しい王の誘いを断れない自分がいる。

 それが将来彼のためにならないと分かっていながら。


(不思議な言葉でいくつかのお題2)

うーん、うまくいかないです。

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遙か4 太陽の光を閉じ込めた箱

アシュヴィン夢設定
デフォルト名:朔夜(さくや)


 紅月(くれないづき)が浮かぶ短夜は、懐かしい思い出が詰まっているから。


 そう寂しげな笑みと共に零した、己が妻の言葉を思い出しアシュヴィンは紅月を見上げた。

 闇に呑まれた常世を表すような薄暗い星月夜に、乾いた風が枯れた草木を揺らす。
 初めて一年を常世で過ごした彼女は、こうしたささやかな自然の息吹を敏感に感じ取り「常世はまだ余地はある」と柔らかに笑っていた。

 ただ無為に流れていた月日に彼女は温もりと薫りを与えてくれた。小さな息吹にも喜び、小さな仕合わせを大きな仕合わせに。

「フ。ただの興味だったというのにな」

 最初はただの興味だった。

 自らを捨て民草のために最後まで立ち振る舞ったという傍系の姫。前々から火雷やムドガラから話には聞いていた。
 どんな娘なのかと。

 そして、恐怖を押し隠し、気丈に前を見据える姿に興味を覚え、同時に目を奪われた。
 強く光の灯っていた瞳から、力が奪われていく瞬間に。
 勿体無いとも思い、気づけば体が勝手に動き、その娘を妃にすると言っていた。


 驚きに見開かれる瞳を見て、改めてその瞳の美しさに気づき、そして。



「アシュヴィン?」

 軽やかな声がアシュヴィンの背中にかけられた。振り向かずとも分かる声の主。
 先ほどまで思い描いていた声だけに、アシュヴィンはゆっくりと口角が上がるのを止められなかった。


「アシュでいい。どうした、朔夜」
「いいえ、ただ…」
「ただ、何だ。言ってみろ」
「風邪ひくわよ」

 少し呆れたような声音に、ゆっくりと振り返り自分よりも小さな繊手をとる。
 この手のひらで、彼女はいくつもの幸いをすくい上げる。破壊しかもたらさない自分の手のひらとは違う。

「おまえの手は小さいな」
「うるさいわね。貴方より背が低いのだから当たり前でしょう?」
「……だが、俺のこの手のひらよりも多くのモノをすくい上げる」
「アシュヴィン?」

 幾ばくか低くなった夫の声音に疑問を覚えたのか、少し気遣わしげな妻の声に我に返ったアシュヴィンは「何でもない」と呟いた。

「冷えてきたな。我が妃が風邪を召される前に戻る」
「ねぇ、アシュ。知っているかしら」

 何度呼べと言っても呼ばなかった愛称が妻の口から聞こえ、アシュヴィンは思わず言葉を切ってその顔を凝視した。

 アシュヴィンの手をそっと両手で包み込み、まるで祝詞でも唱えるかのように全てを包容する笑みを浮かべる

「王の手はね、すくい上げなければいけないものが多すぎるから本当に大切なものは少ししか手のひらに残せないの」

 膨大な量の砂や水を手のひらですくい上げるようにそれはとても難しいことで。

「だから、王のすくい上げられない大切なものは、王を支える人がすくい上げればいいのよ」
「それを朔夜、おまえがしてくれると?」
「私だけじゃないわ。シャニやサティもよ。だから、アシュは国にとって大切なものをすくい上げていて」


 そう。興味で娶ったこの姫は、ゆっくりとアシュヴィンの心に浸食していった。
 生き物が水を必要とするように、このたった一年で朔夜はアシュヴィンにとってなくてはならない存在にまでなっていた。



(不思議な言葉でいくつかのお題2)

彩雲国でふと思ったこと。劉輝が手のひらで支えられないものは周りが支えてあげればいいじゃん!!現実問題そんな簡単なことではないとわかっているけれどそうおもわずにはいられなかった。

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突発忍人夢?

忍人夢(?)

忍人ルートEDネタバレです。イコール……。

ダイジェストですらない、勢いのみです。

デフォルト名:レウル
常世の軍人でアシュヴィン部下




 始めは敵同士。相手をいかに出し抜くかで、合間見えたことはなかった。


 状況は一変し、共に肩を並べ時には背中を守りあい。
 芽生えたのは戦友へ対する信頼の情。

 何度も言葉交わし、更に芽生えたのは果たしてどちらが先か。


「二つの国の桜を見比べるのもいいかもしれないな」
「でも、即位式が終わるまではそんな時間は取れないわね。お互いに」
「先のことよりも目先のことだな。明日は」
「禍日神との戦いだ。だけど、魂を削られて体調が調わない弧浪将軍は早めに休まれた方がいいのでは?」
「フ。なら、後の雑務は常世が誇る孤高将軍にでも任せるとしよう」



「生太刀となっていても、今までの業を背負わねばならないというの…?!」
「…す、まないな。きみと、…や…、そく…」
「……ううん、ほら、ここからも桜が見えるよ。千尋を祝うかのように、淡い花が満開だ」
「…そ、だな……っは…。す、まっ…」
「私は、君とともに背を合わせて剣をとれたことを光栄に思う。例え、相容れない道を歩いて率いていたとしても。泡沫のような時だったとしても、私は幸福だった」
「…俺も、君と……肩を並べられたことを…誇りに思う……」
「忍人……」
「……(目が、霞む…君の声が)とおのく…」
「忍人……見えないのか」
「…レウル……君、が」
「私は忍人が好きだ。君も同じ気持ちで居てくれたと自惚れても良いのかい?」
「…君は…いつもそうだったな」
虚ろな眼差しで淡く微笑んだ忍人の頬に悪戯な桜が舞い降りた。



**

勢いだけでした。

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旅主 憎むほどにあいするきみへ

本編ネタバレです。




 だから、君が大切なのに。

 両世界の精霊と契約すれば、ミトスとの契約が破棄され、楔が抜ける。

 そう信じるレネゲードの言葉通りに契約を進めるロイド達に、不満は抱かなかったが一抹の不安を覚えたアトラスはここ数週間の間クルシスのメインコンピュータを操作し、ありとあらゆる計算をしていた。


 ようやく答えが出た時、クラトスから「ロイド達がルナとアスカとと契約をしそうだ」との連絡を受けた。


「…あの、バカがっ!!」

 寝不足とは別の意味での目眩を感じながら、アトラスはその場から姿を消した。





「ユアン、人の話を聞け」
「誰が聞くものか。貴様こそ年貢の納め時ではないか」

 鍔迫り合いを繰り返しながら、クラトスはまるで話を聞かないかつての戦友に軽い苛立ちを覚えていた。

 陰で進める計画を全て台無しにするかのようなこの男の行動にため息をつきたいのをこらえて、剣を握る手に力を込めてはじき飛ばす。

「聞けユアン。貴様の計画は、マーテルを解放するどころか、この世界を崩壊させかねん」
「フッ、そのような戯れ言誰が信じるか!」

 吠えるように叫ぶと、タブルセイバーを構え直す。
 互いに頭に血が上っていた二人だが、クラトスは不意にユアンの背後に現れた気配に安堵のため息をついた。ようやく、平行線を辿る剣戟が終わりを迎えるのだと。

 昔から、平行線をたどる二人の言い合いに終着を付けてきたのはアトラスだけだ。


「信じないとマーテルが消滅するけど?」

 言葉とともに気配を露わにし、背後からユアンの背中に剣先を突きつける。

「なっ、アトラス貴様!! クルシスにはつかないとっ」
「ついた覚えはないよ。ただ、使用させてもらうときはある。……っ、マナが変わった。走れクラトス!!」

  ユアンに説明するまもなく、階段上から感じるマナの変化に剣を鞘に収めて走り出すアトラスについてクラトスも後に続く。
 ユアンは、突然現れた戦友に説明もなく置いて行かれたことに少し憤慨しつつも、二人の慌てようから計画通りに事が進んだことを知り口元に笑みを浮かべた。



 全ての楔は抜け落ちて、支えを失った大樹は暴走を始めた。

 元々封印されていた精霊が目覚めて活発化していたマナにつられた大樹はシルヴァラントの大地を蹂躙した。


 大樹に吸収されかけ、苦しむマーテルの姿を見たアトラスは、呆然としているユアンの肩を突き押した。

「だから昔から言ったはずだ! 貴様は考えが足りないのだから、きちんと計画を立てて行動しろと!!」
「ならば、貴様は考えあっての行動だったのか?! あのとき! 我々を」

 ユアンの言葉にアトラスは顔色を変え、右手を強く握った。色が変わるほどに強く、何かを堪えるように。
 そんな二人に先ほどとはまるで立場が逆だと思いながら、クラトスはアトラスの肩を叩く。

「ユアン、アトラス。今は現状打破を探るのが先だ」
「……そうだね。言い合っていても時間は戻らない」

 ようやく口を挟めると思ったのか、ロイド達がユアンとクラトスに現状説明を求める。
 その声を背中で聞きながらアトラスは空を仰いだ。


『あのとき! 我々を』

 ユアンの言葉の先は容易に想像がついた。



「最低だな、……私は」

 ぽつりとつぶやいた言葉は、ロイド達の言い合いの声にかき消された。


「君が居れば、私たちはバラバラになることなどなかったのに」

 今言っても詮無いこと。無意味なこと、ただ虚しさを伴うと知りつつも、言葉にせずにはいられなかった。




**

グダグダです。


(不思議な言葉でいくつかのお題2)

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