TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
[
42]
[
43]
[
44]
[
45]
[
46]
[
47]
[
48]
[
49]
[
50]
[
51]
[
52]
×[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

日毎に積み重ねられてゆく知識
貴陽は猛暑に襲われ、官吏がバタバタと倒れた。故に政が正常に機能しなくなってしまう。
特に有紀の大切な家族、鳳珠……黄奇人率いる戸部は特に官吏の脱落率がひどく、人員不足に陥っていた。
そんな中、まさに助っ人と呼ぶべき人間が戸部に舞い降りた。
「燕青が臨時戸部執政官?」
「……知っているのか?」
久しぶりに屋敷に戻ってきた有紀は鳳珠から燕青がとても使えることを言われた。
つい先日、紅邵可邸で再会を果たしたばかりである彼がいつのまに?
有紀の疑問を感じ取った鳳珠は仮面をはずすとコトリと机案に置いた。
麗しい顔が露わになり、鳳珠の表情が面と向かって見えるようになり有紀は嬉しくて微笑んだ。
「茶州に行くと必ず会いましたから」
「……そうか」
親として兄としてなんとも複雑な感情を抱いた鳳珠に気づかずに有紀は髭面の燕青を思い浮かべた。
髭があろうとなかろうと燕青であることに違いはないのだが、見ていてむさいので有紀としては髭はない方が好きである。
「切るべきだと私は思うんだけどね」
「わかってねーな。髭は男の大切なものなのよ、わかる? ねえ、黄尚書」
休憩中に書簡とお茶菓子持参で現れた有紀を追い返さない鳳珠に燕青は話を振った。
ちらりと燕青を見て有紀を見た鳳珠は即答した。
「個人の趣味だろう。私は知らん」
「黄尚書は髭は生やさないんで?」
「非生産的なものは好かん」
鳳珠ならば髭を生やしていても似合うだろうと有紀はのんびりと思い、淹れたお茶を鳳珠と景侍郎へと渡した。その後燕青と紅秀へと渡す。
「ところで、有紀は何でここにいんの?」
「黄尚書に邵可様から頼まれたものをお届けに」
「それで私が有紀さんをお茶にお誘いしたんですよ。ちょうど休憩を入れようと思っていたので」
本音を言えば、鳳珠と燕青という不思議な組み合わせが見たかっただけでもあるが、秀麗とゆっくりとお茶する機会が久しぶりなのが嬉しいというのもあった。
にこにこと嬉しそうに笑う有紀を見て、燕青は何故かほっとしていた。
貴陽で久しぶりに会った彼女はどこか疲れていて、また何かをため込んでいるのかと心配になったのだが、戸部で話をする有紀に無理をしている様子は窺えなかった。
悠舜に有紀を紹介されたとき、貴陽にいる友人の養い子だと言われた。
後宮の女官は出身を明かさない為に姓を名乗らないが、おそらく有紀が敬愛している養い親はこの仮面尚書なのだろうと燕青は確信していた。
何よりも姓が一致する。
悠舜が心配していた親子関係のもつれはないようだった。
それにしても、と燕青は有紀の女官姿をじっと見てみた。
うるさくない程度に身につけた装飾は簡素ながらも質がいいもので趣味が良い。
茶州に来るときは男装姿ばかりだった有紀の女官姿はとても珍しいものとして燕青の目に映る。
紅秀と会話する有紀をじっと見る燕青を仮面越しに見ながら鳳珠は、休憩後彼にいかに仕事を押しつけるか考えていた。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
鳳珠様は父親的ポジション、なのか兄的ポジションなのか謎です。
[2回]
PR

例えるなら輝かしい笑顔は夏に咲いたひまわりのようで、みていて笑顔になれるとてもすてきな。
柔らかな笑みと共にそう告げると彼は困ったように微笑んだ。
そして誤魔化すように頬の十時傷を指でひっかく。
「んなこと言われたのは初めてなもんだから、なんて言えばいいのかわかんないだけどさ」
「うん?」
「えーと、その……」
口ごもる若き州牧を遠くからなま暖かい目で見守る州官達はさらににこにこと見守っている鄭州伊を見た。
「ありがとな?」
言葉に詰まり照れながら言った燕青を見て有紀は首を傾げた。
「なんでお礼を言われるかわかんないけどどういたしまして?」
微笑む有紀の姿を見て、燕青は先ほど狼狽えた自分に思わずあきれてしまっていた。
「なんつーか、悠舜の知り合いだっつーからどんな子かと思ったら普通の子なんだな」
交渉に訪れていた紫姉弟と楽しそうに会話をする有紀を見ながら燕青は手元の書類に適当に州牧印を押した。
そんな燕青に次々と書類を手渡しながら悠舜は先ほどの様子を思い出して小さく笑った。
「ええ、あなたから見れば普通の子になりますね」
「え?普通じゃないの?」
「なかなか個性的な私の友人と和やかに世間話をする子ですから、他の方から見れば変わった子と見られやすいですね」
適当に相槌を打つ燕青は有紀が悠舜を訪ねてきた時を思い出した。
面会を求める女性がいる。
そう聞いたとき彼は首を傾げたのだ。だが、官がすでにお手紙を差し上げたと言っていると告げると血相を変えてすぐに女性を通した。
現れた女性はまだ女性と呼ぶには早い、だが少女ではない女の子だった。
見事な礼をしてみせた彼女に悠舜は、突然説教を始めたのだ。
燕青によくするちくちくと嫌みが刺さる説教ではなくて、本当に怒っているのを隠さない穏やかな彼には珍しい語気荒い説教だった。
突然の悠舜の説教に呆然となっていた官吏達が仕事を再開して間もなくようやく彼の説教も終わったらしい。
ようやく終わったかと思い、二人の様子を覗くと彼女はうれしそうに笑っていた。
『黎深様がうれしそうだった理由がわかりました』
と嬉しそうに。
複雑そうに笑う悠舜を見て、燕青も思わず興味が沸いた。
話をしてみると、冒頭のことを言われ思わず押されてしまった。
だが、普通なのだ。
『黄』の名を持っているのに普通なのだ。
それがとてもおもしろかった。
「なー悠舜、あの子いつまでいるんだ?」
「有紀さんですか? どうでしょう私も知りませんし」
彼女は名前で呼ばないと怒りますよ?と忠告する悠舜に頷いて燕青は、『すてきな笑顔』と評された笑みを浮かべた。
「もうちょっと話してみたい」
「変なことは教えないでくださいね? 貴陽で心配している保護者に私が文句を言われるので」
今頃彼は麗しい顔を仮面の下に隠して大いに心配しているだろう。
だが悠舜は何故有紀が貴陽を飛び出してきたのか理由を詳しくは知らなかった。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
思いの外長くなりました。
燕青大好きなんですけど口調を忘れました……。
ちなみに有紀が今現在持っている木簡には桐竹鳳麟がかかれていたりします。
[2回]

気まぐれに弦を弾くと通りがかる人々が足を止める。
なんの心も籠もっていない爪弾かれる旋律。
リュートは苦手だった。
幼き頃から共にしてきた横笛の方が遙かに自分の気持ちに応えてくれる。
街の中央に位置する噴水に腰掛けていると不意に影ができて陽の光を遮った。
「アトラス、なーにやってんだ?」
不思議なほど人の心にすんなりと入り込む笑顔を浮かべたロイドが立っていた。
「クラトスが心配してたぜ? ……アイツも人のこと心配するんだな」
「クラトスもま一応人だからね」
ロイドらしい言い方にアトラスは思わず笑いを浮かべた。
空を見上げれば気づけば太陽は傾きはじめ、街は夕食前の買い物客が歩いていた。
青空は茜色へと染まり、心の隅に物悲しい思いを運び込む。
不意にアトラスの前に堅いグローブに包まれた手が出された。
「行こうアトラス。今日は久々に誰も料理をしなくても飯がでてくるから楽だよな!」
「確かに最近はロイドが頑張るからガルドがよく貯まる」
「うるさいな!」
旅のはじめはガルドがそれほどなかったために素泊まりの宿を選んでいたために食事は自分たちで用意していた。
半分本気で怒っているらしいロイドを見てアトラスは目を細めて笑った。
この旅を初めて彼はかなり成長をした。はじめに比べれば、ではあるが。
ふと手の中にあるリュートをみた。
この腕も昔に比べれば一歩と言わず半歩は前進しているかもしれない。
そう思うとアトラス口元に笑みを浮かべた。
「ロイド」
「ん?」
「……精霊の契約に名前がでてきたミトスはどういう意味だと思う?」
「オレに難しいこと聞いてもダメだぞ」
彼は困ったように笑うと真剣に考え始めた。がすぐに諦めてしまった。
「特に今は、なんともなー。世界再生が先だろ?」
「……そうだね」
まだ、彼はこの先がどうなるか知らない。
見えない何かに不条理に押さえつけられた何かを知らない。
それを知った時彼は、カレはどうするのだろうか。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
うまくいけませんでした。
[0回]

明烏
「まっ……! お待ち下さい、政子様…!」
力付くでも引き留めたい気持ちを抑え、冷静さを失いつつも景時はとっさに叫んだ。
「あら、何ですの? 景時」
あっさりと足を止めた政子はにっこりと笑みを張り付けた。その背後に景時が真に引き留めたかったものを抱えた従者を従えたまま、まるで何も知らないと言わんばかりに。
「……彼女はまだ動かせる状態では……」
ちらりと視線をやった先に赤いものが見え隠れする。
九郎を捕らえ、白龍の神子をも手中に収めた鎌倉はまだ景時も曙も手放すつもりはないらしい。
むしろ二人をさらに雁字搦めで縛り付け、二度と牙を剥かないように厳重に見張りを立て、檻へと縛り付ける。
「あら、わたくしは大丈夫だと判断したからこそ彼女を引き受けたのですわ。死なれては困りますからね」
言葉をかみ殺し、景時は曙を何度も見た。
こうしている間にも重傷を負った彼女は血を流していく。命の灯火が消えてしまうかもしれない。
「こちらには優秀な薬師もいますから、安心なさい景時。あなたの大切な曙殿は死なせませんわ」
哀しい連鎖を断ち切るにはどうすればいいのだろう。
跪いたままうつむき、船底に拳を打ちつけた景時の隣に誰かが座り込み肩をそっと触った。
「景時、あなたが今ここで駄々をこねればそれだけ彼女が危険な状態に陥ります。ここは、堪えて下さい」
「……弁慶」
「大丈夫ですよ。御台様、どうぞ景時は僕が落ち着けますので」
冷笑を浮かべ踵を返すその後ろ姿からはどこからか高笑いが聞こえてくるようだった。
神子も守るべき主人も、大切な女性も鎌倉にとらわれてしまった。
弱虫で意気地なしの自分に何ができるのだろうか。
景時は不意に自分の手のひらを見つめた。
べったりとついた、固まり始めた紅。
倒れた彼女を抱き起こした際の名残だった。
彼女は、まだ生きている。
「……お姫様を助け出すのは男の役目なんだよね」
「兄上……」
拳を握りしめて彼は立ち上がった。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
あえてこのお題でこっちに走ってみました。
明烏が書きたいです…。あえて需要とは真逆に走りたくなる人間です。
[1回]

明烏
蒸し暑い京とは違い、ヒノエの故郷である熊野は暑さからはほど遠い過ごしやすい気候だった。
「暑いわねぇ……」
「神子、暑いの?」
「でも京より涼しいから平気だよ」
陽が当たらない縁側でまったりとくつろぐ神子と龍神を見て曙は目元を和らげた。
そんな珍しい彼女の表情を見てしまった景時はとっさに周囲を見渡した。
辺りにいたのは望美と朔と白龍だけであった。
幸いなことにそばにいた八葉は景時だけだったらしい。他の皆は川の氾濫の真相探りに出払っていた。
戦の幕開けが間近だというのに、源氏方の総大将も参謀も熊野でのんびりとした時を過ごしている。
それは戦と戦の間に挟まれた小休止――つかの間の休暇だった。
京よりも心穏やかになれるのは、涼しさだけではないだろう。
「あ! 曙さんも一緒に涼みましょうよ!!」
「曙殿が座る場所ならあるわ。兄上の分はないけれど」
神子二人が満面の笑みで曙を手招きする。
が、彼女は困ったように笑みを浮かべてちらりと景時を見た。
「ありがとうございます。…ですがここも十分涼しいので大丈夫ですよ」
気を使われてしまった。
他人に気を使うのは当たり前だというのに、曙がちらりと景時を見た後に誇示したことは景時の心に喜びをもたらした。
曙が自分を気にしてくれた。
幼子でもあるまいし、そんな逆に気を使うべき場面で喜ぶとは景時自身も思いもよらなかったが、とても嬉しかった。
だらしない顔だと朔に言われそうなのがわかるほど景時はうれしさに顔がゆるんだ。
「ねえねえ、冷たいお茶とおいしいお菓子食べない?」
「あ、欲しいです!!」
「じゃあ俺、用意してくるね」
嬉しくて笑顔を贈ると、すかさずに曙が景時の後ろにたった。
彼女のこの行動がわかっていて、景時は今の発言をしたのだ。
「お手伝いします」
「ありがとねー」
お茶とお茶受けが準備できるまでのわずかな時間に彼女と何を話そうか。
鼻歌でも歌いそうな兄の後ろ姿に朔はため息をついていた。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
久しぶりに遙かです。明烏も書きたい作品の一つです。
曙(あけみ)の字を変えることにします。
暁未とか……?
リハビリ中です。
[1回]