気まぐれに弦を弾くと通りがかる人々が足を止める。
なんの心も籠もっていない爪弾かれる旋律。
リュートは苦手だった。
幼き頃から共にしてきた横笛の方が遙かに自分の気持ちに応えてくれる。
街の中央に位置する噴水に腰掛けていると不意に影ができて陽の光を遮った。
「アトラス、なーにやってんだ?」
不思議なほど人の心にすんなりと入り込む笑顔を浮かべたロイドが立っていた。
「クラトスが心配してたぜ? ……アイツも人のこと心配するんだな」
「クラトスもま一応人だからね」
ロイドらしい言い方にアトラスは思わず笑いを浮かべた。
空を見上げれば気づけば太陽は傾きはじめ、街は夕食前の買い物客が歩いていた。
青空は茜色へと染まり、心の隅に物悲しい思いを運び込む。
不意にアトラスの前に堅いグローブに包まれた手が出された。
「行こうアトラス。今日は久々に誰も料理をしなくても飯がでてくるから楽だよな!」
「確かに最近はロイドが頑張るからガルドがよく貯まる」
「うるさいな!」
旅のはじめはガルドがそれほどなかったために素泊まりの宿を選んでいたために食事は自分たちで用意していた。
半分本気で怒っているらしいロイドを見てアトラスは目を細めて笑った。
この旅を初めて彼はかなり成長をした。はじめに比べれば、ではあるが。
ふと手の中にあるリュートをみた。
この腕も昔に比べれば一歩と言わず半歩は前進しているかもしれない。
そう思うとアトラス口元に笑みを浮かべた。
「ロイド」
「ん?」
「……精霊の契約に名前がでてきたミトスはどういう意味だと思う?」
「オレに難しいこと聞いてもダメだぞ」
彼は困ったように笑うと真剣に考え始めた。がすぐに諦めてしまった。
「特に今は、なんともなー。世界再生が先だろ?」
「……そうだね」
まだ、彼はこの先がどうなるか知らない。
見えない何かに不条理に押さえつけられた何かを知らない。
それを知った時彼は、カレはどうするのだろうか。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
うまくいけませんでした。
[0回]
PR
がアトラスの素泊まり用意するはずだった。