TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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デフォルト名:立花眞里
極の修行に行く短刀の選び方
「極、か……」
こんのすけから手渡されたのは、短刀の更なる力を目覚めさせる「極」という修行。先行して修行に行けるのは五虎退、厚藤四郎、乱藤四郎、平野藤四郎の四振。この中から一振りのみ。
眞里は読み終えた文を近侍の和泉守兼定へと手渡す。彼はさっと目を通すと主を見つめた。
「誰に行かせるんだ?」
「さて。皆の意思を確認しないといけないとは思うけれど、皆行きたがるのか分からないからね」
「まあ、この四人は練度も条件を満たしてるしなぁ。厚藤四郎辺りは行きたがるのは目に見えてるが……」
和泉守兼定の言葉に眞里は厚藤四郎の姿を思い浮かべ、この話を告げればどのような反応が返ってくるかを想像してみた。
表立って感情を顕にすることは珍しいが、血気盛んな一面もあるため、即答で名乗りでる気がするのは近侍の意見と同じであった。
「ふむ。だがこういうのは本人の運も大事だと聞いたことがある。早い者勝ちということで、私が会った順に訊ねてみるとしようか」
「……まさかとは思うが、面倒がってないか?」
「……そんなことはない」
文机の上を片付けながら眞里は、視線を逸らした。
わかりやすい様子に小さく笑うと和泉守兼定は政府からの文を丸めて重要書類の棚へと納めた。
「さて、誰が始めに来るかな」
そしらぬ振りを始めた彼女の視線は傍にかけられた太刀へと向かっていた。そろそろ稽古場へと乱入する頃合いなのだろう。この審神者は芯からの武闘家であり、武士であったため毎日必要以上に稽古場へと顔を出しては刀剣男子を切っては投げ切っては叩きつけを繰り返していた。
刀剣男士立ちも似たような血気盛んな者達ばかりで主が稽古場へ現れると稽古の相手に名乗り出る者が途切れることはなかった。
すっと、静かな動作で眞里が廊下へと視線をやる。同じくして和泉守兼定も廊下へと顔を向ける。
隠しているわけではないが、だだ漏れでもない。静かな気配が部屋へと近づいているようだった。
「……誰だ?」
「おそらく、五虎退だろう。今日稽古を約束していたからだろうか」
「……五虎退」
同じことを考えたのか、彼は何も言わずに腰をあげると先ほど棚へと置いたばかりの文を手に取った。
「早い者勝ちで、本人の意思を確認すればいいんだな?」
「そうだな。それか、希望者は私から一本取るというのは」
「それだと誰も修行に行けないと思うが」
「……そうか」
「いや、残念がらなくてもあんたと打ち合いなんて皆喜んでやるだろうが」
彼の言葉に眞里はそうだろうか、と首を傾げていたが廊下よりかけられた言葉にすっと姿勢を正した。
「主さま、五虎退です」
「ああ、どうぞ」
失礼します。そんな言葉と共に、小さな虎を連れた短刀五虎退が入室してきた。今日は五虎退に稽古を誘われていたため、わざわざ迎えに来たのだろう。室内に入ると五虎退は静かに眞里の前に腰を下ろし、胡座をかく。
「もうお勤めはよろしいのですか?」
「ああ、一息ついたからそろそろ稽古場へと向かおうと思っていたところだよ。迎えに来てくれてありがとう」
「良かった。お仕事、邪魔してしまったかと思いました」
「おーい、これ。いいのか」
五虎退とのんびりとした会話を交わしていると、和泉守兼定が眞里の斜め後ろへと腰を下ろし文を手渡してくる。受け取ると、忘れていたとばかりに五虎退へと差し出す。
突然文を渡された五虎退は驚きながらも、手に取って読むように促す視線に負け、畏まって文を開けた。
小さな双眸が驚きながらも次第に熱を帯び、少しの不安と期待に染まるのを眞里は静かに見つめていた。
二度、三度と読み返した後五虎退は静かに文を閉じた。
「五虎退」
「……はい」
「行くか?」
「行きたいです! で、でも」
眞里の問いに勢いよく答えるが、すぐに弱々しい声で否定の言葉が続く。そのまま続けられる言葉には興味がないのか、切りたいのか眞里は膝を軽く打ち和泉守兼定を振り返った。
「よし。では、記念すべき初修行者は五虎退だな。手続きを頼む」
「へいへい。やっておくから、その間予定通り稽古でもなんでもしてこい」
「助かる。頃合いを見て戻る」
「え、主さま?」
立ち上がり太刀を手に部屋を出て行く眞里に呆気に取られながらも五虎退は無意識にその後に続き、稽古場へと向かっていった。
「本当に僕が行ってしまっても……」
五虎退が読んだ文の中には修行に行ける他の兄弟たちの名前が載っていた。なのに協議もないままに自分が勢いのままに名乗りでてしまい、それでいいのか不安に飲まれていた。
「私は誰が行ってもいいと思っていた。恐らく何人かは希望するとも。五虎退の後にまた行けばいいだけの話ではないだろうか」
「でも、僕が一番だなんて……」
「あの文が来て初めに会った順に問おうと思っていたんだ。だから初めに来た五虎退に選択権があった。ただ、それだけのこと。運も実力のうちとか言うそうだ」
「運も実力のうち……」
「そう。まあ、二人目以降は違うやり方にするけどね」
追い付いた主の顔を見上げれば、柔らかな笑みを見つけ少し照れ臭くなってしまった五虎退は抱き上げた小虎の誤魔化すように撫でる。ふわりと自分の頭が撫でられ思わず手が伸びてきた先へと視線をやると、眞里が優しい顔をして笑っていた。
「へへっ」
「さあ、では修行に行くと共に稽古が出来なくなるし今日はとことんやろうか?」
「えっ、そ、その……」
何時もならば躊躇いながら「自分相手では……」と控えめに遠慮しようとする五虎退であったが口ごもった後、主を見上げた視線には力強い光が宿っていた。
「主さま、お願いします!」
「よし、遠慮なしにかかっておいで」
「はい!!」
奮闘虚しく、いつも通り眞里にこてんぱんに負けてしまった五虎退であったが、その面差しはすっきりとしており事情の知らない短刀の兄弟達はしきりに首を傾げていた。
***
友人が出した薬厚本に現パロの薬厚を書かせてもらいました。
その本の友人の主題が極の修行に行く厚藤四郎のお話だったので、うちの審神者の眞里さんならどんな感じで修行に行く子を選ぶかな?と思って書いてみました。
ぷらいべったーに載せてたのをそのままこちらへ。
[0回]
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デフォルト名:向日 万帆(むかい かずほ)
翻る白の外套が視界の端に入り込み、カツカツと規則正しく忙しない足音が耳に入る。それだけで誰の物なのか直ぐに分かってしまうほど耳に慣れた規則的な物であり、彼女の探していた人の訪れでもあった。
「有馬隊長殿」
カツ、足音が止まった。足音の主は一呼吸つく間もなく声をかけた者ーー万帆を探し出すと、帽子の縁を上げた。
「向日か」
「こんにちは、有馬隊長殿」
「ああ。……何用だろうか?」
自然な動作で万帆を車道とは反対側へと誘い、木陰へと誘導すると厳しい顔に穏やかな色が乗る。
「有馬隊長殿は今日が何日かわかりますか?」
「……? 当然だ。8月2日だが」
「ふふ、当たりです。神子様から聞いたのですが、神子様の世界では産まれた日を記念日としてお祝いする習慣があるそうです」
「記念日として、祝う?」
「ええ。なので、有馬一さん」
改めて名前を呼ばれた有馬は万帆の顔を改めて見やり、息を呑んだ。
見慣れない、けれど何度か見かけたことはある花のような柔らかで艶やかな笑みが有馬を見上げていた。
「お誕生日おめでとうございます。貴方の一年が幸いに満ちたものになりますよう。また、貴方とお逢いできたこと、感謝致します」
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大遅刻ですが、有馬隊長のお誕生日話。
以前SSで書いていた子に悩みに悩んだ末に名前を仮決定しました。凜とした、お花というイメージから頂きました。
向日 万帆
向日は向日葵から。
万帆は、有馬一(ありま はじめ)の一に対する万(まん)
帆は、帆船より
[0回]
サイトで連載している薄桜鬼×BSRの主人公がノーマルルートの末にとうらぶの世界にうっかりトリップしたらという設定
デフォルト名:立花眞里(たちばな まさと)
眞里がノーマルルートで息絶えたあと
全てが終わったのだ。
半端で投げ出された任も、分かち合った誠の重みも。
これで、漸く。あの人達の居るもとへ向かえるのだと。
気付けば眞里の目前には縁側が出現していた。
縁側から覗ける小さな畳の部屋は床の間だろうか。
上座にあたる座敷の場所に五振りの刀が等間隔に並べられていた。
誰かの笑い声や、話し声。懐かしい音が聞こえてきそうな光景であるのに、眞里の耳に入ってくる音は何一つとしてなかった。
あまりにも不自然すぎる静寂。
五稜郭ではないこの場所は、何処なのか。満身創痍であった己の身体も装備もそのままただ眞里だけが見知らぬ土地に立ち尽くしている。
「やあやあ、お待ち申し上げていました。新たに審神者に任じられた方ですね」
気配なく響いた声に咄嗟に腰元の刀へと手が延びる。金属が擦れ合う音がその場に響いた。
「……きつね?」
「私は政府に命じられた案内役でこんのすけと申します。あなた様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
声の主は小さな狐のような生き物であった。しかし、眞里の知る限り狐は人の言葉を解さず話すこともない。
「私は、……また……。何故だ? 何故私は……」
もしや、また時を越えたのだろうか。武田の戦場から幕末の江戸へと世界を越えたように。戦場の五稜郭から見知らぬ世界へと。
戦場に数多の同士を置き去りにしたのだろうか。あの時のように。
「何か事情がおありのようですが、まずはあなた様のお名前をわたくしめに教えていただいても?」
「……立花、眞里だ」
「立花さまですね。これにて正式に審神者へと任命されました」
「私は了承などした覚えはない!」
「名乗って頂きました故。名を明かすは身を委ねるも同じこと。さあ、立花様。審神者として近侍をお選びください」
「いや、話はまだ終わっていない! ……近侍?」
見渡せど、室内に居るのは眞里ときつね、後は五振りの刀だけである。人の影など見当たらない。もしやきつねにしか見えない何かがいるのだろうか。
「そちらに用意しました五振りの刀剣。この中から一振りお選びください」
「刀が近侍……?」
「どの刀でも結構です。さあ、どれか一振り。遠慮などなさらず」
きつねに物申したいことは多々あれど、眞里の目は自然と刀へと惹き付けられていた。
我知らずと手が延びる。何かに引かれるように延ばされた指先に触れた瞬間気付けばきつく鞘を握りしめており、刀身を引き抜きかけていた。
何かが身体から抜けていく。BASARA技を使った時のように芯から末端へと流れていくそれに身を委ね、抜き身の刀身から光が迸る。咄嗟に目を瞑り、新たに現れた気配にどこか懐かしさを感じる。
何故だろうか。この温かな気配は。何故か懐かしさが沸き出て修まらず、不思議と馴染んでしまうこの空気は。
「オレは和泉守兼定。かっこ良くて強い! 最近流行りの刀だぜ。あんたがオレの主だな、よろしく頼む」
朱色の着物を身に纏い、目前に現れた見知らぬ青年の姿が眞里の記憶の最後であった。
*****
出来心で書いてみて、ツイッターのプライベッターで公開していたSSです。
大分前にノーマルルートで現代に転生したお話を小ネタ日揮でも書いていたので転生せずに審神者に就任してしまったらみたいな感じです。
ゲームにおいて審神者も戦うのか、それとも本丸で待つのみなのかは解りませんが、恐らく彼女は戦いに行かずにはいられないだろうな、と思います。
行けない場合は鍛練で道場辺りで稽古つけてるかも。
[1回]
デフォルト名:春日綾音(かすが あやね)
「敦盛さん」
己を呼ぶ声に彼はゆったりと振り返る。
声の主が手招きをしていた。その顔(かんばせ)が楽し気に微笑んでいるのを見て安堵しつつ彼の方へと歩みを向ける。
「何用だろうか、綾音殿」
身ぶり手振りで横へと腰掛けるように促された為に少し間を空けて腰を落とす。
「あの、えっと……」
告げるのを躊躇うような内容なのだろうか、綾音が言葉を迷わせる。しかし、その表情は負のものが見受けられない為に敦盛は催促することはせずに彼女が言の葉を紡ぎ出すのを待つことにした。
「その、敦盛さん」
「……ああ、っ綾音殿?」
突如両の手を細い手が包み込まれ思わず声が上擦ってしまった。やんわりと放そうとするが、その上からかかった力に思わず身を委ねてしまった。
「色々考えたんですけど、何も思い浮かばなくて、だからとりあえずこれだけは伝えたくて」
「……その、何を、だろうか」
かち合った両の眼差しが温かな光に満ちていた。彼女の柔らかな髪のような、春を思い浮かばせる優しい眼差し。
いくら傍らが心地好くても、彼女は陽の気を纏う人。片や己は陰の気しか持たぬ人成らざるもの。
己と彼女の行く道が交差することはないのだと。忘れてしまいたいことを、彼女の仕草で突き付けれていく。
「お誕生日、おめでとうございます。私と、……私達と出逢ってくれてありがとう」
花が綻ぶような笑みに、冷えきっている筈の己が心に陽が射し込む。
けれど。
己の立場を忘ることはしない故に、今だけは。春の陽射しの差し込むあたたかな、この場所に今暫く佇むことをどうか許して欲しい。
「プレゼント……贈り物は譲と一緒に敦盛さんの好きな甘味を作りました!」
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遅刻で久方ぶりの遙か3の平敦盛のお誕生日(遅刻)SSです。
口調も文体も上手く定まらないので微妙ですが。
気持ちだけでも……!
[0回]
ツイッターの鍵付アカウントできままに書いたSSSです。
「有馬隊長?」
そう問いかけるも、彼はぐっと帽子を深く被ってしまう。
ただでさえ表情から彼の考えを読み取るには深い観察が必要だというのに、顔を隠されてはと、反射的にそのつばに手を伸ばすと、
「……あまり、間近で覗き込まないでくれないか」
被せられた帽子はほんのりと暖かかった
***
「有馬隊長殿、お疲れ様です」
柔らかな声が聞こえる。この声を聞き慣れたのはいつの頃からだったのだろう。
いつの間にか日常へと溶け込む秋先の金木犀の香りのように、耳慣れた高すぎない静かな声を聞くと肩の力が抜けるようになったのもいつからか。
振り返れば目に入る翻る袴。
今はまだ、この距離で
[1回]