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小ネタ日記

TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。 感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。

彩雲国七 夕

 庭の片隅に笹を準備され、華美でなく質素でもなくただ見る者の目を奪う華やかさがそこにはあった。

 毎年のように、気づけば頼む前に誰かが準備を始めてくれた一夜の行事。温かな家人達に囲まれて、有紀は星空に託す想いを短冊に綴った。




「うう、思いつかぬ……」

 彩雲国今上帝の紫劉輝は机案の前で頭を抱えていた。山積みにされた本や書簡に頭を悩ませているかのように見えるその姿に、側近である藍楸瑛は片眉を上げる。

「主上、今はその様に大袈裟に考えられる案件はなかったと記憶していますが?」
「違う……。そっちは後で……」

 楸瑛を見上げるために小さく上げられた頭に対して視線は横に逸れていた。跡を辿らなくともその先に誰が居るかは分かりきっていた。
 怜悧な眼差しは手元の書簡に注がれている為に成りを潜め、ただただデキル官吏の姿がそこにはあった。李絳攸である。
 徐に顔が上げられると彼は眉間に皺を寄せて自分を見つめる視線をにらみ返した。

「何でもありません」
「書き上がりましたか」

 何をだ。楸瑛は思わず心のなかで突っ込みを入れた。
 楸瑛の知る限りでは絳攸から劉輝に対して課題だとかの類いは今日は出されていない筈であり、近日が期日にされているものもない筈である。

「楸瑛なら何を書く?」
「……何に対してどういったことを書くとしたら、なのかをお伺いしても?」
「願い事を書くとしたら何を書く?」

 唐突すぎて答えに窮してしまった楸瑛は助けを求めるように絳攸を見た。

「今日は願い事を短冊に託して笹に吊るす日だ。主上から預かってこいと言われてる」

 有紀から言付かったのだろう。絳攸がこのような物言いをするときは幼馴染みの女官黄有紀柄みであることは間違いないということを楸瑛は最近覚えた。

「願い事を? 笹に?」
「楸瑛はまだ書いていないのか? 短冊ならまだ余っているから分けてやろう」

 劉輝は仲間を得たと言わんばかりの笑みを浮かべて楸瑛に何枚かの短冊を手渡した。
 事情が飲み込めないままに手渡された短冊に言われるがままに無難な言葉を綴った楸瑛は最後まで短冊の意味が分からないままであった。




 有紀は絳攸から渡された短冊の枚数に目元を和らげた。

「藍将軍も書いてくださったの?」
「いや、主上が押し付けていた」

 答が予想通りだったのか、有紀は笑いが堪えきれずにくすくすと声をたてて笑っていた。その姿に心の片隅で安堵を覚えながら絳攸は家人の先導で庭の片隅に置かれた笹へと向かう。

 星空の下、五色の短冊が揺れる。


***


スランプの中でちまっと書くとこんな感じになりました。

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うたプリ×ペンギン革命 特別な日に特別な一杯を

デフォルト:藤丸ゆりえ





「日向さん、珈琲此方に置かせていただきますね」

 ふと意識を現に戻した瞬間、耳に入った声に反射的に頷いていた。何に対して返事をしたのか思い浮かべる前に、珈琲の深い薫りが鼻腔を擽る。

「休憩に此方もどうぞ」
「ああ、悪いな。藤丸」

 手を伸ばした先には珈琲が注がれたカップがあり、隣には小さなケーキが添えてあった。
 礼を述べながらカップを指に引っ掻けると違和感が沸き上がる。
 正体に気付き、遠ざかっていたゆりえの背中に声をかけると彼女は少し小走り気味に龍也の元へと戻ってきた。

「どうかされました? あ、珈琲お口に合いませんでした……?」
「いや薫りは旨そうだが……。じゃなくて、俺のは今は使えねぇのか?」

 そう言ってカップを上げて見せるとゆりえは合点がいったのか小さく頷く。ゆりえが此処で働きはじめてから、事務所で働く人間にはマイカップ制度が出来ていた。勿論龍也にもマイカップが存在した。けれど今日渡されたそれは龍也のものではない。
 ゆりえは目を細めて笑みを浮かべた。

「今日は特別ですから。お嫌でしたらいつものでお持ちしますが」
「いや、間違ってねぇならこっちで貰う」

 ゆりえの機嫌がいいのだろうと解釈した龍也は笑みと共に珈琲に口をつける。
 カップも違えば珈琲も違う。
 基本的にはゆりえが何処からか用意してくる珈琲だったが、今日の一杯は全く異なったものだった。

 様子をにこにこと眺めているゆりえに気付きながら龍也は静かに珈琲を置き、ケーキに手を伸ばす。一般的なサイズより小さなそれはシンプルなショートケーキだった。

「ん。旨いな」
「本当ですか?」
「ああ、何処の店のだ?」

 甘さ控えめでしっかりと主張しながらも口の中で蕩けていくケーキは、クラスの生徒たちのご褒美に使ってもいいとも思えるほどで。
 しかし龍也の問いかけにゆりえは、人差し指をたててにんまりと笑っていた。

「秘密です」
「あ? 何でだ?」
「特に理由はないですけど……。龍也さん、いつもお疲れ様です! これからも宜しくお願いしますね!」

 言うだけいうとゆりえはくるりと反転して龍也の前から立ち去った。
 背中から楽しそうな様子が伝わるのだけは分かり、龍也にはよく分からないままにいつもとは違う休憩になったのだった。



 ゆりえの真意が分かったのは、休憩も終わり、夕飯時になろうかという時。
 林檎と共に社長ことシャイニング早乙女が傍迷惑なクラッカーと幟旗(様々な国の言葉で『誕生日おめでとう!』と書かれている)を手に事務所に押し掛けて来た時だった。


「龍也さん、お誕生日おめでとうございます」
「はじめからそう言ってくれ」
「龍也ったら照れてるの~?」
「うるせぇ、お前は黙ってろ。ありがとな、旨かったぜ。誕生日祝い」
「あったりまえじゃない! ゆりえちゃんが龍也の為に作ったケーキなんだから!」
「ああっ林檎ちゃん、それは内緒……!」


***

龍也先生お誕生日おめでとうございます!
キャラクターの誕生日祝いでSSとか久方ぶりに書きました。

うたプリ×ペンギン革命より、藤丸ゆりえでした。

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二世の契り

デフォルト名:史(ふみ)





 史は谷嶋(やしま)という武士の家の三人娘の二番目の娘に生まれた。娘ばかりの谷嶋家は昔から武芸に秀でた一族だったが生まれたのは史を含めた三人の姫のみ。
 姉は早くに婿を迎え、谷嶋の家を守っていたが、家を継ぐ必要がなかった史は同じ年に生まれた小島家の姫と共に家臣に紛れて武芸を磨いていた。

 小島の姫は綾といい、年の離れた兄が一人居た。
 豪胆で、不器用で大雑把な彼は弥太郎といい、史は兄と慕い綾と共に遊んでもらいたくて小島の家に入り浸っていた。


 しかし、そんな毎日も弥太郎が嫁御を迎えてからは、遠い彼方に追いやられていた。





「毘沙門天の御使いさま?」
「ええ。白き光より出でて、鬼若殿を窮地より救ったと」
「で、殿が毘沙門天の御使いだとおっしゃったのね」

 綾姫は優しげな笑みを浮かべてそっと顎を引いた。殿……上杉景虎の命が危うかったが、それを異界の娘が救ったという奇妙な出来事は殿の命が助かったという大事の前には小さな出来事のようであった。
 竹馬の友とも呼べるこの姫の秘めたる想いを知っている史は綾姫の喜びが我が事のように嬉しきことだった。

「で、綾は如何様に?」
「殿から御世話を仰せつかったので、姫に仕えます。そこで、史に御願いしたいことがありまして」
「私に?」

 しっかり者と評判の小島の姫が、幼馴染みとはいえ、史に改まって頼み事をするとは余程のことだと思いそっと背筋を伸ばし彼女の眸を見つめた。

「兄上の目附を御願いしたいのです」
「…………」
「史?」
「…………嫌です」
「駄目です。聞きません」
「小島の家の事を谷嶋の私が口を出すのはおかしなことでしょう。殿も御当主殿も御許しになる筈が」

 機嫌を損ねたように庭へと顔を向けた史に綾姫はくすくすと小さな笑みを浮かべる。まるでその態度は予想通りであったと言わんばかりで。

「殿からは御許しを頂いています。兄上は」

 その先は聞かずとも史でも分かった。小島弥太郎が上杉景虎のそのような些末な指示を拒否することなどない。「殿の御命令とあらば」二つ返事で御意と返すのだろう。

「綾っ!!」
「いい加減に、結末を付けろということですよ。史」
「結末など……」

 史はぐっと言葉を噛み締めて、視線を遠くにやりながらそっと目を伏せた。
 幾年、幾星霜経とうとも史の脳裏には彼の方と細君の幸せな営みを思い浮かべることができた。
 分かっていた。彼の方が史をそのように見ることなどないということを。細君が身を隠した後もその二人の姿が目蓋の裏に焼き付いたまま離れなかった。
 その場に収まろうと思ったことなど一度もない。だからこそ、あの晴れ空の下、祝儀を祝福したあの日に結末などついていた。
けれど、想うことだけは赦して貰いたかった。

 だが、結末を付けろと云うのならば史が取るべきは唯一つだけだった。

 そっと目蓋を震わせながら視界を広げると、綾の眼差しを受け止めた。
 すっと息を吸い込み、胸に空気を染み込ませる。これ以上無様姿は誰にも晒せない。

「分かりました。綾が御遣い様に御仕え申上げる間、谷嶋の史が小島の御当主様の御世話を仰せつかります」

 決意の光を浮かべた史の眸に驚きに目を見張った綾姫の姿が映っていた。
 綾姫と御館の思惑とは全く異なった方向へと進み始めた事を知るものは誰も存在しなかった。


***

『二世の契り』より弥太郎夢設定でした。
弥太郎好きだ!!となった割には何故かこんな話。

綾姫の幼馴染みで弥太郎が小さな頃から好き。
妹としか見られていないことを理解しながら、遠くで眺めているので満足している。

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期間限定企画 『攻防の果てには』青空の下で

『もしも君と』





 季節は夏の盛りが通り過ぎ、木々や草花が一年で最後に彩り鮮やかになる時。


 この時節になると、『食欲の秋だから』と言って、様々な食事やお菓子を振る舞う有紀だったが、この年は体調を崩し鳳珠や絳攸や秀麗に言い含められ邸で大人しくしていた。

 けれどいくら医者に見せろと言われても、「季節の変わり目だから」と言って効かない有紀に絳攸や邸の者達は手を焼いていた。


「で、今日も言いくるめられた訳だ」
「喧しい! 俺が譲歩したんだ! ……だが、そろそろあの方々が乗り出してきそうだからな。いい加減に首を縦に振らせてやる」

 数冊の書物を脇に抱え、絳攸は拳を固く握りしめ高らかに宣言していた。
 その姿から劉輝はとばっちりを受けないようにといそいそと書簡の山を片付け始める。
 近頃の絳攸は怒りっぽいというのが劉輝の思うところであり、恐らく(かなりの確率で)有紀の行動が原因だった。
 劉輝も有紀が心配であるが、秀麗や楸瑛や静蘭から夫婦間の問題だから口を挟むなと厳重注意を受けていた為に絳攸にいつも以上に厳しくされても、楸瑛が必要以上に怒鳴られていても『夫婦の問題』なのだからと口をつぐんでいたが。


(余も有紀の心配をしたっていい筈だ。……ついでにちょこっと絳攸の事を考えてくれると嬉しい)

 楸瑛と絳攸のやり取りを聞きながら書簡の陰で文をしたためた劉輝は、所用で部屋を通りがかった秀麗に文を託した。



 文を手に秀麗はちゃっかりと休みを貰い、平日に有紀を訪ねた。
 勿論手放しで迎え入れた有紀と家人達だが、有紀は何かを楽しむかのように相好を崩していた。

 そんな有紀の様子に何かを察したのか秀麗は仕方がない、と言わんばかりに溜め息を吐きながら劉輝からの文を手渡した。


「劉輝様が?」
「私からは何も言わないわ。でも有紀姉様なら分かってくれるわよね?」
「そうね……。劉輝様にも心配させてしまっているようだし」

 降参します。そう両手をあげると秀麗は深く頷き、廊下で控えていた家人に医者の手配を頼んだ。
 秀麗が来た時点でこうなることは予想済みだった家人達は控えていた医者を有紀たちの部屋へと呼び寄せたのだった。





 その日、李絳攸は眉をつり上げながら帰路に着いた。
 今日こそは自分の言い分が正しいのだと己が妻に理解してもらうために丸め込むための持論も幾らか準備を整えてあり、負ける気など更々なかった。

 気合いも万全に帰宅した絳攸を待っていたのは、有紀の満面の笑みと。

「絳攸、男の子と女の子のどちらだと思う?」




**


大変遅くなりました。
青空の下での『もしも君と』より妊娠発覚でした。

恐らく義親三人には既に情報が渡っていて、でも自分から伝える相手は絳攸が最初がいい、という希望を叶えて貰っているから誰も屋敷には来ていないのかと。

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薄桜鬼現 代パロ 019 :きょうだい


※薄桜鬼現代パロディで永倉と義兄妹設定の家族夢になります。

デフォルト名:皆川 恵実(みながわ えみ)





 突然ですが、お兄ちゃんが出来ました。



 母は女手一つで私を育ててくれた。暮らしは楽ではなかったけれど、たくさん愛情も注いで貰ったし、たくさんの幸せもくれた。たくさんの思い出も。

 私ももうすぐ中学を卒業するからお母さんももっと自由に生きて欲しい。卒業後の進路を相談した時にそのことをしっかりきっぱり伝えた。


 そんなことがあった春からひとつ季節が移ろった、高校受験を控えた夏休みの直前。



「恵実。お母さん、再婚しようと思うんだ」

 母から突然カミングアウトされた。しかも相手の人には私よりも年が上の男の子がいるらしい。

 私の返答にドキドキしているらしい母親の仕草に微笑みながら、私は小さく頷いた。

「お母さんが幸せになれる人なら」
「恵実ちゃんも一緒に幸せになれる人よ」
「なら、私は反対しないよ」

 ほんわりと嬉しそうな笑みを浮かべた母は、今からとても幸せそうで。苦労を表に出さないで頑張っていた母のその笑顔を浮かばせてくれた『お父さん』にとても会ってみたくなった。




「君が恵実ちゃんかな? はじめまして、永倉です。こちらが息子の新八」

 よろしくね、と握手をした『お父さん』はとてもハンサムで、母は面食いだったことが新たに発覚した。物腰も優しくて、とても気を使ってくれる人で何より母と微笑み合う姿がとても優しくて。




 そして夏休み前のテストが終わった日に新しい家に引っ越した。

 引っ越しといっても私も母も荷物はそこまで多くない。お父さん達もそこまで多くないからすぐに片付いてしまう量だった。
 ただ私は学校の教科書とかが入っている段ボールが重たくて二階に運ぶ為に階段の前で気合いをいれていた。

「よし!」

 腕捲りをして準備万端な体勢を整えて段ボールを担ぐ。若干重心がぐらついてふらつくけれど耐えられない程ではないからゆっくりと一歩一歩歩いていく。
 階段は短くはないけれど長くもない。だから一段ずつゆっくりと登れば踏み外す心配はない、筈。


「あ、おいおい。俺を呼べって言ったろ?」


 一段登ろうとした時、簡単に段ボールを持ち上げられた。私には頑張らないと持ち上がらないものが軽々と持ち上げられるのは彼しかいない。

「新八さん。えっとその……」
「遠慮はいらねぇって。これは部屋でいいんだな」

 私の答えをきかずに彼は段ボールを持っているとは思えない足取りで階段を登っていく。慌てて着いていくと彼は部屋の中で既に待っていた。早い。

「ここでいいか?」

「はい、ありがとうございます」
「いいっていいって。また重てぇ荷物があったら遠慮しねぇで言うんだぞ? 俺がちょちょいのちょいで運んでやるからな」

 にっと歯を見せて笑う姿は格好いいけど何故か爽やか系ではない。そのことが少し面白い。笑いを堪えながら頷くと満足そうにして彼は部屋を出ていった。

 彼は、私のお兄ちゃん、永倉新八は今年の春から高校の先生で働いているらしい。新社会人というやつだ。
 お仕事で忙しいと思われるのに、貴重な休日を使わせるのはとても申し訳なかったけど、体力は有り余っているとの自己申告により肉体労働を主に担当するということで合意されている。

 一人っ子だったからずっと兄とか姉が羨ましかった。
 だから突然出来たお兄ちゃんが凄く嬉しい。しかも格好いいし。
 『お兄ちゃん』って呼びたいけど、まだ少し勇気が足りないようで無難に『新八さん』としか呼べていない。

 急ぐつもりはないけど、いつか身構えないで自然とお兄ちゃんって呼べるようになりたいな、と思う。

 とりあえず、片付けをするにもまだ部屋に収納があまりないからお昼を食べ終えたら皆でお買い物に行く予定。お父さんとお母さんは書類とかの何かでまだ戻ってきていない。

 時計を見ると単短針が12時に近くなってた。
 お昼ご飯を作らないと、お昼なしになってしまう。だがしかし、台所用品は準備があっただろうか……。
 両親に電話で聞けば分かる筈だが、それより先に自分で見た方が早い気もする。分からなければ、兄に聞けばいいだろう。

 結論付けて一階に降りると、台所に既に人影があった。
 今家のなかにいる人物は自分と兄しかいない。

「新八さん……?」

 声をかけると彼は手に巨大なフライパン(中華鍋?)を握り締めて振り返った。

「おう、恵実ちゃん。今から昼飯作るんだけどよ、何か好き嫌いあるか?」
「大丈夫です」
「よし、好き嫌いがないことはいいことだ! ちょっと待ってくれな」

 にかっと笑うと手際よく何かを切り始める。

 誰かが台所に立つ姿を見るのはとても久しぶりな気がする。
 母と二人で住んでいた時は私がいつも食事を作っていたから、何だか新鮮だ。

 静かに弾む心に少し浮かれながら何か手伝うことはないかと、台所に回り込む。
 置いてあるのは、焼きそばの麺と、お肉と調味料。

 ……野菜は?

 鼻唄混じりにお肉を切っていく背中を見て、くすりと笑ってしまった。

「お兄ちゃん、野菜は?」
「おっとすまねぇ! えっと……ん? い、今恵実ちゃん……?!」
「キャベツと、人参と、んーと……」

 中身があまり入っていない冷蔵庫から適当に野菜を出していく。条件反射なのか、素直に受け取っていく兄はとりあえず野菜をざくざく切っていく。

 それにしても二人分にしては多くて、四人分にしてはちょっと少ない分量だけど、何人分作るのだろうか。でもお兄ちゃんはたくさん食べそうだからいいのかもしれない。

「っと恵実ちゃん、皿を出してもらっていいかい?」
「はい。二枚でいいですか?」
「おう。頼むな!」

 お肉を焼き始める音がして、食欲をそそる臭いもし始めた。
 台所から料理を作る音が聞こえるのが、こんなにも心が弾むのだということをはじめて知った。

 机の上を食事が出来るように片付けながら準備を整えていく。
 鼻唄が聞こえてくる台所を振り返ると私が出したお皿の上につけ分けていた。片方は山盛、もう片方は特大な山盛。もしかしなくても山盛は私の分だろうか。

「恵実ちゃん、これぐらいで足りるか?」
「……それの半分で」
「えっマジか! たくさん食べねぇとでっかくなれねえぞ?」

 心底不思議そうにしている姿はとても面白くて、片手に中華鍋で悩んでいくのがなんだか可愛かった。私の分の山盛を自分の分のお皿に乗せているけれど、あんなに食べれるのかと感心してしまう。

「美味しそう!」
「だろう? 俺の腕もなかなかなもんだぜ?」
「ねえ、新八さん」
「ん? やっぱり大盛にするかい?」

「お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」

 目をぱちぱちと何度も瞬き、そして彼はにかっと満面の笑みを浮かべた。

「おう!」



 私、皆川恵実は今日から永倉恵実になります!



***


ツイッターでお世話になっているにあさんとスカイプでお話している最中にお聞きした、薄桜鬼の永倉との義兄妹話です。

引っ越し当日のお話書きたいなぁと思ってたら、なんだかネタが降ってきたので、勝手に設定をお借りしてしまいました。

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【TOS・TOA・彩雲国物語・遙か・十二国記など】の名前変換小説の小ネタを載せております。
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 └TOAマルクト軍人主人公
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 デフォルト名:アディシェス・アスタロト

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【一万企画】又は【企画主】
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【傍系主】
 └TOA傍系王室主人公
 デフォルト名:ルニア・ディ・ジュライル

【十二国記】
 └雁州国王師右将軍
 デフォルト名:栴香寧

【遙かなる時空の中で3】
 └望美と幼馴染。not神子
 デフォルト名:天河華織

【明烏】
 └遙かなる時空の中で3・景時夢
 デフォルト名:篠崎曙

【彩雲国物語】
 └トリップ主
 デフォルト名:黄(瑠川)有紀

【コーセルテルの竜術士】
 └術資格を持つ元・旅人
 デフォルト名:セフィリア・エルバート
 愛称:セフィ

【まるマ・グウェン】
 └魔族
 デフォルト名:セレスティア・テリアーヌス
 愛称:セレス

【まるマ・ギュンター】
 └ハーフ、ヨザックの幼馴染
 デフォルト名:シャルロッテ・ティンダーリア
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【逆転裁判】
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