「できましたよ」
その声を合図に簡易食卓で食事を待っていた全員は料理を手に持ってくるラシュディの姿を追った
「お、パスタだな。うまそうじゃん」
「ラシュディは料理もできるのね」
「とてもおいしそうです」
「そうだな。……ん?どうしたんだジェイドの旦那」
「…いえ。とてもおいしそうですね~ラシュディ♪」
明らかにおかしいジェイドの態度の理由を分かっているのかラシュディは何も言わずに嘆息した
「?どうしたんだい?」
そんなラシュディの様子をガイは不思議そうに見つめた
だがラシュディは苦笑するだけで何も言わず手を合わせた
「…頂きます。どうぞ召し上がって下さい」
「いっただきまーす!……ん?」
豪快に一口含んだルークは不思議そうに首を傾げ、小さく一口を口にしたティアは意外そうに、笑顔を浮かべたまま食べたイオンもやはり首を傾げ、ガイは食べたまま無言で咀嚼を続け、ジェイドは考え込むように咀嚼を続け、フォークを置きナフキンで口元を拭うと笑顔を浮かべた
「美味しいですよ、ラシュディ♪」
ジェイドのその言葉を聞くと皆は慌てたように笑顔を浮かべた
「あ、ああ。美味しいよ、このエンゲーブ風パスタ」
「ええ。…美味しいですよ、ラシュディ…」
若干無理があると思われる笑顔を浮かべるガイとイオン
「ラシュディ。そ、その……美味しいわ。ね、ルーク!」
「へ?は、…あ、ああっ、そうだなっ」
苦笑いに近い笑みを浮かべルークを突くティアと慌てて取り繕うルーク
そんな彼等を見てラシュディは申し訳なさそうに眉尻を下げて笑った
「無理に取り繕って下さらなくても良いですよ。私の料理は普通の味しかでないので」
「いや~ラシュディの料理は美味しいですよ?ただ、可も無く不可も無くといった感じですね」
「…そ、そんなことないって!平凡な味というか…母親の味って感じだな!」
慌ててフォローをしようとするルークだがガイは彼にしては珍しく困ったような顔をして首を振った
「ルーク…フォローになってないと思うぜ…?」
ジェイドはそっと嫌みな程の笑みを浮かべた
「ルークが彼にしては珍しくフォローして下さってるんです。気になさらなくても良いですよラシュディ」
「…もういいですから頂きましょう」
そのラシュディの苦笑と共に皆は何とも言えない表情で食事を再開した
後片付けをするラシュディの後ろ姿を見ながらガイは伺うようにジェイドを見た
「ラシュディって…料理は…」
「ああ、彼女の料理の腕は簡易的なものまでですよ。ですがレシピさえあれば先程のような料理ができるので、さほど心配はありませんよ」
「さ、さほどって……」
***
ラシュディはそれほど料理が上手な訳でも下手な訳でも無く、ただ。無個性な味になり見掛けよりも普通過ぎるのでギャップを感じてしまう。みたいな感じで(笑)
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