始まりはこの言葉
「ありじごくにんって…可愛いですよね」
ありじごくにんにアップルグミを渡した後、各々悪態付きながら立ち去るメンバーの後方でラシュディは、はにかむような笑みを浮かべた
一同はラシュディのその言葉と表情に呆気に取られた
その時は次いで襲ったシンクの事でその話は流れたのだが…
「大佐が一番変人ですよ!!」
「いやぁ、トクナガを可愛いというアニスには負けますよ、ね。ラシュディ」
「ぶぅ~。トクナガって可愛いですよね、中佐!」
砂漠のオアシスにてそんな会話を成す二人をイオンと見ていたラシュディはすっとトクナガに視線をやった
しばらく見てからアニスとジェイドを見て小さく首を傾げた
「ええ。この独特さが可愛らしいと思いますよ?」
「ほら~中佐も可愛いって言ってますよぅ」
アニスが誇るように笑みを浮かべてトクナガを持ち上げるがジェイドは考え込むように顎に手をやるが、すぐに笑みを浮かべて頷いた
「そうでしたね。ラシュディはケセドニアでありじごくにんを『可愛い』と言っていましたよね」
「?ええ。可愛いと思いますよ?」
「そういえば中佐ってばそんなことも言ってましたね…」
白々とした二人の視線にラシュディは困ったようにイオンを見つめた
だがイオンは困ったように笑った
「えーと…彼はとっても個性的な方だと思います……」
「…そうですか……?」
「じゃあ、中佐もあまり暑そうじゃないですし」
「トクナガやありじごくにんを可愛いとおっしゃるのでラシュディが一番♪ということですね」
「そうですね~」
満足したようにその場を去る二人にラシュディは困ったように笑った
「…お二人とも酷いですよ…」
「ラシュディ。あまり気になさることは無いと思いますよ」
砂漠のオアシスに苦笑いの音が響いた
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