TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
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何気なく100のお題
046 変装(アゲハ蝶・ピオニー)
朝。玄関の扉を開けたら知らない人が立っていました。
「………」
「おはよう」
「………」
聞き覚えがある声なのだがエミリアの目の前に立つのは帽子を目深に被り、色付きの眼鏡に着崩した服装。
帽子の合間から見える金色の髪。寝ぼけた耳に入る愛しい低音。
けれど寝起きにその恰好はあまり見たくなかった。
そしてエミリアは無言で扉を閉めた。
「なっ、閉めるな! 開けろ!」
**
047 ないものねだり(旅主・ユアン)
「ここに居たのか」
後ろからかけられた声にアトラスは振り返らない。
カツカツ、硬い床を歩く音が響く。それにも構わずにアトラスは"それ"を見上げ続ける。
「ミトスが探していた」
「……知ってる」
そっけなく答えるアトラスにユアンは小さく息を吐く。
「私は、言うまでもなく『反対』だ」
「考えてもか」
「……考えても反対だ。私は彼女との約束を違えたくない」
『ならば、私は貴女の理想を遂げるために助力しよう』
それは彼女に誓った約束。
『…ミトスを、独りにしないであげて欲しいの』
脳裏に蘇る彼女との約束。
「……どれもを守るためにはどうするべきか、私なりに考えた結果だ」
貴女が、…君が生きていてくれていたら
**
048 非常識人間(軍人主・ジェイドについて)
「ねえねえ、中佐」
「なんですかアニス」
手招きされたラシュディはアニスの招きに応じて屈む。
「……ちょっと聞きたいんですけどぉ~」
「なんでしょうか?」
アニスは辺りを見渡し、真剣な顔でラシュディに耳打ちした。
「大佐って、寝食取るんですか…?」
「……アニス。大佐も死霊使いと言われておられますが、一応。人間ですよ」
その時。聞きたくない声が聞こえた。
「おやおや、二人とも酷いですねぇ~」
二人は顔を見合わせて、振り向かずに走った。
**
049 共有物(傍系主・ガイ)
「おめでとうガイ」
「ありがとう、ルニア」
手を出しても決して振り払われなくなった。
ガイが一歩前進した。
「今までたくさんあったね」
「そうだなぁ…」
心の中で長年の思いに決着をつけ、恐怖症も一歩克服。
これからまた一歩ずつ進む。
「……なぁ」
「ん?」
「…一緒に来てくれって言ったら……いや、困るよな。忘れてくれ」
慌てて苦笑いを浮かべるガイにルニアは柔らかく笑った。
「なんで?」
「なんでって…君にはナタリアの護衛という仕事が…だから、…あーっなんでもない」
「いいよ」
「……え」
「いいよ。これから一緒に想い出、作ろう?」
共に、想い出を。
**
050 近況報告(軍人主・元元帥)
「元帥」
「おおー!ラシュディではないか!よう来たの」
「……ちょっとそこまで来たので」
久しぶりに顔を覗かすと、ラシュディの元上司は顔を綻ばせて迎え入れた。長い白髭は前より伸びている。
「また黙って散歩じゃな?」
「…元帥には隠し事ができませんね」
言葉とは違いラシュディは嬉しそうに笑っていた。
「お前さんも相変わらずじゃのう。ちと茶でも飲んでかんかい」
「――はいっ!私がいれさせていただきますね」
そう言うと父代わりだった元上司は優しく笑った。
**
ようやく半分まで来ました!残り半分!
あまり短くなれない話が……
[0回]
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何気なく100のお題
041 水しぶき(旅主・幼なじみ)
さらさらと流れる水の流れ。
水面を照らす陽の光によってきらきらと輝く。水面には周りの緑が映る。
「きもちーっ!」
「つめたいねー」
「姉さんもおいでよ!」
裾をまくり、澄んでいる水流に足を入れはしゃぐ三人を少し離れた位置で見守る。
ふざけあった結果生み出された水滴が宙を舞う。
「しいなは混ざらないの?」
アトラスが尋ねると、羨ましそうにしていた彼女は頬を染めながらも勢い良く頭を振った。
「と、とんでもない! あ、アタシはあんな子供っぽいこと…」
「コリンも行くー!」
突然現れたコリンはロイド達の元へと走っていく。
満面の笑みで迎えられたコリンも川へと入り楽しそうに遊び始める。
ちらりとしいなを見ると、うずうずとしていた。
けれど先ほど言った手前行動に移し難いようだ。
アトラスはそっとコリンと目を合わせて笑った。
「しいなー」
コリンは川から飛び出すとしいなまで走った。甘えた声にしいなもいつもの調子で答える。
「えいっ」
その掛け声と共にコリンはしっぽの水を勢い良く飛ばした。
**
042 顔見知り(旅主・ゼロス)
「お~や~何処の美女かと思ったら……天使様じゃないの」
「…何か用かな?」
背後からかけられた声に面倒臭そうにアトラスは振り返った。
「こ~んな人しかないとこに何の用なのかなぁ~?」
「ちょっと野暮用でね」
まさか、もう一人の相棒を待っているとは言えずアトラスはため息をついた。
ゼロスがいるということは他の面子もいるということ…。
(厄介なとこで会ったな…)
アトラスは顔を覆いながら小さくため息を吐いた。
**
043 ひなたぼっこ(傍系主・イオン)
こんな気持ちの良い天気で自由行動の日にはこれをしなきゃ始まらない。
「あ、イオン」
「ルーニャ?」
見知った姿は逆さまに映る。ルニアの恰好を見てイオンは小さく笑う。
「隣、いいですか?」
「どうぞ。イオンも横になると気持ちいいですよ」
イオンはくすりと笑うとルニアの隣に腰を降ろした。
座るのみのイオンを寝転びながらルニアは一瞥し、空へと視線を馳せた。
柔らかな風が二人の髪を揺らす。
「気持ちいいですね」
目を細めたイオンにルニアも同じく目を細め、そっと瞼を降ろした。
**
044 職人気質(傍系主・ガイ)
「すごいだろ!」
「えぇ、すごいすごい」
雑誌を覗き込みながらすごいを連発するガイに呆れ果てる。細かく性能を語られても困るのだ。全然解らないのだから。
「でな、これは10年前に製造停止になったんだけど3年前からまた再開したんだ!」
話が全く解らない。
楽しそうなガイには申し訳ないがその手の物には興味がないルニアには苦痛とまではいかないがつまらない。
ガイの話を右から左へと聞き流しながらあちこちを見ていると、最近メンバーの一員となった人影を発見した。
「あ、ノエル」
「ルニアさん、ガイさん。何をしてらっしゃるんですか?」
ノエルに気付かずに雑誌を見続けるガイを指差してルニアが苦笑すると、意図を理解したノエルはルニアの隣に腰掛けた。
暫くすると、ガイとノエルとで音機関に関する論争が起こることは言うまでもない。
**
045 所帯持ち(傍系主・ガイ)
「なんかガイって…」
ガイの話に相槌を打っていたルニアは手持ち無沙汰にカップの中に入っていたストローを回した。
氷がからん、と音を立てて動く。
首を傾げながらもルニアに続きを促したガイは間もなくルニアによって大ダメージを受けた。
「なあ、姉上」
「なーに、ルーク」
落ち込んだガイを見兼ねて人を労ることを覚えたルークは姉貴分の又従姉妹を訪ねた。
「ガイが物凄く落ちこんでんだけど、なんか知らない?」
「えーと……」
目を泳がすルニアにじっと詰め寄ると、又従弟には弱いルニアはため息をつき、苦笑した。
「ガイがね」
「うん」
「…ルークの成長ぶりをすごく嬉しそうに話すから」
突然自分の話を切り出されたルークは恥ずかしそうにしながらも話に耳を傾ける。
「『ガイはルークのお父さんみたいね。この年で17歳の子持ち?』って」
「……そんだけ?」
瞬くルークにルニアは小さく顎を引く。すっと立ち上がり、笑った。
「謝ってくるわ」
「う、うん…」
小さな嫉妬と悪戯がそこまで落ち込ませるとは予想もしなかった。
どう切り出そうか考えながらルニアは小さく笑った。
**
しょくにんかたぎって何ですか…?!
今決めたのですが傍系主とガイの関係は傍系主→←ガイという感じでいきます。
[0回]
何気なく100のお題
036 悪知恵(傍系主・ガイ?)
「ふふふ」
マズイ。直感でそう思ったのは長年の付き合いで育まれた第六感。彼女がこんな風に楽しそうに笑うときは良くないことが起こる。
「おや、ルーニャは何かたのしそうですねぇ?」
「あ、大佐。ふふふ、分かります?」
嫌な事にジェイドが便乗しそうだ。
「ふむふむ。中々面白いことを考えますね」
「あら。大佐に褒めてもらえるなんて、光栄だわ」
「おやおや。では、私もイーイことを教えてあげましょう♪ そこで突っ立っているガイで試しては如何ですか?」
何か妙な入れ知恵をされたルニアは満面の笑みで迫り来る。
不謹慎だが、嬉しいような悲しいような……。
「ガーイっ♪」
三十六計逃げるにしかずっ!!
**
037 勘繰る(旅主・リフィル)
「…ところで、常々思ってたのだけれど」
「どうかした?」
後方支援する為にリフィルの付近で詠唱を済ませ、技を発動させたアトラスはリフィルを振り返った。
手出し無用の如く戦況は落ち着いた。
「あなた、人間よね?」
射ぬくような鋭い眼光がリフィルを尽きぬけた。聞いてはいけないことだったか。内心焦るもアトラスはすぐに穏やかな微笑を浮かべた。
「……遠い先祖に君達と同じ者を持っているんだ」
「先祖還りなのかしら?」
多分ね。そう頷いたアトラスは剣で以て敵を切り伏せた。
**
038 宣戦布告(傍系主・ガイ)
スッ、と洗練された動きでその白い手を掬い上げる。
膝を着き、頭を垂れる。そしてその手の甲に小さく口付けを施す。その様子はまるで騎士が忠誠を誓うようで……。
その行われるものをじっと無感動の瞳で見下ろす。
爽やかな空色の瞳と、海と森の瞳が交差した。
「貴女を掠う、お許しを」
紅を塗った唇が誘惑するように弧を描く。
「……許す」
さらりと焔の色を宿した髪が肩から流れた。
**
039 じれったい(アゲハ蝶・ジェイド)
「あのさ」
突然話をすり替えられたエミリアはキョトンと首を傾げた。
「え、なに?」
「……いや、やっぱりなんでもない」
「なーにジェイド。気になるでしょ?」
ため息を吐いたジェイドは不意に机の上にあった本を掴むと自分の背後に放り投げた。勢いよく。
何事かとエミリアが尋ねる前に鈍い音と悲鳴が聞こえた。
「なにすんだジェイド!」
「お、重いよピオニーっ!」
物影から出て来たのはピオニーとサフィール。呆れたようにその二人の目の前に立つとジェイドは笑った。
その笑顔に二人の顔は引きつる。
「立ち聞きとはいい度胸してるじゃないか、二人とも」
「面白そうなのに覗くなという方が悪いな」
「ピ、ピオニー!だからやめとこうよって言ったじゃん!」
「なっ?! 裏切るのかサフィール!」
言い合いを始めた二人の前にエミリアもふらりと立つ。
「……最悪よ」
「わ、悪かったエミリア!」
「ごめん!」
「二度と口ききたくないわ。知らないっ」
怒り心頭に達したエミリアは荷物を持ってその場を立ち去った。
そしてどこか見下したような勝ち誇った笑みを浮かべたジェイドもそのあとに続いた。
「やべぇな。エミリアを怒らしちまった…」
「ど、どうしよう~…一週間は口聞いてもらえないよ?!」
**
040 流星群(企画主・コレット)
「今日はいっぱいお星さまが見れるみたいだよ!」
本日発った村でそういっていたのを思い出したコレットのその言葉で珍しく夜遅くまで起きている未成年三人組。
「流れ星になんの願い事としよっかなっ?」
「欲張り過ぎると叶わないと思うよ?」
うきうきとするロイドに思わずツッコミを入れるとセフィアは最近お気に入りのクラトスのホットココアを啜った。
「セフィアは何を願うのだ?」
「私?」
突然振られた問いにセフィアはしばし考え、クラトスに笑いかけた。
「…秘密」
「……そうか」
「あっ!見てみて!!」
「すご~い!!」
「すっげー!」
闇夜に数多もの光の筋が駆け抜ける。
月夜に照らされた地上に幾筋もの光が降り注ぐ。
その光景に誰もが口を閉ざす。
**
38番は特に意味はありません……。盗み出される姫と盗む騎士。みたいな感じで。女性恐怖症は…まあ置いときましょう。
[0回]
何気なく100のお題
031 ひっそりと(軍人主・ルーク)
辺りが静まり返ると、ぱちぱちと焚火の音のみが聞こえる。
寝ずの番であるラシュディは、椅子がわりの木に座りながらじっと焚火を見ていた。
その光景をそっと見ているととても不思議な光景に見える。
いつもは日の光りに当たって明るく輝く彼女の髪が炎の色を反射して違う色に見える。
「眠れないですか?」
突然声をかけられて驚いた。狸寝入りがバレたのかと焦りながら起き上がり隣まで行く。
「ちぇっ。バレてたか」
座って顔を覗き込むといつもの優しいラシュディだった。
「眠れないですか、ルーク」
「……うん」
「早く寝ないと明日も早いですよ?」
「……うん」
そういって俯くと、そっと頭を柔らかく撫でられる。子ども扱いされているようだが、不思議と安心感が身を包み込む。
「大丈夫ですよ、ルーク」
大丈夫ですよ。彼女の声には不思議な催眠効果でもあるのだろうか、段々と眠くなっていく。
「おやすみなさい」
ラシュディが笑った気配がした。
**
032 無理強い(教団主・アッシュ)
「だーかーらー、聞いてる?」
「生憎とお前の言葉に傾ける耳は持ち合わせてねぇっ!」
「ふーん…。そんなこというんだ?」
「なんだ」
「もう貸してあげないよ?」
「っキサマ!!」
「大人しく前髪を降ろせ!じゃないと叩くよ!おでこ!」
**
033 猫なで声(神子・ゼロス)
「明良~頼みがあるんだけど」
「嫌」
ふいとそっぽを向く彼女の前に回り込むと心底嫌そうな顔をされた。
「俺様まだ何も言ってないんだけど~?」
「嫌な予感がするの」
あながち間違ってはいない。
「な~んでよ」
「ゼロスがそんな声出す時はろくなお願いじゃない」
甘えた声は逆効果らしい
**
034 場違い(アゲハ蝶・ジェイド)
あの笑顔で頼まれると断れない。それを見越してピオニーは頼み込んだ。
「……はぁ」
普段ならばしないような豪華な服装。少し気合の入った化粧。
それをしていても、この会場の雰囲気には相応しくないように思われた。
「楽しんでいますか?」
「……さあ?」
声の主を見ると彼はいつも通りの服装だった。そのことに安堵感が込み上げ、隠そうとして苦笑が浮かぶ。
何を言いたいのか理解した彼は軽く肩をすくめた。
「これが正装なので」
「……ふふっ」
――気持ちをほぐしたついでに踊りませんか?
――ええ。喜んで。――いっそ玉座の前で?
眼の前の彼は人が悪い笑みを浮かべた。
**
035 一匹狼(傍系主・ガイ)
「いいのか、ルーニャ」
「なにが?」
何処を見渡しても水ばかり。弟分とも言える彼を置いて戻って来た外殻大地。 魔界から道が通じているという湧水道に二人はいた。
彼を迎える為に。
「君の護衛すべきはナタリアだろ?」
「……あっつんが寄ってほしくなさそうだったから」
威嚇するかのような彼の態度。それは幼い頃共に過ごしたルニアにはわかっていた彼の癖のようなもの。
「孤高の狼は拍車にかけて酷くなっていたわ。……癒やせるのは私じゃないの」
悲しそうな横顔にガイは苦笑を浮かべるしか術を持たなかった。
**
…ノーコメントで
[0回]
何気なく100のお題
026 変身願望(アゲハ蝶・ピオニー)
はぁ……。本日六回目のため息。それをずっと横で聞いていたピオニーは我慢しきれずに横を見た。
隣の彼女は本を読んでいるはずなのだが先程からため息ばかりなのだ。
はぁ……。
「エミリア? どうかしたのか?」
「…へ? あ、ううん。何でもないわ」
「嘘つけ。さっきからため息ばっかり、七回目だぞ」
回数を教えると、不思議そうに首を傾げた。
「ピオってば数えてたの?」
「で、何か悩み事か?」
答えずに言及するとエミリアは困ったように首を傾けた。その拍子に彼女の癖のない艶のある髪がサラリと流れた。
「えと、みんな綺麗な髪の色だなーって」
金、銀。宝石のような綺麗な色ばかりで、自分もその中に入れたらいいのに。そう言った彼女の瞳は寂しげに揺れていて、心が揺れた。
「オレは……」
言いかけて、そっと周りを見回した。他の二人の幼馴染みは見当たらない。
喉が渇く。声が掠れないように、そっと息を吸い込んだ。
「オレはエミリアの髪も瞳も好きだぞ?」
そう言うと彼女は嬉しそうに笑う。
幼心に彼女の笑顔が見れるだけで幸せだった。
**
027 敏感肌(企画主・しいな)
「し~い~な~っ」
名を呼ばれて振り向くと満面の笑みを浮かべているセフィアがいた。
彼女が嬉しそうに笑っているのはいいことだが、自分の第六感が小さく警報を鳴らした。
「な、なんだいセフィア」
「ふふふ」
耳元に温かい息を吹き付けられ絶叫するまであと三分。
**
028 暴露話(旅主・?)
「アトラス、ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」
「なに?」
「クラトスさんとアトラスさんの好き嫌いを教えていただきたいんです」
「いいよ」
その言葉にロイドとコレットが嬉しそうに飛び付いた。
「クラトスはトマト。私は銀杏かな?」
人物に似合わぬ好き嫌いを聞いた二人は聞かなかった事にした。
**
029 悪趣味(軍人主・)
「ラシュディ~?」
呼びかけても何故か返ってくる筈の声が返ってこず、覗き込むと案の定。気持ちよさそうに眠っていた。
起こさぬように近くに寄ると、慎重に閉めた扉が開いた音がした。
「ラシュディ?……陛下」
入ってくるなり呆れたような視線を送ってくる奴に肩をすくめて見せる。
「寝てるから説教は後にしてくれ」
「寝ているなら出ていくのが礼儀だと思いますが?」
そういいつつも奴も近くまでやってきて、そして寝顔を覗き込む。
机につっぷすようになって寝ているラシュディの、鈍く輝く髪をそっとよけるその手は優しい。
その様子を見た奴は笑った。
「全く。貴方もラシュディに甘い」
「お前に言われたくないな」
**
030 涙(神子・ゼロス)
ぽろぽろと際限なくこぼれ落ちるその雫を指の腹で拭うが、それらは止まる事を知らない。
彼は困ったようにしていた顔を一転し、楽しそうに笑うとそっとその決壊したダムに顔を寄せた。
そっと舐めるとそれらは少ししょっぱかった。
驚きに雫はこぼれなくなった。
「明良は泣き虫だな」
「……うるさい」
安心させる言葉を持たぬ自分が悔しい。
**
難産が続きます。
[0回]