何気なく100のお題
036 悪知恵(傍系主・ガイ?)
「ふふふ」
マズイ。直感でそう思ったのは長年の付き合いで育まれた第六感。彼女がこんな風に楽しそうに笑うときは良くないことが起こる。
「おや、ルーニャは何かたのしそうですねぇ?」
「あ、大佐。ふふふ、分かります?」
嫌な事にジェイドが便乗しそうだ。
「ふむふむ。中々面白いことを考えますね」
「あら。大佐に褒めてもらえるなんて、光栄だわ」
「おやおや。では、私もイーイことを教えてあげましょう♪ そこで突っ立っているガイで試しては如何ですか?」
何か妙な入れ知恵をされたルニアは満面の笑みで迫り来る。
不謹慎だが、嬉しいような悲しいような……。
「ガーイっ♪」
三十六計逃げるにしかずっ!!
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037 勘繰る(旅主・リフィル)
「…ところで、常々思ってたのだけれど」
「どうかした?」
後方支援する為にリフィルの付近で詠唱を済ませ、技を発動させたアトラスはリフィルを振り返った。
手出し無用の如く戦況は落ち着いた。
「あなた、人間よね?」
射ぬくような鋭い眼光がリフィルを尽きぬけた。聞いてはいけないことだったか。内心焦るもアトラスはすぐに穏やかな微笑を浮かべた。
「……遠い先祖に君達と同じ者を持っているんだ」
「先祖還りなのかしら?」
多分ね。そう頷いたアトラスは剣で以て敵を切り伏せた。
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038 宣戦布告(傍系主・ガイ)
スッ、と洗練された動きでその白い手を掬い上げる。
膝を着き、頭を垂れる。そしてその手の甲に小さく口付けを施す。その様子はまるで騎士が忠誠を誓うようで……。
その行われるものをじっと無感動の瞳で見下ろす。
爽やかな空色の瞳と、海と森の瞳が交差した。
「貴女を掠う、お許しを」
紅を塗った唇が誘惑するように弧を描く。
「……許す」
さらりと焔の色を宿した髪が肩から流れた。
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039 じれったい(アゲハ蝶・ジェイド)
「あのさ」
突然話をすり替えられたエミリアはキョトンと首を傾げた。
「え、なに?」
「……いや、やっぱりなんでもない」
「なーにジェイド。気になるでしょ?」
ため息を吐いたジェイドは不意に机の上にあった本を掴むと自分の背後に放り投げた。勢いよく。
何事かとエミリアが尋ねる前に鈍い音と悲鳴が聞こえた。
「なにすんだジェイド!」
「お、重いよピオニーっ!」
物影から出て来たのはピオニーとサフィール。呆れたようにその二人の目の前に立つとジェイドは笑った。
その笑顔に二人の顔は引きつる。
「立ち聞きとはいい度胸してるじゃないか、二人とも」
「面白そうなのに覗くなという方が悪いな」
「ピ、ピオニー!だからやめとこうよって言ったじゃん!」
「なっ?! 裏切るのかサフィール!」
言い合いを始めた二人の前にエミリアもふらりと立つ。
「……最悪よ」
「わ、悪かったエミリア!」
「ごめん!」
「二度と口ききたくないわ。知らないっ」
怒り心頭に達したエミリアは荷物を持ってその場を立ち去った。
そしてどこか見下したような勝ち誇った笑みを浮かべたジェイドもそのあとに続いた。
「やべぇな。エミリアを怒らしちまった…」
「ど、どうしよう~…一週間は口聞いてもらえないよ?!」
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040 流星群(企画主・コレット)
「今日はいっぱいお星さまが見れるみたいだよ!」
本日発った村でそういっていたのを思い出したコレットのその言葉で珍しく夜遅くまで起きている未成年三人組。
「流れ星になんの願い事としよっかなっ?」
「欲張り過ぎると叶わないと思うよ?」
うきうきとするロイドに思わずツッコミを入れるとセフィアは最近お気に入りのクラトスのホットココアを啜った。
「セフィアは何を願うのだ?」
「私?」
突然振られた問いにセフィアはしばし考え、クラトスに笑いかけた。
「…秘密」
「……そうか」
「あっ!見てみて!!」
「すご~い!!」
「すっげー!」
闇夜に数多もの光の筋が駆け抜ける。
月夜に照らされた地上に幾筋もの光が降り注ぐ。
その光景に誰もが口を閉ざす。
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38番は特に意味はありません……。盗み出される姫と盗む騎士。みたいな感じで。女性恐怖症は…まあ置いときましょう。
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