デフォルト名:レナ
ひしひしと感じる疎外感は到底口に出せる空気ではない。だが、仲間たちはそれを感じさせない優しさを持っている。
けれど、レナは一人疎外感を抱き続けていた。
一人、転生者ではないという疎外感を。
「ヒール! ルカ、右!!」
「はぁぁ!!」
無事魔物を倒し終わると、ルカは振り返り照れた笑みを浮かべるとレナに頭を下げる。
「ありがとう、レナ」
「お礼を言われることではないわ。始めに比べると反応もよくなったわね」
「へへ」
少し乱暴に頭を撫でるとうれしそうに笑う。旅の仲間内では貴重な彼の純粋さが好きだった。
お互いに目を合わせて笑っていると、拗ねた顔をしたスパーダがレナの腕をつかんで強引に引いて歩き始めた。慌てて体勢を立て直したために転ぶようなことはないがそれでも歩きにくいことには変わりない。
「レナ! さっさと行くぞ!」
「わっ、ちょっと坊ちゃん引っ張らないで下さい」
「坊ちゃん言うな!」
それこそ無理な相談だ。
「父が申していたように、元服の儀を迎えるまではずっと坊ちゃんですよ、スパーダ様」
「……様づけもしなくていい」
「それは無理です。これ以上ないほどの譲渡ですから」
「ちっ」
こうして悪態付かれていた方がよほど精神的には楽だ。けれど、それを告げるとこの優しい元主は気に悩む。だからレナは告げない。
「さあ、立ち止まらないとルカ達とはぐれてしまいますよ」
「へーへー分かったよ」
転生者ではないために天術が使えない自分がどれくらい役に立つのかは分からないが、それでも父や元主の頼みだからついてきた。
自分は必要とされている。前世など知らなくとも支障はないのだから。
気にしなくてもいいのだとわかっていても。
「またくだらないことを考えているな」
「くだらないことなんて…」
こつんと頭の上に拳を乗せられる。
「疎外感を感じるのはおまえの勝手だ。だが、妙に距離を置くとガキ共が騒ぐ」
「……だって」
「前世なんぞの柵はないほうがいい。どこまでが自分の想いで、どこからが他人の想いなのか理解できなくなる。……天術などなくても我々と同等な力を持っているんだ。胸を張れ」
淡々と告げられる言葉にいつも救われる。そのことをまだ、告げるつもりはないけれど。
「ありがとう」
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
書きやすそうで意外と書きにくかったイノセンスでした。
わかりにくいですが、ハルトマンの娘設定でともにスパーダの教育係も担っていました。
年は22歳。ハルトマンの退職(?)の際、スパーダの為に残ろうとしましたがスパーダの兄貴から、妾になれと言われ泣く泣くスパーダを残してともにナーオスに移住。そこでアンジュの護衛という職に就いていました。変態に好かれるタイプで、ハスタとオズバルドにも気に入られ会う度にリカルドの背中に隠れたりします。
とそこまで考えて、放置です。
リカルド落ち?
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