もう少し穏やかに
「チッ屑が!」
突然そう叫ぶとアッシュは苛立ちを隠せぬように舌打ちをした。
たまたま通り掛かったアディシェスは呆れたようにその朱い髪を見た。
「なーにやってんの?」
「あ? ……アディシェスか」
悪態づくアッシュの隣にアディシェスは書類を置いてその顔を覗き込む。
「また交信?」
「あの屑が、俺の話なんか聞いちゃいねぇ」
これだから屑は……。そう悪態づくアッシュを見てアディシェスは座ったことを少し後悔した。
アホだ。こっちにもアホがいる。
「……アッシュさ」
「なんだ」
「例えばよ。ディストなんぞに『そこに行くなと行っているでしょうがっ! これだから単細胞は』」
「誰がっ!!」
妙に似ている口真似をしたアディシェスにアッシュは怒鳴りかける、が後の報復が恐い為にぐっと堪える。目の前にはさわやかな笑みが。
「絶対言うこと聞かないでしょ?」
「……」
沈黙は肯定と見なすことにしてアディシェスは人指し指をたててアッシュを見据えた。
「アッシュを意味わかんないものとしてみてるあの子があんたのそんな言い方の助言素直に聞くと思うの?」
「……だが、アイツはヴァンの言うことは聞くぞ」
「アレは人心掌握があんたなんかよりも何億倍も長けてるの。アッシュはまず出だしから失敗ね」
眉間にシワをよせて考え始めたアッシュを見てアディシェスは立ち上がり書類を手に取った。タルタロス内は以外と雑務が残っている。
マルクト軍の書類を整理し、掌握し抹消する。中間管理職は面倒だ。
「待て」
声と共に背中の襟を掴まれた。振り返るとアッシュが罰がわるそうな顔をしてそっぽを向いていた。
「……どうすればいい」
「……何を?」
アディシェスの顔は楽しそうに笑っていた。何よりも目が踊っている。
「あの屑を、止める方法だ!!」
「……1.力づく。2.チャネリング操作。3.甘い言葉で誘惑」
適当に言葉を羅列すると、アディシェスは踵を返した。
(アッシュの甘い言葉の誘惑なんて面白いだろうな~)
半分遊びつつなされた助言にもならない助言を彼が実行したかは定かではない。
**オマケ
「で、アッシュはどうやったの?」
「誰が言うかっ!!」
顔を赤く染める態度から察するに全てを実行したようだった。
**
アッシュがもうちょっとルークをうまく操れてたら……。ゲームはアレ以上進行しないですよね。
ルークに甘い(優しい)言葉を囁くアッシュを想像するととても面白いことに
[1回]
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