高く高く、空高く。天まで届け。
校舎の壁にもたれかかりながら、髪が風と戯れるのを押さえる手も出さずに、ただただ手を天へと伸ばす。
「・・・には届かない」
そう、決して。
ずるずると重心の位置がずれて、壁から離れ、地面に寝そべる。
片手を枕にして、そっと天を仰ぐ。
ゆったりと流れる雲。降り注ぐ太陽の光。優しく頬を撫でる風。
あまりの眩しさに目を閉じると目前は闇に染まる。黒のベルベットの幕はそれら眩しいものから容易く自分を隠す。
誰も居ない授業中の屋上。立ち入り禁止の聖域。
今、このとき。この場所は自分のもの。
なんとなしに、小さな優越感に浸っていると頬に暖かなもの。
目の前は幕で見えない。
「こんなところでサボってるな」
「・・・・・・(なんで・・・)」
「エミリア?」
何も、こんなときに現れなくても・・・。
そんな理不尽な言いようのない気持ちが胸に込み上げるが、なんとかして飲み込む。
何を言おうか、言い訳が次々に浮かんでは消えるが何も妙案はない。
「・・・・・・いいでしょ、たまにはサボっても・・・」
ようやく出た言葉は喉にひっかかり、少しかすれた。
まだ、幕引きの時間ではない。
「・・・それより、我等が生徒会長様までサボっていいの?」
隣に座り込む気配と衣擦れの音。彼は壁にもたれているらしい。
気だるそうに襟元を緩めているだろう。見なくても分かる。
そんな思考に自嘲し、閉じている目許に手を載せる。
闇が深まる。
「たまには、俺だってサボるさ」
「・・・たまには、じゃないでしょ」
「お、ばれたか。そっちこそどうしたんだ」
「・・・・・・別に」
遠くで体育の授業の騒ぎが聞こえる。ああ、あれは自分たちのクラスだ、と遠い心で思う。
「お前がサボるとは珍しいこともあるもんだな」
「・・・ピオには関係ないでしょ」
つっけんどんな自分の物言いになきたくなる。そんな時、幕は勝手に取り払われた。
「ちょっ」
目前に広がる、青い青い二つの宝石。眩しいほどの金色の光。
「『話すときは目を見て話せ』じゃないのか、エミリア」
「・・・(人のセリフとらないでよ)」
嫌々体を起こし、隣の壁へともたれかかる。たくましい腕を肩に回されて、頭を彼の肩へと預ける。
鼻腔に彼の香りが広がった。それだけで、何故か泣きたい気持ちになった。
「俺には話せないのか・・・(アイツには自分から話すくせに)」
「・・・・・・」
「まあ、いいさ」
肩に回していた手をそのまま髪へと伸ばし、何が楽しいのか指に絡めて遊ぶ。
これが、たとえ仮初の時だとしても、私はこれで救われるのだ。
・・・また、頑張ることができる。
***
何が突然どうしたのか。ただ、書きたかっただけです。ネクタイ緩めるピオニー陛下が(そっちか)
仕様としては
エミリア→ピオニー→ネフリー
と思わせていて実は
エミリア→(←)ピオニー←ネフリー
という関係(らしい)
学パロはアゲハ蝶か教団主、傍系主が一番書きやすいと思われます・・・!
こんなの学パロでもなんでもないけどね!
それよりも、アビスやらなさすぎてピオニーの口調が分からなくなりました(最悪だ)
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