夕日が光る金色の髪が振り返ったのを見てルニアは口元に笑みをはいた。
見慣れた夕暮れもグランコクマとバチカルでは全く違う。陽の光も、当たり方も、周りの景色も。
こちらで過ごしてどれくらいになるのだろうか。
まだ馴染めることができたと言えるほど馴染んではいないが、けれどもこの景色をいとおしいと思えるようになってきたのも事実だ。
それはやはり、愛おしいと思えるようになる存在がいるからかもしれない。
「ねえ、ガイ」
「ん?」
青い綺麗に澄んでいる青い湖面がルニアをのぞき込む。青い中に朱色の髪が浮かび上がるのがうれしくて顔がほころぶ。
「私、グランコクマが好きよ」
「バチカルの次に。だろ?」
言うことぐらい分かるさとでも言うようにガイはいたずらに笑うが、ルニアはしかし穏やかに微笑んだ。
その微笑みを見る度にガイははっと息をのむ。
彼女は遠縁だろうと、キムラスカ王族に連なるものなのだと。ナタリアが国を慈しむ際に浮かべる微笑とよく似ている。
「いいえ。バチカルと同じくらいに、ね。私が言うべき立場ではないと分かっているけど」
「そんなことはないさ」
肩を並べて、二人して夕陽を眺める。
ガイの手がルニアの肩を抱こうと持ち上がるが、数分宙をさまよった後体の横に下ろされる。
ルニアは笑いながらガイの手を取り、優しく握った。
燃え上がる夕陽を背に屋敷へと向かう。
グランコクマの白い石畳は茜色に色づき、二人の足下には黒い人影がついてくる。
人影の二人は仲睦まじく手を繋いでいる。
「…いつ、戻るんだい?」
「うーん……明後日、かな?」
「明後日?! 聞いてないぞ?!」
心底驚いているガイに思わず吹き出すとルニアは繋いでいない手を振った。
「言ってないもの」
「……その動作は否定するときに使うものだろ」
「細かいことは気にしない」
はぐらかすとガイは深くため息をついた。
「陛下に最終報告、かな」
「…ナタリアにはしなくてもいいのかい?」
「うーん…置き手紙かな」
「その心は」
「バチカルを出られなくなりそう」
易々と想像できるのかガイは黙り込み、視線を明後日へと向けた。
不意に握っている手が強く握られ視線をルニアに戻す。
「さっきの、冗談だからね?」
「どれのことだい」
「…明後日帰るっていうやつ」
じゃあいつだというのかと尋ねようとすると彼女は唇に人差し指を当てていたずらっぽく笑った。
(素直ないかさま)
傍系主は何気にお気に入りですがルニアの口調がうまく統一できません。ガイとのED後の関係がどうなるかは決まってますし、ED後がきちんと決まっているのはルニアとエミリアぐらいですね。
いかさまって何ですかー
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