緑に覆われた美しい惑星(ホシ)地球。
エルフの遙か昔の先祖はそう言ったらしい。
青々と緑が生い茂り、生き物すべてを祝福する蒼き宝石の源。
惑星を見れば美しい宝石だといっても誰もが頷いたという。
だが、数年の月日を経てこの惑星は死滅しようとしていた。
人間は知識を得たことにより、驕りを覚えた。エルフは現状から目を背け、すべてもの現況を人間だと断言し背を向けた。
そして、彼らは何も生み出さないすべてを破壊尽くす術を覚えてしまった。
「あらかたまとめるとこんな感じかな?」
「…まあ、そんなものだろうな。貴様がまとめたにしては、な」
「ユアンがまとめるよりもずっと分かりやすかったよアトラス姉様」
バカにしたような笑いをユアンに向けた後天使のようなほほえみを浮かべたミトスは同意を求めるように姉を見る。
「そうね。簡潔にまとめてあるわよね」
「…お前が如何に今の状態に対して怒りを覚えているかがよく伝わるな」
呆れも混ざっているクラトスの言葉にアトラスは軽く肩をすくめた。その動作は《わざとに決まってるでしょ》とでも言いたげだ。
そのまま静かに眸を閉じるとアトラスは見えないはずの世界中を脳裏に映した。
かつては美しかったという惑星。今は大国同士の呆れるような大規模な戦争で衰弱していく。
人間だけではない、罪もないハーフエルフや動物たちを巻き込んでの醜い争い。
「…早く、はやく止めなきゃ」
「……ああ、そうだね」
「………何にもおびえないでみんなで姉様特性のおいしいカレーを食べられるようになるといいね」
優しく微笑む若き勇者の双眸は美しい希望を夢見て輝いていた。
そして仲間もまた、美しい未来を夢見ていた。
(美しき空想)
今更ですが括弧くくりの言葉は不思議な言葉でいくつかのお題です。
いまいち文章力が戻ってきません。
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