何気なく100のお題
096 強がり(傍系主・ガイ)
呆れのため息一つと共にガイは手を伸ばした。
けれど嫌そうにルニアはその震えている手を避けた。
案の定ガイは眉を吊り上げた。
「強がってる場合か」
「大丈夫よ。ガイにそこまで手を貸してもらわなくても。そもそもあなた、手を伸ばしてくれてもそれより先が無理だもの。だったら強がるよりも、ジェイドとティアを呼んで来てくれた方がいいわ」
正論。けれどガイにとってはこれ以上ない程突き付けられたくない現実だった。
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097 けじめ(アゲハ蝶・ピオニー)
わかりきっていた反応ではあるが、実際に取られると腹が立つことこの上ない。
「エミリア」
「ピオ、わかるでしょう?」
「『所詮は平民と皇族。身分が違い過ぎる』か耳にタコだな」
「わかってるなら、」
尚も言いすがるエミリアの腕を荒々しく引き寄せるとピオニーは背中に腕を回し、耳元で苛々を隠さずに呟いた。
「……お望みなら、変えてやるさ」
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098 手と手合わせて(彩雲国・黄鳳珠)
「……有紀」
どうしてここにいる。そう込めた言葉に見つかった有紀は決まり悪そうに笑った。
「少し、桜に気を取られて歩いていたらこんなところまで」
どう歩いたら誰にも見咎められずに後宮から外朝の戸部まで来られるのだろうか。
疑問に思いつつも鳳珠は尚書室の窓から飛び降りた。
「鳳珠様、身軽ですね」
感心したように拍手している有紀に苦笑をこぼしながら右手を差し出した。
「送っていこう」
手を合わせると梅がほっこりと咲き誇るように笑顔を浮かべた。
「はい」
数刻後、運悪く(?)二人が手を繋いで歩いている姿をただ一人だけ目撃した劉輝は黙っているべきなのか、尋ねてもいいのか数日ほど悶々と悩んでいた。
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099 報い(軍人主・ヴァン)
血が流れ出るのを抑えながらラシュディは眼光鋭く相手を睨みつけた。
「これしきでは、私はあなたには屈しません!」
「貴女は本当に兄君によく似ていらっしゃる」
目を細め、何かを思い出すような表情を浮かべる。
「……いつか必ずあなたの行いは全てあなたに返ります」
「フッ。セリフまで同じとはね。本当に貴女方一族は興味深い」
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100 再会(傍系主・ガイ)
「それにしても、今まで何やってたんだ?」
髪を再び伸ばし始めたらしいが、記憶よりも短い紅い髪を見てガイは目を細めた。
振り返ったルニアの双眸は、なにがあったのか片方の色は薄くなっていた。
「……ひみつ」
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コンプリート!!結構無茶苦茶になりましたがとりあえず終了!
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