何気なく100のお題
086 冷えた空気(アゲハ蝶・ジェイド)
「酷いわ、ジェイド」
「………」
「ひどい……わたしはおいていかれるんだ」
返事を返さないジェイドの息が白く染まった。
その瞳は伏せられていて、色が見えない。
「…エミリア」
「なによ」
「……僕は」
そう言ってジェイドは背を向けた。呟かれたその先の言葉は、宙に零れて溶けてきえた。
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087 幻(彩雲国・龍蓮)
カウントダウンと、ロケット発射。
小さい頃ビデオで見たアニメ映画の曲を横笛で吹いてみた。
吹き終えると、ぴょこりと視界の端で羽が揺れた。
「賑やかな話だな」
「うん。あるお話の主題なの」
目の前に浮かぶように見ることのできる、青いユニフォームと秘密基地。
極めつけは精密なロケット。
見れなくなると途端に鮮明に脳裏に読み返るのは何故。
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088 跡形もなく(傍系主・アッシュ)
「……なにもないのか」
「土地だけならね」
アッシュは幼い頃を思い起こしてみた。
物心つく前から共に過ごした又従姉妹。彼女の屋敷は……。
あまり良い思い出はない。
「全部燃えちゃったからね」
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089 死にもの狂い(教団主・シンク)
「ふざけんじゃないわよ! なんでこんな目に!」
「恨むんならヴァンにしてよね。僕は関係ないよ」
「あるに決まってるでしょ?! くっそ……さっさと構えてくださいよ、隊長っ!」
「僕に命令する前に術の一つや二つ」
「――タイダルウェイブ!!」
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090 崩壊寸前(傍系主・アッシュ)
「オレはもうルークじゃねぇ! オレは」
吐き捨てるように呟かれた言葉にルニアは頭を抱えた。
『ルーク』という名前に彼は苦しんでいる。
同時に『アッシュ』という名前にも縛られているのではないか。
「あっおいルーニャ!」
止めるようなガイの声に耳を貸すことなくルニアはアッシュに近づいた。
「ルニア姉上……」
そのルニアの行動に驚いたアッシュが漏らした名前は幼い頃のアッシュのルニアの呼び方だった。
「アッシュが誰であろうと、幼い頃に一緒に遊んだ記憶は嘘じゃないよ」
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アビス祭?
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