デフォルト名:テリアーヌス卿セレスティア(愛称:セレス)
第二十七代、当代魔王陛下は今混乱の渦の中にあった。
渋谷有利原宿不利……ではなく渋谷有利は、目の前の光景から目が離せなかった。
心の声を代弁するならば『え、これってドッキリ?! ドッキリだよね! じゃなかったらあれって何?!!』
である。ちなみに彼はトレードマークになってしまった眞魔国仕様の学ランを来たまま、垣根に体を一生懸命隠し、とあるところを凝視していた。
はたからみれば不振人物極まりないが、有利を見つけた城の者達は皆が皆『陛下がまた何か新しいことをしていらっしゃる』と微笑ましい視線を投げかけて、見て見ぬ振りをしてくれている。ちなみに有利本人は全く気づいていない。
「ドッキリじゃないとしたら、あれか。家政婦は見た! みたいな?」
「それなら『有利陛下はみた!』ですね。陛下は家政婦ではないですから」
「あ、確かに。そうですよねーってコンラッド?!」
突然増えた声に驚き尻餅をつく。
声の主は「おや」といわんばかりに目をぱちくりとさせて有利を見ていた。
「どうかなさいましたか?」
「いや、その。何でいんの?」
「陛下が面白そうなことをしていらっしゃると聞いたので」
その一言で自分が何人にも目撃されていたことを悟った。そして苦し紛れにいつもの一言。
「……陛下って呼ぶな名付け親」
「すみません、ユーリ。何をしているんで?」
何か悔しさを感じながら有利は、しゃがみ込みながらコンラートを手招きした。
言われるがままに有利と同じ姿勢になると、指された方向を見る。
そこにあるものを見つけてコンラートは驚きに目を見張った。
「グウェンと女の人が一緒にいるんだけどさ、コンラッド知ってる人?」
「ええ、よく知ってますよ。…珍しいな、彼女が城に来るなんて」
「誰々? グウェンと仲良いんだよね?」
銀色の髪を高い位置で結い垂らしている。グウェンダルとの身長差は相当なものだろう。
生憎と有利の位置からはグウェンダルの表情は見えないが一緒にいる女性の表情から察するに和やかな空気ではあるのだろう。
「そうですね……。セレスティア・テリアーヌス。セレス、と俺たちは呼ぶのですが…。後何年かしたら義姉と呼ぶ人ですね」
「へー。……え?」
「さあ、覗いているとばれたら怒られますよ」
「え、ちょっ。ちょっと?! コンラッド!?」
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
出歯亀隊です。
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