デフォルト名:?
研ぎ澄まされた澄んだ瞳の奥は全く見えなくて、けれど総てを見透かされているようで胸の奥が燻った。
鋭い刃を喉元に突きつけられている感覚に、喉が、緊張したように唾を飲み込んだ。
能面のように何も浮かんでいなかった、その白く、美しく、鋭い顔が、にやりと笑うと同時に視線が外され、無意識に息をつく。
「主(ぬし)の神子は肝が据わっておるの」
「私の神子はとても美しくて、強いよ?」
「そのようなことを言っているわけではないないのがな。今の主はふぬけておるの」
「ごめんなさい……」
しょぼんと肩を落とす白龍は悲しげに目を閉じた。何とか大きくなった体ででも、全身で感情を表すところは小さいからだの時と全く変わらない。
白龍を見上げている、小さな身体の主は呆れたように腰に手をやると深く息を吐いた。
「主も変わったの」
「そうかな」
「見目は遙か昔から変わっておらぬがな。だが、性(さが)は年を経るごとに和らいでおる。……神とて、時の流れには抗えぬ。か」
どこか寂しげに笑った、その子は何故か、白龍の姿と被る。
「貴女も、変わらず今も美しいよ」
「……減らず口も変わらぬ様だの」
今更ながら、この子は誰なのだろうか。
小さい体の時の白龍と同じぐらいの背丈。漆黒の髪は引きずりそうな程長いが、真っ直ぐと同じ方向を向いている。小さな顔は作りもののように綺麗で、瞳ははめ込まれた琥珀のように透き通る色をしている。
身に纏うものは、やはり白龍の用に中国の雰囲気漂うものだ。
声の高さから考えるに女の子だろう。
「妾(わらわ)が気になるかえ?」
「……はい」
「素直なことはよきことよ。……だが、妾には主に名乗る名がない」
「え?」
「神子。名は力を持つ。彼女は、名を呼ばれない」
言っている意味がよくわからない。考えていることがわかったのか彼女は、楽しそうに笑った。
「何、白き神子には好きに妾を呼ぶことを許す。好きに呼べばよい」
「え?」
「ずるい。神子だけずるい」
駄々をこねるように拗ねた白龍に(白龍もすねることがあるのか)彼女は呆れたような視線を送る。
「主は妾を好きに呼ぶではないか。今更何をいうておる」
言われて気がついたように白龍は、笑顔になって彼女を見つめる。いつも見せる優しいものとは違う、恋しいものを見るような目で。
「うん」
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
名前を付けるのが面倒で、設定の裏取りをするのも面倒でかなり乱暴です。
白龍×とかはあまりないですよねー。でも神様同士ならいいかなぁと思ってしまいました。
でも楽しかったです。
本当は昔思いついた、白龍に一目惚れした精霊の話にしようかと思いました。
[0回]
PR