目を開けば、夢から醒めて現実が顔を覗かせる。
微睡み、心地よい夢に浸るのも好きだが、やはり現実を歩く方が楽しい。
「今日はご機嫌なようだな、ん?」
「ええ、やっぱり分かるかしら?」
いつもの時間にいつものように抜け出してきた(抜け出させてもらった)皇帝が当たり前のように店の一角を陣取る。
いつか出歩いているときに襲われるのではないかと心配になるが、まあこの男もただでは倒れないだろう。
「当たり前だ。お前のことで分からんことなどないからな」
「あら、本当にそうかしら?」
挑戦的に笑むと、若干たじろぐもののやはり彼は悠々と微笑む。太陽の様に大らかに。
「ああ。ジェイドに負けない自信はあるな」
「いい加減ジェイドに刃向かうのはやめたら?」
「あいつにだけは負けられん」
相変わらず不思議な繋がりの幼なじみ二人を思いエミリアは呆れたように空を見た。先日、行方知れずだった一人が捕虜としてグランコクマにやってきた。
昔より奇抜になっていたものの、面影を残す姿に安堵した。
「で? 愛しの我が君はなにでご機嫌なんだ?」
「もう。……懐かしい夢を見たのよ」
聖夜の贈り物交換。想いに泣いた日。雪だらけになって遊んだ日々。
ケテルブルクを去った日。ジェイドたちの変わりように泣きたくなった日々。
幼なじみが正気になったとき。彼が、帝位を継いだとき。
想いを告げられた日。
走馬灯のように懐かしい記憶を断片的に夢に見た。
「来年……来年だ」
「……本当に、私でいいの?」
「俺は、お前でないと嫌だ」
穏やかに微笑み会う日が一番素敵だから。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
何が書きたかったのかよく分かりませんでしたね……。まあ、ようやく落ち着きますよということです。
まあ、根回しを頑張ったんですよ。この辺もきちんと書いてみたいな。
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