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小ネタ日記

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傍系主 君と俺と 私と貴方と

 決めた。もう、揺るがない。

 言って貰えなくても、自分で告げて。駄目だったら……。また流浪の日々に戻ってもいいだろうか。




 ルニアに呼び出された。

 オールドランドは消滅を免れ、エルドランドは消滅し。……ルークもまた姿を消した。


 そんな日々から二年。
 俺は、マルクトで公爵として忙しい日々を送っていた。
 ルニア・ディ・ジュライル・キムラスカ・ランバルディア。本名はとてつもなく長く、王家の傍流に名を連ねる彼女とは、あの時から交際を続けていた。

 長年の想いを口にしたとき彼女は静かに涙を流し微笑んだ。そのときの喜びは未だに胸から離れない。

 けれど彼女はキムラスカの王室の娘。やはり拠点はキムラスカ。手軽に会えるわけではなく、月に数度会えればいいほうだ。
 寂しくないと言えば嘘だ。しかし、俺も彼女もやるべきことがあり、わがままは言えなかった。




 呼び出された時間より早く向かったがそこには既に彼女がいた。
 あの旅の時からかなり伸びた髪を風に遊ばせながら、名前も知らない白い花を指に絡めていた。
 向こうを見ているせいで顔は見えないが、おそらく静かに微笑んでいるのだろう。


「ルニア」

 声をかけると彼女はゆっくりと立ち上がり、そして振り返る。荒い風が後ろから吹き付け、ルニアの髪を後ろへと流す。
 白い花弁が何枚か浚われた。

「遅くなってすまない」
「まだ時間じゃないから遅刻じゃないわよ」

 揶揄するように目を細めるとその手に抱いていた白い花を風に流した。
 悪戯な光を灯らせていた瞳を瞼で覆い隠すと深く息を吸い込む彼女。
 何か重大なことを告げられるのかと思わず肩に力が入る。

「ねえ、ガイ」
「なんだい?」

 見つめられた色違いの双眸は、真剣な色を宿していて脳裏に不吉な言葉がよぎる。からからに渇いた喉から掠れた声が零れた。
 俺の緊張に気づいた彼女が、少し笑う。

「やだ、そんな深刻な話じゃないよ」
「そ、そうなのかい?」
「うん。あのね」

 真剣な色を一転して、ふわりと綺麗に微笑んだルニアに思わず見惚れる。
 二歩と離れた距離がなければ、手が届くのにと場違いなことを想ったとき、告げられた言葉に思考が追いつかなかった。


「…聞こえた?」
「あ、っああ。えっと…」
「返事は?」
「えっ?! ちょっ、ちょっと待ってくれ!」

 詰め寄らんばかりに見つめられ、思考が軽く許容量越えを起こし、混乱をきたす。
 だんだんと表情が変わるルニアに余計な焦りが募る。

「そんなに混乱されるとは想わなかったわ」
「いやっちが! 違うんだ!」

 情けないことに、口をついて出る言葉は、自分が言いたい言葉ではなくて自分で自分が情けなくなる。

「…まあ、いいわ。2日後にはまた戻るから…。その時までに、返事を聞かせてちょうだい?」

 呆れたように笑い、ルニアが一歩足を踏み出す。その細められた瞳に、寂しげな色を見つけた瞬間。体が凍り付いた。

 君にそんな顔をさせたいわけじゃない。


 おそらく、これは最初で最後の機会なのだろう。彼女はそもそも俺とは身分がつりあわなくて、分不相応だと前々から理解している。

 一度は、離れてしまったが再会できた。
 けれど、これを逃したらもう二度とあの手には触れられない。

 そこまで思考が至ったとき、ルニアは既に俺の横を通り抜け完全に背中を向けていた。

 気づけば体が勝手に動いていた。

 追いついた勢いのまま、背中から腕を回し、細い体を力一杯抱きしめて、叫んでいた。


「結婚してくれ!!」



 思いの外大きな声はあたりに響きわたり、後から想えば恥ずかしいが、その時は必死だったのだ。
 おそらくその時を逃せば二度と彼女に触れることができないという直感は間違っていなかったし、それ以上に。
 彼女にあんな顔をさせていたくなかった。

「好きだっ!! 分不相応だと分かってはいる。でも、俺も君と一緒に生きていきたい。…俺と結婚してくれないか」
「っ……」

 腕の中でじたばたともがくルニアを、力一杯抱きしめて離さないという意思表示をすると諦めたように腕を叩かれた。地味に痛い。なんとなく彼女の意図が分かり、くるりと腕の中で反転させると肩口に顔を埋められた。

「…なら早く答えてよ。バカ」
「悪かったって……。俺も驚いたんだって。で、姫君。ご返答をいただけるでしょうか?」

 おどけるように告げると、額を指で弾かれた。やはり地味に痛い。

 耳元に寄せられた唇から告げられた言葉に、今度は正面から抱き締めると、背中に回された腕も答えるように力が込められた。




**

不完全燃焼です。
『ルーク』が復活するちょっと前みたいな感じです。


きっとこの二人は、くっついたとしてもナタリアとかジェイドとかに邪魔されながら歩いていくんだろうなぁと。

わかりにくいですが、ガイ視点です。(初めて書いた)
ルニアからプロポーズ→別れ話かもと想ってたガイ様てんぱる→ルニアが去ると直感理解→直感のままプロポーズです。

へたれもここまでくると…ってかんじですが。

ふつうは
「ガイ、あのね。私と…」
「待ってくれ。俺から言わせてくれないか…」
になるはずだったんですけど。
まあ、この二人なので。こんな感じですね。

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