いくつか浮いた白いふわふわとした雲。
一生懸命に手を伸ばす弟を微笑ましく思いながら麻都は広げたレジャーシートの上でお昼の支度を始める。
「あにうえ――! あちらはなんでござるか!」
「あれは、大きな滑り台みたいなもんだよ。乗りたい?」
「それがし、ひとりでもよい!」
大きな目を力強く輝かせた幸村から、立て看板の注意書きに目を走らせた佐助はにやりと笑うと弟の脇下に手を入れて持ち上げると、肩に乗せて滑り台へと向かう。
「ざーんねんでした!大人と一緒に遊ばないと駄目だってさ」
「む……」
兄の髪を無造作に掴むと、幸村は暫し考えて、後ろを振り返って麻都に手を振った。
「それがしあねうえがよいでござる!!」
大きな岩が頭上に落ちてきたように、佐助はショックを受けた顔をした。がそのまま歩き続け、滑り台の頂上まで登ると自分の足の上に幸村を下ろした。
「麻ちゃんはお昼の準備してくれてるんだからダーメ」
「……む」
「それに幸は麻ちゃんには重いの」
不満そうに膨らむ頬をつつくと佐助は滑り台を滑り降りた。
佐助に対して機嫌を悪くしていた幸村だが、風を切る楽しさに不満を忘れたのか、続けて5回もねだり、流石の兄もつき合いきれず、「そろそろお昼だよね!!麻ちゃんとこ戻ろうか!!」と誤魔化すように、滑り台攻めから逃れた。
「流石の俺様も滑り台連続は疲れるわ」
「お疲れさま。でも兄さんも楽しそうだったけど」
「んーまあ楽しいかっていや楽しかったけどねぇ。それにしても限度ってもんがあるでしょう」
「まあそうだけど」
お茶の注がれたコップを手渡すと、蝶を追いかけている弟を見た。
桜が見頃だから、ピクニックがてら自然公園に行こう。
そう言い出した兄に幸村が楽しそうに「行きたい!!」と同意し、「じゃあお弁当作ろうか」と麻都も乗り気になった昨日の夜。
到着してからはしゃぎ通しの幸村はお昼を食べた後も全力で遊んでいる。
そろそろ遊び疲れるかと思っても、止まることなく遊び続ける底なしの体力には兄姉揃って感嘆の声しか零れない。
「元気だねぇ、ゆっきー」
「帰りは爆睡だねぇ」
「久しぶりに三人揃って嬉しいのかな?」
頷いて、芝生に勢いよく寝ころぶと佐助は空を仰いだ。思い切り伸びをすると、なんだか解放された気分になる。
「さーて、休憩したら3人で遊ぼうか」
「そうだね。明日筋肉痛になっても気にしない!!」
「そうそう。……って麻ちゃんは筋肉痛にはならないでしょう?」
「うん」
「え、ってことは兄さんのこと言ってる?え、俺様明日筋肉痛?!もう年ってこと?」
がばりと身体を起こして、若干必死な形相な佐助から一歩離れると、麻都は「ゆっきー、ジャングルジム行こう!!」と声を上げて走り出した。
「え、ちょっ、麻ちゃん?!」
***
久しぶりすぎて書き方があれですが……真田さん家はネタがぽんぽん出てきます。
ハイジを見ていて、「真田さん家のゆっきーとハイジの年って同じだな」と思いました。
さあ、明日はバトルヒーローズが届く日!!!
[0回]
PR