歌い継がれた、言い伝え。音に言の葉を乗せて紡ぎ、奏じる。
レプリカで蘇ったホド島。
その地の奥深くには白い墓石が立っていた。
周りを囲むように白い花が咲き誇り、来た者の心を慰めるようだった。
「彼方に消えた彼女に、永久(とこしえ)の休息を」
不意に口をついてでた音と言葉に、皆がラシュディを見たが本人が一番驚いていた。
「ラシュディ、今のは…?」
「私の家で歌われてきた子守歌です。歌詞が不思議なのですが昔から歌い継がれてきたようで……。この時を待っていたのかもしれません」
我が友よ。どうか心安くあれ。
儚き旋律に身を委ね、どうか安らかに。
「貴女のせいではないから気に悩まないでほしい。望むなら私が貴女の代わりに成し遂げよう――そんな感じの歌ですね」
「……ラシュディの始祖とユリアは親しかったと聞いたわ。もしかして」
「もしかしなくともそうなのかもしれません。私の一族が影ながら願ってきた想いを込めたこの子守歌。ティアに聞いてもらうことによって終結を迎えるのかもしれませんね」
驚きに見開くアイスブルーの瞳をのぞいてラシュディはにこりと笑った。
途方もない彼らの願いが旅の終止符を打とうとしている今この時に、終わりを迎えることができる。
「――長い、永い道のりでした。先の見えない闇だと思っていましたが、きちんと終着地は用意されていたんですね」
青い空を見上げてラシュディは深く息を吐いた。
(不思議な言葉でいくつかのお題)
ようやく私の頭の中でラシュディが何を追っていたのか、何を約束したのか、何を成さねばならないのかつながりそうです。脆い繋がりなので簡単に切れてしまいそうですけど。
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