デフォルト名なし
「精鋭分隊だ! 道を開けてくれ!」
厭な気が漂っていた路地の先から朗々と響く声。ふと足を止めて気付けばそちらへと進んでいた。
「はあぁっ!!」
一閃。煌めく白刃に気配は断ち消え、霧散していった。
流石精鋭分隊隊長殿だ。ざわめく民衆の声に既に淡々と部下に指示を出す彼に視線をやると、淡々とした顔ではあるが少し翳りがあるように見えるのは気のせいだろうか。けれど、常ならばきびきびと動くその手足に漲る活力がみえず、少し鈍っているようである。
もしや。思わず己の襟元を握ると懐に入れてある匂袋を思い出す。しかし、直接渡した処で受け取っては貰えぬだろう。
ふと、目の前を緑の外套を羽織った青年が通り過ぎる。
「あのっ」
気づけば反射的に呼び止めていた。青年ーー、精鋭分隊副隊長の片霧秋兵は立ち止まると柔和な笑みを浮かべて振り返る。
「はい、どうかされましたか?」
「あの、隊長さんにこれをお渡し下さい」
思わず匂袋を差し出す。困惑している気配は感じるのに微塵も表情には出さない彼に感心しながら言葉を続ける。
「懐にしまっていただく必要はありません。一時握っていただければ後は必ず燃やして下さい」
「燃やしてしまうのですか?」
「必ず。お願い致します」
深く頭を下げると踵を返した。
「どうした、秋兵」
「ああ、有馬。君にと頼まれまして」
狭い路地の先を見つめたいた秋兵はどこか楽し気で、けれど彼の言葉に不審な点を抱いた有馬は眉根を寄せる。有馬の知る片霧秋兵は、不用意に他人への贈り物は受け取らない筈であった。そんな彼から渡されたものを反射的に受け取る
掌にあるのは淡紅の匂袋。恐らく女性のものなのだろう。手にした瞬間から、ここ何日もの間抱えていた違和感が溶け込むように消えていく。思わず匂袋を握り締めれば溶け込むのが速まっていくようで。
「有馬? どうかしましたか?」
「いや、これを俺にと?」
匂袋は何故か、薄ぼけてみえた。
「ええ。可憐な乙女でした。あと、一握りした後は必ず燃やして欲しいと」
「何だと?」
手にしているものは匂袋だと分かっているのに何故かそのように視ることが敵わない他のものになっていた。
「ええ、必ず燃やして欲しいと。勿体ないですね」
美しい刺繍も入っていますし、と目を細める秋兵の目には視えないのだろうか。
強く握り締めると有馬は細い路地の先を見た。
「秋兵これを渡してきた相手の顔は覚えているな」
「ええ、勿論。見かけたら声かけを?」
頷く有馬を可笑しそうに見ると秋兵は固く頷く。拝命しました。からかう彼の声を背に有馬は部下に火元を持っているものがいないか探しに向かった。
ツイッターの鍵付きの夢専用アカウントで思い付きでポチポチうった散文をほんの少し手直し。
帝都の子でそこそこいい家?の娘さん。
家は代々軍に対して否定的な一家で、母親譲りの霊力が高い。
なんとなくの想像や行動で怨霊に効果抜群の御守りが出来たり結界擬きが張れたり。
軍は嫌いだけど、精鋭分隊にはちょっと好意的。
みたいな感じですが、デフォルト名も何も珍しく決まっていません。
~~子で辞典引いて決めたいものです。
何かオススメの名前があればぜひ。候補に⬅手抜き
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