軍師主人公デフォルト名:レフィル・サンディア
槍使い主人公:キリエ・ウェスティン
パチパチと薪がはぜる音がする。
見渡しても月のない闇夜で、星光とたき火の灯りのみでしか辺りを見ることはかなわない。
目が冴えていたレフィルは隣で眠る灰色の髪を指で掬った。
あの日、互いに誓った願いを彼女は叶えたのだろうか。
長くはない灰色の髪はすぐに指をすり抜けて持ち主へと返りゆく。
己の面白味のない栗色の髪は大分長くなっている。
「……」
彼女の名前を呼ぼうとして失敗したレフィルは苦笑を浮かべるとゆっくりと立ち上がった。
「レフィル殿、眠られないのですか?」
「ケント殿……ええ。気が高ぶってな」
火の番をしていたリンの騎士であるケントが柔らかい笑みを浮かべて、レフィルが腰掛けられるようにと岩の上に分厚い布を取り出してそっと敷いた。
共に旅をしていると気づくがこのケントといい、セインといいキアラン騎士はフェミニストが多いようだった。
そういう扱いになれていないレフィルも幼なじみの騎士となった彼女も未だに戸惑っている。
「ここまで順調だったからね。逆にイヤな予感がするんだ」
「……といいますと?」
「わからない。でもこういうのは彼女の方が当たるからね。私のは当たる確率は六割だ」
軍師の彼女が六割でそれを上回るという槍使いの彼女はいったいどれくらいの確率を持っているのだろうか。
そんなケントの疑問が手に取るようにわかるのかレフィルはくつくつと笑った。
パチリと薪がまたはぜた。空へと舞い上がる火の粉が不思議とレフィルを取り囲んだように見えた。
「私はキリエの勘の良さに全幅の信頼を置いてる」
彼女がイヤな予感がすると言えば、雨が降るか、はたまた腹を空かせた猛獣が出てくるか、敵兵に囲まれるか。一体何が起こるかはわからないが、確かに何かが起こるのだ。
「……なんといいますか、キリエ殿の勘の良さは共に戦うとよく分かります」
「そう言って貰えると助かる。あれは言葉で言い表すのは難しいんだ」
珍しく苦笑を浮かべるとケントもほほえみ返してきた。
「さあ、レフィル殿ももう寝られませんと」
「そうだな。私は一番体力がないから、そろそろ失礼させてもらうよ。ありがとう気が晴れた」
「お役に立てたのなら光栄です」
にこりと笑むケントに会釈をすると自分の寝床であるキリエの隣に潜り込む。
やはり自分はこの場所が一番心安らぐなと目を閉じながら思ったとき、微かな声が耳を打った。
「明日は特に何も起こらないと思うよ」
その一言で十分だ。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
歩兵または騎馬兵で槍のみ使うのっているんでしょうかね?
烈火にはいないようなので勝手にジョブ作っちゃったんですけど…。
キリエは野生的勘で今まで生き抜いてきました。雨が降るとつぶやけば多少なりとも降ります。
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