デフォルト名:立花眞里
吹きすさぶ風から痛さが取れると、雨が多くなった。それは春が運ばれてくる前兆である。
花が咲き綻び、順々に様々な花が彩りを楽しませてくれる。
一日を終えて、自主稽古をしていた眞里は呼び掛ける声に手を止めた。
「……暫しお待ち下さい」
「いや、出かける支度をしたら部屋まで来い」
眞里の返事を聞く前に去る背中を見送り、暫し考えに立ち尽くす。
しかし、考えても外出の用事なのだろうということしか思い当たらず、部屋に足を向けた。
何故、こうなったのだろうか。
眞里は疑問に思いながら促されるままに縁側に腰を下ろす。
目前には月の光を浴びて、風に揺らぐ桜の枝。
まるで、雪が舞い降りているようにはらはらと花弁が数枚風にさらわれていく。
「何だ、遠慮すんなよ? 土方さんの秘蔵の酒なんだ」
「……はい」
「ったく他の奴等も付き合い悪ぃな。……こんなにいい花見酒日和なのにな」
を飲み干すと、徳利に手を伸ばす。それを見た眞里は静かに徳利を持ち上げると、酌をする意を告げる。
目を瞬くも、すぐに穏やかな笑みを浮かべた原田は盃をぐっと差し出した。
「もうひとつあるんだ。お前も呑むだろ?」
「頂きます」
渡されるまま盃を受けとると、なみなみと酒を注がれる。香りを楽しむと、一口。
感心したように目を瞬く眞里に原田はにっと笑みを浮かべた。
「だろ?」
「土方殿は何故に……」
「まあ、たまには花見酒でもしてろってことだろ」
眞里は知らされていないが、永倉と斎藤、藤堂も土方から声をかけられていたが、何故か挙って用事があると断られた。原田が三人の行動にばつが悪そうな顔をしたのは眞里には秘密である。
「そういや、眞里は酒に酔ったことはないのか?」
「ありますよ」
事も無げに答えると、ちらりと酒を舐めながら、昔を思い出す。
酔うと手がつけられない、というほどでもないし記憶もある。だが、人様に迷惑をかけるのは分かりきっているために、江戸に来た時から酔うほど呑んではいない。
才蔵と佐助と幸村はこの場合人様に含まれないので、心置きなく迷惑をかけることは告げる必要はないだろう。
眞里の返答に原田はにっと口角を上げると、空になった眞里の盃に酒を注いだ。
「見てみたいもんだな」
「……辟易すると思いますよ」
***
ほ、ほのぼの……?
前々から、眞里が酔っぱらったらどうなるのかな、というのは考えてます。中々分かりません。
①才蔵に絡む。ゆえに、現在酔っぱらうと才蔵を探す
②御館様ー!! 叫ぶ。幸村と叫び合う。
③愚痴る。内容は才蔵と佐助のこと
④寝る
[4回]
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