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小ネタ日記

TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。 感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。

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007:十字架 まるマ

デフォルト名:テリアーヌス卿セレスティア(愛称セレス)




 魔族というのは、有利が思うに美的感覚が少し一般よりもずれている。魔族というか、この世界一般にも言えることでもあるが。
 有利が「美形だ」と思うものも、彼らにとっても「美形だ」というが、有利が自分自身を「周りに劣る」と当たり前のように言うと「貴方が一番美しい」というのだ。


「だから、『おかしい』ではなくて、『少しずれている』になるのかしら?」
「そうそう。だって、……そう!ギュンターとかさ、あいつちょっと壊れ気味だけど、めっちゃすごい美形でしょ? 眞魔国でも美形ランキング一位みたいだし」
「今は『眞魔国一変態な美形』って噂らしいですよ?」

 あまり知りたくなかった王佐の呼び名に有利の顔が崩れた。
 くすくすと笑う相手、テリアーヌス卿セレスティアの揺れる銀色の髪をぼうっと見つめる。

「でも、俺は女性ではセレスさんが一、二を争うと思うんだけどなぁ」
「あら、ありがとうございます。有利。でも私はランキング外ですから」

 楽しげに細まる紫色の瞳に苦笑う。
 彼女がランキングに出ると、注目がいってしまう。それを厭う、彼女の恋人や幼なじみや兄が妨害しているためにランキングに載らないということを彼女は知らない。

 セレスティアに対して過保護すぎる、ゴットファーザー愛のテーマが似合う恋人は本日赤い悪魔に連れ去られている。なので、有利がセレスティアとテラスでお茶をする権利を得ていたりする。

 空になった有利のカップにセレスティアが静かにお茶のお変わりを注ぐ。小さく例を告げると、彼女の指で小さく何かが光った。

「あれ、セレスさんって指輪してたっけ? ネックレスにしてるのは知ってるけど」

 小指にはめられているのは小さな指輪。
 セレスティアは、有利と出逢ったときから少し大きな指輪をネックレスにしていつも首から下げている。今も、彼女の胸元を飾るのはそれだ。
 小指の指輪をそっと指先で撫でて、セレスティアは優しく微笑みを浮かべる。

「グウェンに貰ったんです」
「……あれ? でも、それも…」
「はい。これは、交換しているだけなのできちんと嵌められるものをと。グウェンが選んだそうですよ。想像すると楽しくて」

 確かに、あのグウェンダルがどのような顔をして恋人に贈る小さな指輪を選んだのだろうかと想像するのは楽しいかもしれない。だが、有利にとっては全く想像がつかず、何か見てはいけないものを見た気分になりそうで、想像できない。
 それを分かって言っているセレスティアに苦笑しか思い浮かばない。

 交換ということは、首から下げられているものは本来はグウェンダルの指に嵌められるものなのだろう。
 ならば、なぜ交換しているのか。

 不思議そうに指輪を見つめる有利の視線に気づいたのか、セレスティアはそっと手のひらに指輪を掬う。
 小さな手のひらに乗ると、指輪の大きさの不釣り合いさが目立つ。何の変哲もない、飾りがないシンプルな銀色の指輪。裏側に何か彫ってあるようだが、有利からは読み取れない。

「誓いなんです。二人の」

 そう言って浮かべられた微笑みは、どこか神聖さを纏っていて(魔族なのに)。有利は笑みを浮かべて「そっか」と言った。

「叶うといいね」




***

甘いのが書きたかったのにほのぼのとしたことに。グウェンもどこに……。

久しぶりに彼女です。
テリアーヌス・セレスティア
グウェンとアニシナの幼なじみでグウェンの婚約者。
結婚まで秒読みだったが、魔王の退位とか即位のごちゃごちゃで流れたまま。
現在はグウェンのあまりの忙しさに、セレスティアが落ち着いてからゆっくり。と言っているため、まったりとした婚約期中。

実は剣の腕と魔術の腕は眞魔国でもトップクラス。


描写する100のお題(追憶の苑)

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006:証 移り往く季節を君と

移り往く季節を君と

デフォルト名:朔夜

006:証




 するりと髪の隙間に指が通され、撫でられる。微かに風が起こされ首筋を撫でて去りゆく。
 頭皮を優しく浚っていく指先に思わずほうとため息をつく。
 髪につけられた椿の油の香りがふわりと香る。何時の間にか取り寄せられていたそれは、上機嫌なアシュヴィンとシャニから贈られたもので、朔夜は大切に使っている。

 軽く引っ張られる髪に声を上げそうになるのを堪える。

「できたぞ」

 声とともに肩を叩かれ、閉じていた瞼をあける。満足げに笑うアシュヴィンが使わなかったらしい髪飾りを手にしていた。

「どうだ、大分様になってきただろう?」
「ええ、ありがとうアシュ」

 鏡を覗くと、控えめに丁寧に結われた髪が映っている。

 毎朝の日課となった髪結い。
 下女の手を借りずに髪を結う朔夜の手つきに興味を覚えたアシュヴィンが朔夜の髪を結い、アシュヴィンの髪を朔夜が結う。
 朔夜の次はアシュヴィンの番であるため、朔夜は櫛を手に取り、夫の髪を梳いていく。
 癖毛のようで、引っかかることなく櫛が通るのは朔夜が毎日丁寧に櫛を通すからである。
 ふわふわと捕らえ所のない赤い髪はアシュヴィンのようである。

「……お前の髪を解くのも結うのも俺だけのものだからな」
「だからアシュの髪を説くのも結うのも私の特権?」
「ああ」

 大人びた皇の第二皇子の以外と子供っぽい独占欲は朔夜には心地よいものだった。

 ふわりと漂うアシュヴィンの香りに頬を薄く染めながら、髪を丁寧に編み込む。出来上がりを示す為に肩を軽く叩くと、肩越しにその手を掴まれた。

 指先に口づけが落とされ、アシュヴィンの頬へとあてられる。

「今日は昼過ぎに時間が空いているはずだ。……出雲にでも行くか」
「またサティに怒られてしまうわ」
「構わんさ。今はさほど大きな紛争も起こらん。ここ暫くお前との時間もなかったんだ。出雲に逃避行に赴くぐらい許されるだろう」

 手を取り返して、瞳を細めて不敵に笑うアシュヴィンに思わず笑う。

「一緒にサティとムドガラ将軍に怒られましょう。スーリヤ様なら庇ってくださるわ」
「卑怯だぞ。父上が庇うのはお前だけではないか。まあ、いいか。妻と父上が良好な関係なら文句は言わないさ」

 そう言いながらも、不満そうなアシュヴィンの背中に額をつけて、そっと腕を回す。一年も一緒に居れば彼の期限の直し方など分かり切っている。

「もうすぐ、出雲では雪解けよ。……楽しみね、アシュヴィン」




***


らぶらぶ夫婦でした。
描写する100のお題(追憶の苑)

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遙か4 005 :双子

移り往く季節を君と

005:双子


 あどけない笑みで呼ばれる名前は、私だけのもの。それがとても愛おしくて嬉しい。

「朔夜、明日はどうかしら?」
「はい。明日は狭井君(さいのきみ)とのお話は入っていませんから大丈夫です」
「よかった。あとは……」
「風早には私から伝えておきますね」
「ふふ、流石朔夜ね。じゃあ羽張彦達には私が伝えておくわ」

 細かい打ち合わせをしなくとも、互いが互いに望むことは分かり切っているためそれ以上は決めない。
 下手に会話をしていると采女に聞かれて、女王や狭井君に告げ口をされてしまえば計画は失敗してしまう。

 一月の一度の楽しみであるお忍びの散歩の計画である。一ノ姫が国政に足を踏み入れている現在では難しくなってきたが、それでも昔からの習慣は終わらせることが出来ない。


「明朝出発ですね。了解しました事。我々が一ノ姫のお供ならば、春ノ姫と二ノ姫が風早でよろしいので?」
「流石に風早とて、お二人をというのは荷が勝ちすぎるのでは?」

 恋仲の青年と星読みの青年に言われた一ノ姫は楽しげに笑みを零すと人差し指を唇の前に立てた。

「朔夜には葛城殿がつくわ、きっと。だから大丈夫」
「ああ、小さな兵を忘れていた。俺としたことが」
「ですが、もっと綿密に策を練らなくてよいのですか?察するに春ノ姫と打ち合わせる時間は」

 柊の言葉を遮ると一ノ姫は何もない虚空を見上げた。雲が陽を遮る今日だけれど明日は晴れるだろう。

「大丈夫よ。それにあまり言葉を重ねてしまうとあの方にバレてしまうわ。あなた達も尋ねないようにね」




 二ノ姫付きの彼に明日の子細を伝えると朔夜は同じ年の剣士を探していた。
 黒い濡れ羽のような髪と瞳を持つ鋭い少年は朔夜の数少ない友人である。言葉が少なく、鋭い物言いにあまりいい顔をされない彼だが、言葉を偽らず真っ直ぐな、まるで彼の太刀筋のような彼の性格は朔夜が好む一つである。

「忍人殿」
「っ春ノ姫、またこのような場所まで!」

 岩長姫の門下が集う修練場から離れた空き地は忍人がよく一人で鍛錬を行う場所である。

「忍人殿がそのように私を呼べば見つかってしまうわ」
「っ朔夜姫、なぜこのような場所に」

 楽しげに目を細めて、先を噤む朔夜から連想できたのか忍人の端正な顔に苦渋が浮かぶ。

「明朝ね」
「またですか!姫様方は立場が分かっておられない」
「あら、お言葉ですけど立場が分かっているからこうして信頼の置ける方々をお誘いしているのに」
「っ、だが俺はまだまだ未熟だ。姫様方の護衛には」

 相変わらずな忍人の言葉に朔夜は一息吐くとついと、寄せられた眉間に指先を押し当てた。
「私達はまだまだ未熟だからこそ、いつかは担う民の暮らしを知りたいの。私達が何を守るのか。……例えどのような既定伝承が待ち受けていたとしても先に備えなければ」
「朔夜姫……?」
「それに、たまの息抜きがなければ一ノ姫様が疲れてしまうわ。……ニノ姫も連れ出して差し上げたいの」

 忍人は言葉を噤むと、深く息を吐いて、柔らかく微笑んで朔夜の指を額から外した。

「明朝、参りましょう。……出掛け先の朔夜姫と一ノ姫とニノ姫は目が離せない。兄弟子達だけでは荷が勝ちすぎる」
「ふふ、ありがとう忍人殿」




「ということらしいから、明日はそっとしといてやってくれよ」
「分かっていますよ。どこに向かうかも予想済みですからね」
「二つ先の村で歌垣があるらしいからねぇ」
「それにしても、春ノ姫も、葛城の子息もあれではただの兄弟のよう」
「まあ仕方ないさ。あと3年でも経てば忍人がしっかりするだろうさ」
「だといいですけどね」


**

一ノ姫と朔夜が双子のようですよ。という話を書こうとして何を狂ったか忍人が出張りました。
羽張彦の口調が分かりません……。
移り往く~本編では
アシュヴィン×朔夜←忍人
の予定です。
過去話を捏造ブームです。
常世に移ってからのお話も色々書きたいのですけど……。


アシュヴィンの甘い話が読みたい!!
と思ってもあまり遙か4って多くないですよね。
自給自足します。

描写する100のお題(追憶の苑)

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遙か3 004 :妹

「虹の向こうに」
デフォルト名:春日綾音




 一つ違いの妹はほやほやとしていてとても可愛くて、自分が守ってあげなければといつも思っていた。そんな感情をはじめから持っていて、それが『庇護欲』というものだと知ったのはつい最近だけれど、そんな名前なんて知らなくても私は妹が大好きだ。

「お姉ちゃん」

 なにをしても、何をしようともふわりと優しい笑顔で私を呼んで後ろを一生懸命ついてくる姿を見るのが大好きで、「お姉ちゃんまって」とか「お姉ちゃんといっしょがいい」と言われることに優越感を抱いていた。
 この子は私が守らなくてはいけないんだという使命感。
 幼なじみの将臣君や譲君にはあまり懐いていない綾音が唯一懐いている存在。それが自分だったから。

 けれどいつからだろう。
 多分、私と将臣君が中学校に上がったときぐらいだろう。

 何でもお揃いで、双子みたいね。と言われていた私たちだったけど、綾音がそれを順にやめていくようになっていた。

「綾音が冷たいの。私何かしたかなぁ……」
「そりゃあ、この年になれば姉離れじゃねぇか? 譲だって、お兄ちゃんから兄さんなんて呼ぶようになったしな」

 気にするなと笑う将臣君は全く気にしていないようだったけれど、私はそういうものだと納得できないまま綾音が『姉離れ』していくのを寂しく感じながら、中学校生活を過ごしていった。そうして私と将臣君が同じ高校に行った冬。
 当たり前のように譲君と綾音も同じ高校に来ると思っていた。


 教室で友達と遅くまで話していて遅くなってしまった帰り道。暗くなった帰り道は一人では歩きたくなくて、図書館で勉強していると聞いていた綾音と一緒に帰ろうと図書館からの帰り道へと向かった時。


 駅の改札を出てくる桃色の髪を見つけて声をかけようと思った時、見慣れた姿を隣に見つけて思わず足が止まってしまった。

「綾音は望美の違って完全に文系型だな」
「そうかな。でも私もお姉ちゃんも数学は苦手だよ」
「いや、お前教えてる方が楽だな。あいつの数学的思考は理解できん」
「うーん、どっちかっていうとお姉ちゃんは直感的型だもんね。おみ君は理系的だよね。おおざっぱなのに理路整然としてるって変なのにおみ君なら納得」
「ま、俺のことはどうでもいいだろ?明日も同じ時間でいいのか?」
「おみ君が都合がいいならお願いします」


 頭を下げる綾音の髪を乱雑に撫でて笑う将臣君と綾音の姿は今まで見たことのないもので、驚いてしまった。
 去っていく背中が小さくなったのを見てあわてて追いかけていく。
 声をかける前に足音に将臣君がゆっくりと振り向く。

「綾音、学校帰り?」
「うん、おかえりお姉ちゃん」

 驚いているようだが、すぐさまふわりと笑う綾音にほっとして頭に手を押く。将臣君だけがずるい。ぐしゃくじゃにされていた髪をそっと整えて、綾音の手を握る。

 手を引かれてきょとんとしている綾音は、でもすぐにふわりと笑うと握り返してくる。そのことがうれしくて将臣君に優越感。

「二人でどこ行ってたの?」
「図書館で会ったんだよ。流石に一人で帰すのはまずいしな、帰り道一緒なんだしと思って一緒にな」
「うん」

「そっか」


 どうして将臣君がはぐらかすのかは分からないけど、言わないなら聞かれたくないんだろうなと思って納得する。

 でも、将臣君がお兄ちゃんみたいに綾音に構うのはなんだか納得がいかなかった。




***

勉強は暇さえあれば本ばかり読んでいた綾音の方が得意です。

ちょっと遠くの私立を綾音の説得を頼まれた将臣。

綾音の担任が将臣の元担任で、綾音母も、説得役に望美はむかないと判断して将臣にお願い。
明烏の中とは少し違うお姉ちゃんな望美でした。

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彩雲国 もしも君と幸せの憧憬

※もしも「青空の下で」の主人公と絳攸が恋仲となりめでたく結婚したらという設定です。
※未来ネタの子供ネタが苦手な方はスルーでお願いします。


デフォルト名:有紀



 大人の手の腕の中にすっぽりと収まる小さな体。指先を驚くほどの強さで握りしめる小さな細く頼りない手。

 小さくて、守らなければならないと胸の奥で自然と思う。

「小さいな」
「まだ幾日と経ってませんから」
「絳攸にも有紀にも似ていないな」
「そうか? 目元のあたりは有紀にとてもよく似ている」

 小さな寝台で穏やかな顔をして寝ている赤子を取り囲むようにして大人二人が覗き込んでいた。養父鳳珠と義父の黎深である。
 二人共に数日前に誕生した初孫の顔を見に来たのであるが、残念ながら夫君である絳攸は急な仕事で外出中である。よって鳳珠は仮面を外して心おきなく初孫の姿を堪能していた。

 赤子というのは見ていて飽きないものである。寝ていながら表情を次から次へと変えては見ているものの心を和ませる。
 祖父となった二人の整った顔はこれ以上ないほど弛みきっていて、流石の有紀も苦笑いを浮かべていた。

 邵可と百合より事前に黎深に気をつけろ(構い過ぎて泣かせたり、必要以上に物を買ってきたりとか)と言われていたがこの分では鳳珠も気をつけた方が良さそうである。
 おそるおそる赤子の頬を指で突っついてみたり、指を握られて驚いたりしている姿は「魔の戸部の戸部尚書」の姿からは程遠い。

「目を覚ましたぞ」
「……可愛いな。おじいちゃんだぞー」

 ああ、ついに鳳珠までもが。苦笑いを浮かべて有紀はお茶の準備をしていた席から離れた。目を覚ました赤子はきょろりきょろりとあたりを見渡すのに忙しい。自分をじっと見下ろす二つの視線をきょとんと見て、にこと笑い声を上げずに楽しげに手足を動かす。
 声もなく顔を弛ませる祖父二人に有紀はもう耐性がついたのか動じなかった。
 そっと抱き上げてゆらすと赤子はうれしそうに笑う。

「抱かれますか?」
「だ、だがまだ首が座っていないのだろう?」
「ふ、私は昔秀麗を抱いたことがある!」

 不敵な笑みと共に伸ばされた黎深の腕にそっと渡す。きちんと抱いたことを確認してからそっと腕を引いた。

「私がおじいちゃんだぞ!」
「……黎深、泣き出しそうだ」

 黎深に抱かれた子は不思議そうに祖父を眺めていたが、途端に足を踏ん張り全身で拒絶を露わにした。それに衝撃を受けた黎深は慌てるが、赤子はよけいに嫌がるだけだった。鳳珠は泣き出しそうだと思い、少し引き腰になるが子は二、三回抗議するように泣き声をあげるとまた足で抵抗した。

 有紀は笑って黎深から我が子を受け取ると、安心させるように抱き揺らした。落ち着き再び満足げに笑った子を今度は鳳珠に差し出すが、鳳珠は勢いよく首を横に振った。

「少し抱き方が気に入らないとああやって抗議するんです。黎深さまを嫌いなわけではないですよ」
「抗議?」
「はい。絳攸もまだ不安そうに抱くのでいつも抵抗されてます」

 だがここ数日でようやく大人しく抱かれるようになった。まじめな顔をして「どう不安なのか言わないと分からないだろう」と説いている絳攸はなんだか見ていて面白い物だった。有紀は落ち込んでいる黎深に笑いかける。

「黎深さまも馴れれば大丈夫です。また抱いてあげてください」
「……そこまで言うならまたやってやってもいい」

 有紀の腕の中でむずがりながら泣き声をあげない孫を見て鳳珠は自分が思い描く赤子と違うことに首をひねる。

「それにしてもあまり泣かないな」
「そうですね。でもちゃんと泣くときは泣いてますから大丈夫です。赤ちゃんは泣くのが仕事ですし」

 ねー。と笑いかけて指を差し出すときゅっと握られる。その光景に二人の顔が弛むが有紀は違うことを思った。


 気づけば彩雲国にやってきて、体は幼子になっていた。そんな有紀を鳳珠が拾い家族になってくれた。そして黎深と絳攸に出会い、たくさんの人に出会った。

 物語の主人公の様に幼なじみとなった絳攸と恋仲になって、結婚して。一人の子を生んで。
 新しい家族に、日々楽しく過ごしている。
 言葉では言い表せない感情が胸にこみ上げてきて有紀は目を閉じた。

「鳳珠さま」
「どうした?」

 優しい養父。彼が有紀の帰る場所だった。今は絳攸の隣が有紀の居る場所だが、鳳珠は今でも有紀の帰る場所。

「わたしは、すごくしあわせです」




***

「絳攸と主人公の間に子供が産まれたら鳳珠と黎深はデレデレになるに違いないです!」
のメッセージから突発的に生まれました。テスト勉強はどうした!という心の声は無視しました。

確かに絶対にデレデレになります。間違いない!

実は先月に母の友人の娘さんが出産されて帰宅していたので遊びに行ったのですが、生後10日前後の男の子だったのがこんな感じでした。
私や姉が抱くと抱き方が気にくわないらしくて足で反発されした(笑)うちの母が抱くと、さすが子育て経験者。全くいやがられず赤ちゃんもきょとんとしてました。「おかあさんじゃない、けどだれ?」みたいな顔でした。

泣いても三回泣いて終わり。でもじっと見てると笑ったり顰めっ面になったりと。
そんな赤ちゃんを思い起こしながら。


さてさて、ここで問題が少し発生しました
・鳳珠の絳攸の呼び方は?
・子供の名前はどうする!!

「絳攸殿」とか考えたのですが、いまいちしっくりせず……。「李絳攸」もいまいち。「義息子殿」?

子供の名前は思いつかず性別もいまいち思いつかなかったので、明記しませんでした。
有紀、絳攸夫婦には何人子供ができるんでしょうか。うーん。
みなさんどう思われるか教えてください!
私的には定番ですが、有紀そっくりと男の子、絳攸そっくりの女の子みたいな感じです。
おっとりマイペースで、でもしっかりしてる兄と、きびきびとしたでもちょっと抜けた妹。みたいな?

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【TOS・TOA・彩雲国物語・遙か・十二国記など】の名前変換小説の小ネタを載せております。
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【十二国記】
 └雁州国王師右将軍
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【遙かなる時空の中で3】
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【明烏】
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【彩雲国物語】
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【コーセルテルの竜術士】
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【まるマ・ギュンター】
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【逆転裁判】
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