相互扶助に似ているのかも知れない
「ウィリス!」
呼ばれた女性は立ち止まって振り返った。先ほどウィリスの名を呼んだ者を待つ為だ
「ユリア、そんなに急がなくてもちゃんと待っているわよ」
走ってくる女性――ユリアを待つウィリスは苦笑した
走ってきた女性――ユリアは栗色の髪を手で直すと息を整えた。ウィリスはユリアが顔を上げるまで待っていた
「本当に行ってしまうの?」
顔を上げたユリアは寂しそうにウィリスの手を握り締めた。その手を固く握り返しながらウィリスは微笑んだ
「ええ。貴女が生きてこの国に根付くことを知ったのだもの……」
「そんなっ!折角会えたのにっ」
「ユリア…」
この女性は自分とは違い第七音素の扱いに長けていて、この惑星を救おうと力を尽くしてきた。だが彼女は惑星を救ったが自身も危険な目に合った。一時はもう二度会うことは叶わないとまで思った。けれど彼女の弟子が、彼女を陥れた彼が最後は彼女を救ったと聞く
だが結局自分は何もできなかったのだ。ウィリスはそう自嘲するとそっと手の力を抜いた。だがユリアは放そうとしないで固く、固く握る
「また、会いに来てくれるわよね?」
その言葉にウィリスは困ったように微笑んだ
「私には…貴女と会う資格はないわ」
「何故?貴女は私を待っていてくれた。苦しいときに支えてくれた。…それだけで私は嬉しかったわ」
「そんなこと…」
誰にでもできた。そう言おうとしたウィリスの言葉を遮るようにユリアは目くじらを立てて言った
「周りが私を特別な目で見る中、貴女……ウィリスだけが今までと同じ様に話して、扱ってくれたわ。そのことに私がどれだけ救われたか……」
「ユリア……」
「また、会いに来てくれるわよね?」
再度繰り返された問いにウィリスは、彼女の生まれ月である春を思わせる笑顔を浮かべた
「――…ええ。次は貴女の結婚式に会いましょう」
「っ! …もう!そういう貴女こそ『ウィリス・ラインハルト』から『ウィリス・フォルツォーネ』になってるんじゃないかしら?」
「多分、ユリア・フェンデになる方が早いと思うわよ」
そこで言葉を切ると二人は固く互いに手を握り合って笑った
「さよならは言わないわよ?」
「ええ。また会いましょう」
――…こうして。数年間、一人の学者を師として仰ぎ、共に学び合った二人はまた別れた。
…次の再会の約束をして…。
一人は生まれ故郷に。
一人は大国の街に。
***
やってしまいました(汗)
だっ、だって創世歴って魅力が一杯ですよっ
そしてまたオリジナルキャラが増えてしまいました…
『ウィリス・ラインハルト』
解る方は解るかも知れません…ラシュディさんのご先祖様です(やっちゃった)
彼女の設定もたんまりあります。といいますか作ってしまいました…
一応第七音素は使えますがそれよりも譜術士の方が才能あったみたいです
私の中のユリア様ってこんな感じ。おしとやか、でも活発。けれど常人扱いしてもらえないことに疎外感を感じていた…。
うーん。月並。
そのうちまた書くかもしれません(苦笑)
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