彼の口癖は勘に触る
「はい、これで大丈夫ですよ」
傷口へとかざしていた手から優しい光りが消えた
腕に傷を負っていた女性はほっと安堵のため息を吐いた
「傷口は塞がっていますが治癒力を損ねない為に軽くしかしていません」
言葉と共に傷口に消毒など諸々を処置し包帯を巻く。そして立ち上がるととろけるような笑みを浮かべて手を差し出した
女性はほうけたようにその手に掴まり、起こしてもらう
「暫くはこちらの手で重たいものは持たないようにしてくださいね?」
「………はい。ありがとうございました」
「港まででしたらお見送り致しますが?」
ニコリと微笑むと女性は顔を真っ赤にして首を振った
「ありがとうこざいます。ですがお気持ちだけ受けとらせていただきます」
もう一度礼を言い、頭を下げながら女性は巡礼の道を歩いて行った
それを笑顔で見送るとさっと後ろを振り向き爽やかに笑った
「さあ、アッシュ。治療するから腕を出せ」
「このっ、えこひいき野郎が!」
その罵倒にアディシェスは眉をひそめた
「その罵りは頂けないわ。だって私は『野郎』じゃないもの。…どうしよっかな~?グミは全て私の手の中。アッシュは治癒術は使えない」
「………悪かった。……頼む」
白旗を不機嫌顔で上げたアッシュはソッポを向いた。その様子がおかしくてアディシェスは屈み込んで手のひらをかざして小さく詠唱をはじめた
そっぽを向きながらもアッシュは耳に入ってくるアディシェスの朗々と紡がれる言葉を聞いて目を閉じた
(声はいいんだから、音律士にでもなりゃいいのに)
「――…ハートレスサークル」
第七音素と第二音素が手を結びアッシュとアディシェスの周りに陣を作る
アッシュは静かに傷が癒えていくのを感じた
「……ありがとう」
「どういたしまして。――…じゃあ戻ろうか」
「……ああ」
先に立ち上がったアッシュに手を貸され起こしてもらったアディシェスは肩を軽く回した
何故か部隊が違う二人が戦闘になると決まってアディシェスは後衛に回り、アッシュが前衛に回る
なので怪我はアッシュの方が圧倒的に酷いのだが致命傷や重傷でない限りアディシェスはアッシュの回復は後回しにする。それは彼が自分で後で良いと言うからである
「あーあ。私転属届けでも出そうかしら?」
「何故だ?」
「アッシュとの方がやりやすいもの」
「………」
「だから第一師団に」
アッシュの部隊は特務師団である
「…ラルゴか」
「お父さんみたいよね~面倒見も良いし~」
「……」
「……あっさん、妬いてる?」
話さなくなったアッシュにからかうようにアディシェスは肩を軽く叩いた
「ばっ!屑が!んな訳あるか!!あっさん呼ぶなっつってんだろうが!」
「………ていっ」
屑といわれてむかついたアディシェスは先ほど傷を受けていたアッシュの腕を強く握った
***
ダアト港からの帰り道を偶然一緒になった二人が通りがかった所で女性が魔物に襲われていたという設定(らしい)
戦闘時のコンビネーションは抜群らしいです
気付くとシンクは名前のみ
多分このこは大佐とはソリが合わないと思われます
所謂同族嫌悪
何が書きたかったのか意味不明で終わりました(いつものこと)
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