何気なく100のお題
001 約束(教団主・被験者イオン)
目が合い、一言二言交わしただけで互いの性質を見抜いてしまった。
そして何回か隠れて遊ぶうちに、互いに背中を預けてもいいような、そんな心地良さが生まれた。
「僕のことは呼び捨てにしろ」
ある日彼は居丈高にそう告げた。だから、彼女もこう答えた。
「では、私のことも同じくお願いします」
「敬語はなしだよ」
「はーい」
その日から、互いに遠慮のない会話が繰り広げられる。
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002 いつもの(軍人主・上司二人)
「ラシュディ」
機嫌が良さそうな声だけで、何が欲しいのかわかってしまう。
それほど彼の方は頻繁に訪れるのだ。
間もなく彼女の上司で、目の前の人物の幼馴染もやってくるだろう。
ラシュディはそれに備えて、三人分の準備を始めた。
「まったく・・・。またここですか?」
ほら、これでいつもの・・・・・・。
「陛下、大佐。お茶になさいませんか?」
飛びきりの微笑みでお茶請けを見せると、二人はそれぞれの表情で頷いた。
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003 てのひらから(旅主・コレット)
何かあると、つい彼女の元に向かってしまう。
それは、苦しいことだったり悲しいことだったりと、様々だ。
「どうかした、コレット?」
暖かい全てに平等の微笑みを浮かべて、そう尋ねる。それはいつもの光景。彼女は誰にでもそう接する。
「・・・・・・なんでもないです」
そう、俯いて静かに言うと、頭上で彼女はふっと笑ったようだった。
けれど、何も言わずに立ち尽くすと肩に優しい手が置かれる。そして小さな力でそっと引かれる。
力の動きに任せて体から力を抜くと、彼女の胸に抱き寄せられた。
・・・暖かい。
そっと一本の手が肩を回り、もう一つの手がそっと柔らかな金色の髪を梳る。
その心地よさにそっと目を閉じて、おずおずと背中に手を回す。
また頭上で静かに笑う気配がした。
「・・・・・・大丈夫だよ、コレット」
何が起こったのか、追究せずに優しく髪を梳く。
肩に回された手は暖かく、心が落ち着いていく。
何かの魔法のように。
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004 例のごとく(アゲハ蝶・ピオニー)
「わぁっ!?」
集中していると、必ずと言っていい程に誰かに後ろから抱きつかれる。
驚かされたのを責めるように恨みがましい目つきで横を向くと、そこには悪戯が成功したような笑みを浮かべるピオニーが。
「もうっ! ピオ!!」
「エミリアはいつも驚くなぁ」
「うるさいなぁ! いつも集中しているときにやってくるんじゃない!」
「怒鳴るなって。可愛い顔が台無しだぜ?」
「っ・・・・・・そういってからかうのはやめてよね」
ぷいと、顔を逸らしてまた手元に集中する。
首周りに回されていた手に力がこもり、彼が構って欲しげにまた何かを言い出すのは時間の問題。
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005 寝起き(企画主・ロイド)
「姉貴?」
「ん~・・・?」
肩をゆすっても姉は反応を返すだけ。実は寝起きがいいと思われがちの姉は寝起きはかなりぼんやりしている。
今もこうして起き上がることには起き上がるが、焦点はあっていない。
「姉貴、起きろって」
旅の合間の朝はきちんと早めに起きる姉。
だが、今日は宿に泊まり疲れたからと言って夕食前に昼寝をしていた。
当然のように起こす役目は弟のロイドに回ってきた。
「姉貴」
「・・・ん~・・・。ロイドぉ?」
「ああ、そうだよ。夕食だってさ、ほら。起きろって」
「んー・・・わかった」
姉がきちんと意識をはっきりさせるまで、後30秒。
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とりあえず、短いのを色々書いてみたくなったので、こういうのをやってみます。
目指せ! お題コンプリート!・・・できるかなぁ。
まあ、ぼちぼち応援してください。
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