何気なく100のお題
011 子供扱い(軍人主・アニス)
髪を優しく撫でられると子どもの頃を思い出す。いまでも子どもだと言われそうだが、自分はもう立派な大人だ。
そう不満を込めて髪を梳く人物を見上げても彼女は優しく微笑むだけ。
この笑顔に、
「アニス」
この優しい声に、温かい手自分は弱い。
そっと髪を梳かれる心地良さに目を閉じれば、嫌なことを全て忘れることができる気がする。
「アニス、大丈夫か?」
心配そうなガイの声が聞こえる。そうだ自分は戦闘中に倒れた。ラシュディの手にそっと手を伸ばし、気丈に振る舞う。
「子ども扱いしないで、中佐」
そう言うと、彼女は微笑んで言った。
「アニスはまだまだ子どもですよ」
**
012 待ち伏せ(教団主・被験者イオン)
「アディシェス」
呼ばれた声に振り向けば彼は悪戯っ子の様に笑って壁にもたれていた。普段、年の割に落ち着いた全てを諦めたような顔をする彼もこの時は年相応だ。
「なーに、イオン」
「アディシェスを待ってたんだ」
「私はあなたを探してたんだけど?」
イオンは楽しそうに笑うとアディシェスの手を取り歩き始めた。彼女もそれに従って歩く。
「どこ行くの?」
「秘密だよ」
**
013 単純明快(教団主・ディスト)
「なに、ディスト」
呼び止められ、嫌そうに振り返ると相手は愉快そうに笑っていた。
「私は響士ですよ。あなたに呼び捨てにされたくありませんね」
一体何の為に呼びとめたのやら。アディシェスは呆れそうになりながらも肩をすくめて笑った。とても小馬鹿にした笑い方で。
「それは残念でした。私もつい先日響士になったので」
「な、なんですってぇ~っ?!」
一人地団駄を踏むディストを無視して踵を返すと、後ろからわめき立てられた。
彼は単純なのにわかりにくい。それは何故だろう。
ふと答えに行き当たったのかアディシェスはポンと手を打った。
「馬鹿だからだ」
後ろから「なんですって~?!」と聞こえたが再度無視。
**
014 いいにおい(企画主・リーガル)
「おいしそ~」
本日の食事当番はリーガル。お貴族様なのに料理ができるという変わった彼。
両手に手枷がつけられていても気にしない。見事な包丁捌きであり。
傍らで手伝いをしながらセフィアは鍋の中を覗いた。
おいしそうなビーフシチューである。
「セフィアは何か好き嫌い等はあるか?」
「私?ロイドと違ってあんまりないよ」
「ロイドは……トマトが嫌いだったな」
頷くと彼の手は本日手に入れたばかりの新鮮なトマトに伸びた。
「好き嫌いはよくないからな」
「だよねっ!」
本日の食事。ビーフシチューとトマトサラダ+その他。さあ、逃げよ。弟よ。
**
015 職務質問(教団主・)
「アディシェスって今は第五師団だけど、前はどこだったの?」
烈風のシンク。彼の師団の副官で優秀で、そして師団長と犬猿の仲である彼女が数年前に移動してきたことは有名だ。
「なーに、アニス。尋問?」
「そうそう。素直に吐いちまいなよ。里のおっかさんが泣いてるぜぇ~?」
彼女は面白そうに笑い、手を横に振った。
「里のおっかさんなんかいないから」
「あ、あれ……?」
どう取り繕うか悩むと彼女は企みをたたえて微笑んだ。
「じゃあ今日はアニスのお家でご馳走になろうかな~?」
「……食材は持ってきってね?」
**
気付くと教団主ばかり増えていきます
……愛が傾いてます。
[0回]
PR