何気なく100のお題
006 落ちこぼれ(旅主・ロイド)
「アトラスってなんでもできるよな」
「そうでもないよ」
彼女はそう言って笑った。手元は剣を研いでいる。
「…私は一族でははみだし者だったからね」
「家族と仲はよかったんだろ?」
そういう話をクラトスから聞いた気がする。だがアトラスは笑みを深めた。
「仲は良かったと思うよ。でも私は彼等の願いとは正反対の方向へと歩んだんだ。……そして、置いていかれた」
そういってアトラスは立ち上がり、少し行ってくる。と言ってどこかへ行ってしまった。
その場でロイドはクラトスが来るまで悩み続けた。
**
007 生まれて初めての(アゲハ蝶・ジェイド)
「ジェイドって頭いいよなぁ~」
「……別に」
それはいつものことだった。子どもの癖に譜術が使えるとか、眼が気持ち悪いとかそんなのは影で言われていることは知っていた。
初めて彼女に会ったのはそんなことに慣れていたある日。
「人と話すときは目を見て話してよ!」
ただの欝陶しい世話好きの子だと思って顔を上げると見覚えのない色が目に飛び込んできた。
この辺りで彼女のように黒髪黒目の人なんかいなかったからすごく驚いた。
「……あ、驚いた?」
じっと見ていたのに気付いた彼女は面白そうにクスクスと笑った。
それが失礼な行為だと思い小さく謝ると彼女は首を振った。
「珍しいでしょう? でもちゃんと血の繋がった家族はあなたみたいにとても綺麗な金髪なのよ?」
「……君の髪もとても綺麗だと思うよ」
心から思ったことを小さく告げると彼女ははにかむように笑った。
それがとてもかわいくて……。
初めてそんな感情を抱いた時だった。
**
008 禁句(教団主・アッシュ)
「おい、少し聞いていいか」
「何を?」
「お前、何でシンクをそこまで毛嫌いする?」
その瞬間アッシュの眼の前に彼女の拳があった。
寸留めされたそれは全くもって気付く前に現れたので、当たっていたら不様にも後ろに吹き飛んでいただろう。アッシュの背中に嫌な汗が伝う。
彼女は感情の消えた顔で、地を這うような声で言った。
「そんなこと、アンタには関係ない」
二度と彼女にこの話をしてはならないと心底思った
**
009 忘れ物(軍人主・アニス)
「中佐のされてるピアスってすっご~く、綺麗ですよねぇ」
「ありがとうございます」
とてもシンプルな形のピアスは涼しげな色をしている。
「もしかして誰かからの贈り物ですかぁ?」
「そうですね。……贈り物ですが、少しだけ置いていかれたものでもあります」
そう言って苦笑するとアニスは首を傾げた。
わからなくていいのだ。…わからなくて。
**
010 やったもん勝ち(アゲハ蝶・ディスト)
店に来たのは久しぶりに会う幼なじみ。
雪の様に白かった髪は色を変えあんなに自信がなかった彼は何とも言い難い趣味の服を着ていた。
「久しぶり、サフィール」
「久しぶりですね、エミリア」
口調までジェイドに似せている。幾つになっても彼の追っかけ癖は変わらないようだ。
「実はエミリアに頼みたいことがあるのですよ」
「なにかしら」
微笑むと彼は切実な顔をして一枚の紙をエミリアに見せた。
そこに描かれていたのは可愛いような恐いような、猫のような、でも違うようなぬいぐるみの設計図。
音機関の設計図みたいに描かなくても、という言葉を飲み込んで目線だけで相手に続きを促す。
「私にぬいぐるみの作り方を教えな……教えて下さいませんかっ?!」
誰か説明をお願いします。
**
書きにくかったです……!
[0回]
PR