何気なく100のお題
066 たぶらかす(彩雲国・劉輝)(会話のみ)
「有紀、今晩も頼みたいのだ」
「畏まりまして」
「おやおや主上も隅に置けませんね」
「先程の言葉から下の根も渇かぬうちにその発言とは、馬鹿か?」
「む、何故だ? 余はまた有紀に寝物語を頼んだだけなのだ」
「寝物語、ですか? では是非私も混ぜていただきたいですね」
「いや、楸瑛は交えないように黄尚書に脅さ……頼まれているのだ」
「……流石。有能・変人・謎と三拍子と揃った方ですね」
「絳攸もどうだ? 有紀の郷里の話はなかなか面白いのだ。働き者の真面目なお爺さんは敬うのだぞ?」
「……ああ、そういう話なら俺も有紀から聞いたことがある。だろう?」
「ええ、小さい頃に。でも今日はそれとは違うかなり長い話にするつもりなの」
「むむ。余は難しい話は苦手なのだ」
「大丈夫ですよ主上。涙脆くて情に厚い一族の繁栄から滅亡までのお話です」
「おや、それは私も気になるな」
「…では、お仕事終わりの時にでもしますか?」
「それはいいのだ」
「では主上。頑張ってお室綺麗にしてくださいね?」
「うむ! 余にかかればこのくらい……絳攸、楸瑛。書翰がちと多すぎないか?」
「さあ主上。男に二言はありませんね?」
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067 にわか雨(十二国記・利広)
騎獣を連れて野木の下へと駆け込むと違う人間も走り込んでいた。
そしてそれは香寧もよく知る人物であった。
(久しぶりに会うな)
それは相手も同じであったらしい。人好きする笑みを浮かべ、濡れた髪を軽く後ろに払い片手を軽く上げた。
「やあ香寧。久しぶりだね」
「ああ、利広と直接会ったのは50年ぶりくらいだと思う」
「おや。そんなに経つかな?」
「奏の風来坊と、うちの主上はよく会うみたいだが、私とは向かう国の趣向が違うんだろうな」
香寧の言葉に彼は納得するように軽く頷いた。
腰の剣を外し地面に座ると互いの反対側の隣に騎獣を座らせ剣を地面に刺す。野木の下にいれば妖魔に襲われることはないが念のため。
急ぎ足に駆けていくときの流れの様に雨脚は早かった。
けれど、どこか緩やかであり落ち着きがあった。
「私は特に何も考えずに出歩くが利広は国の様子を見るのも兼ねているのだろう? ならば出逢う確率なんか私が範のお人に出逢うくらい低い」
「なんかすごい例えだけどわかりやすいね。でも君は氾王とは仲いいだろう?」
「主上が物凄い顔をして嫌がる」
その光景が容易に想像できて二人は苦笑した。
雨はまだあがらない。
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068 精神論(彩雲国・鳳珠)
「鳳珠様! あれほどきちんと休憩はお取りになって下さいと……!」
「すみません、有紀さん。私も再三申し上げたんですが、鳳珠が『後これを仕上げればお前の言うことに従おう』という言葉に簡単に騙されてしまいまして」
倒れて屋敷まで連れ戻された黄鳳珠を囲い、有紀は目を吊り上げて怒っていた。仕事人間の彼を休ませる為に甘味まで持たせたというのに彼は日頃の疲れが祟り、仕事が終わると同時に倒れたのだった。
鳳珠の補佐である景柚梨は有紀に日頃の愚痴を零す振りをして上司の不摂生をここぞとばかりに説教してもらうつもりでいた。
鳳珠が素直に言う事をきく(きかざるを得ない)有紀は年に数カ月はふらりと旅に出ていて貴陽にいないからである。
案の定、愚痴のような告げ口を言われた有紀は怒りをどこへやら段々哀しげな顔になり声はか細くなっていた。
途端に鳳珠は苦渋の表情を浮かべた。
「鳳珠様。いくらお体が丈夫と言えど無理をしいてはいけません。せめて四半刻だけでも体を休めて差し上げてください…。いくら気力があったとしても体がついていけなければ意味がありません!」
毎度の事ながら鳳珠がすぐに白旗を上げたのだった。
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069 ぬけがけ(コーセルテル・サータ?)
※デフォルト名:セレスティア
『きょうそうしよ!』
「いいよ。何をして?」
サータは笑むと後ろから紙飛行機を二つ取り出した。
『とばしっこ! どっちが長くとばせるか!』
「うーん。それなら私は君の力を借りないとできないんだけどな」
『なんで?』
「今日は術道具持ってないの」
そう言って彼女は遠くにいてハラハラしているマシェルにウインク(合図)を送った。
それの意図する所がわかったマシェルは頷いた。
「じゃあ、こうしようかサータ」
『?』
「今日は一つの飛行機を二人で飛ばそう。で、マシェルに褒められた方の勝ち」
『やる!』
「じゃあ紙飛行機は一つはアータにあげようか」
『うん!』
思いがけず術の練習をしたサータは勿論マシェルに褒められ、他の六竜にジト目で見られたのだった。
『今度はあたしもやるの!』
「え、タータも?」
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070 茜雲(彩雲国・龍蓮)
ピーひょろぴー
「夕焼けの調べ?」
「いや、少し違うのだが。うむ。だがそなたがそう言うのならば題はそれにしよう! 『夕焼けの調べ・心の姉を伴う編』の完成だ。よって夕餉には鍋を所望する。私は魚を獲ってくるのだ」
「じゃあ龍蓮に好評な石狩鍋ね」
別に天つ才の持ち主ではないのだが有紀は『藍龍蓮』と会話が成立し旅先でよく彼と遭遇していた。
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テイルズから離れてみるの巻。
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