双子が主人公ズ
兄:ロルフ・レイリアス
妹:フィリエ・レイリアス
**
闇の勢力が着々と力を伸ばす時。
偉大なる大魔法使いによって守られているホグワーツでは今日も今日とて生徒は勉学に励んでいた。
そんなある日の日曜日。
「そろそろ豆腐が無くなりそうね、ロルフ」
「そうだねぇ。味噌はまだ持つようだけど……」
双子でありながら兄はスリザリンに、妹はグリフィンドールに所属する変わった双子は庭で何かを広げて座っていた。
ぽかぽかと天気が良い日は外で食べるべきだという心情の二人は厨房で食事をもらうとリストを見ながら緑茶を啜っていた。
そんな時、庭を無表情で横切る人間がいた。
全身真っ黒で土毛色の顔にべとべととした黒髪。
双子の兄であるロルフと同じ寮生であるセブルス・スネイプその人であった。
不機嫌オーラをいつにも増して振り撒いている姿から察するに朝から『悪戯仕掛け人』を名乗るフィリエの(多分)友人達にやられたのだろう。
顔を見合わせた双子はにへらと笑うとロルフが杖を出した。
フィリエは杖を振りコップを一つ出し、緑茶を注いだ。
それを見届けるとロルフが杖を振りコップをふよふよと浮かせた。そしてそれをセブルスの目の前まで浮かせた。
突然目の前に現れたコップにも動じずにセブルスはそれを手に取ると辺りを見渡した。
彼に見えるように双子は手を振る。
セブルスは双子を見つけると少しの逡巡の後に足をそちらへと向けた。
「ハーイセブルス。おはよう?」
「……おはよう」
「朝ぶりだねセブルス。一緒にお茶しないかい?」
言葉を紡ぎながらセブルスの座るスペースを空ける。
彼は小さくため息を吐くと静かに靴を脱いでシートの上に座った。
セブルスの行動を満足そうに見るとフィリエは饅頭を取り出した。
「食べる? 今日のは甘さ控え目だよ?」
「……頂こう」
まぐまぐと饅頭を食べるセブルスを満足そうに見たロルフは再度リストへと目を落とした。隣に座るフィリエも額を突き合わせてリストを覗く。
「もういっそのことこっちで作っちゃう?」
「そうだなぁ…。でも水が違うしね」
「……何の話だ?」
「うん? 僕たちのエネルギー源の仕入れをどうしようかと思ってね。豆腐だったら頑張ってみれるんじゃないかな?」
食べ終え何気なく緑茶を啜るセブルスにロルフは適当に答えた。始め、緑茶を差し出してもスゴイ顔をして飲んでいたセブルスは今ではなに食わぬ顔で飲むようになっていた。
「湯豆腐作ったら豆腐がなくなっちゃってね」
「送ってもらう訳にも行かないからいっそのこと作ってしまおうかと思って」
「自分達で作れるものなのか?」
セブルスの言葉に二人は同時に同じような苦笑いを浮かべた。
「やっぱりきちんと調べてから作り始めるべきかな?」
「知りもしないで作ろうとしていたのか?」
「材料は大豆ってわかってるからなんとかなるとか思ってたよ」
「……君達は賢いのか賢くないのかわからない」
フィリエが勧める饅頭をセブルスはまた一つ手に取った。結構気に入ったらしい。
「じゃあやっぱり豆腐の自家生産は諦めて、今日の夕飯作ろっか」
「そうだねー、今日はおでんがいいな。セブルス食べる?」
向き合いあっていた双子が同時にセブルスを見た。彼は動じることなく小さく頷いた。
「……君達がいいなら、頂こう」
「よし、じゃあまず大根の調達だ」
「じゃあ僕は厨房で材料を揃えてもらって来るよ。前に頼んでおいたし」
立ち去るロルフを見送るとフィリエも饅頭をまぐまぐと食べ始めた。
「……ん? フィリエ」
「なーに?」
セブルスは思い当たったことを口にした。その内容にフィリエは目を大きく見開いた。
「そうね! その方法があったわ! ありがとうセブルス!」
彼女は羊皮紙を取り出すと何かを書き留め、杖で叩いて消した。
その方法はセブルスは知らないがロルフの手元に送ったのだろう。
『レシピと見本を渡せば屋敷しもべ妖精が作るのではないか?』
**
オチも何もなし!ただセブルスを出そうとして失敗作です。
[0回]
PR