TOS・TOA・彩雲国物語等の名前変換小説の小ネタを載せております。
感想・意見・質問ございましたら各記事のコメント、もしくはサイトにてどうぞ。
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鬱蒼と茂る緑は深く光を閉ざす。かすかな隙間から差し込む日は、さやさやと囁きあう木々の枝葉に揺れてまるで窓辺の光のようで。
自信の頭に伴って揺れる草木に彼はそろりと視線をやる。狭い視界には、季節を表す優しい色合いの組み合わせ。
視線を奥へとずらすと、趣を解する彼の旅の朋が季節の食材を使用した食事を用意していた。
彼女は、『龍蓮』を龍蓮として見て受け止める。たったそれだけのことをこともなく当たり前のようにしてみせた。
同じく風流を愛し、自然を愛し、すべてを哀する。ありのままに受け入れて、拒絶はしない。追いかけもしないが追い払いもしない。
彼にはそれで十分であった。
彼女の名前は有紀。彼にとってはそれ以上でも以下でもない。また、彼女にとって彼は龍蓮であり、それ以外にはなり得ない。
じっと見ていると、視線が気になったのか(彼女ははじめから見られていることに気づいている)
「龍蓮、もう少し待ってね」
「うむ。『秋、特盛り』ならばいつまででも待っているぞ」
彼女は龍蓮の知らない音を知っていて、龍蓮の知らない風流を知っている。龍蓮の知らない食べ物、文化、言葉を知っている。
けれど、そんなことはやはりどうでもいいのだ。
彼女の前では、『藍龍蓮』はただの『龍蓮』で居られる。
「我が朋よ、私に何かすることはあるか?」
「ん? じゃあ、食卓の準備をして貰おうかな?」
「承知した。自然の中に置いて、風流で趣ある食卓を準備してしんぜよう!」
愚兄ならば顔をしかめる言葉にも、彼女は心から微笑んで。
「ありがとう。よし、じゃあ見劣りしないものを作らないとね」
そのほほえみがあるだけで、龍蓮は彼女の隣に立っていられるのだ。
常人のように、静かに息を吸って。空が青いと言える。
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久しぶりにこのコンビです。
龍蓮語が難しいです……。
これぐらい短いのなら、早いスパンで書けるんですけどね~。
サイトにあげるのにこの長さはどうよ?といったところです。
このお題も残り一つ……!!!
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
[1回]
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※このお話は『青空の下で』のヒロインと絳攸が?%E:39%#、関係になり目出度く結婚したら、というお話です。
とりあえず書きたくなったら書いていく感じでシリーズタイトルは『もしも君と』(仮)です。
本編がその方向に行く可能性は大ですが(遠い未来話を進めていってそのような要望が多ければ)サイトの方へ移動する予定は未定です。
朝の光景
何度春を言祝いだだろうか。
柔らかな日差しに目を細め新たな生命の芽吹きに感謝の念を捧げたか。
華燭の典、という程のものではないが、この春に有紀は幼なじみである李絳攸と婚礼の儀を行い、絳攸の元へと嫁いだ。
婚約まで漕ぎ着けた際、大多数の周囲からは「やっとか」と大いに呆れられ同時に祝福された。
婚礼の際には多くの知人達に祝福され、何度も嬉し涙が零れた。それを養父が寂しげに笑い、微笑んだ絳攸がそっと滴を拭った。
養父からは周囲の予想とは違い反対の声は一切上がらなかった。ただ麗しい顔を、色々な感情によって歪ませながら『お前が決めたことなら、私は反対はしない』と一言。
最後に付け加えるように寂しげな笑みを作り『しあわせに』と。
その反応に周りは驚いていたが有紀は予想していたとおりであった為に、淋しさを抱えてこれまでの時を過ごしてきた。
紅家の屋敷で同居を主張した黎深一人の反対を押し切り(他の人間は別居に賛成なのに黎深に手こずったのは流石黎深というべきか)同じ敷地内に屋敷を構え、そこを新居とした。
風が梅の香を薫らす。爽やかな香が鼻孔をくすぐり、晴れやかな笑みが浮かぶ。
やはり梅は紅梅が一番好きだと、思い目を閉じて薫りを楽しむ。
「有紀」
呼ばれた名に振り返ると、夫となった人物が寝起きの姿のまま立っていた。手には肩布がかけられている。
「絳攸、おはよう」
「ああ……おはよう。ではなくて、さっさとこっちに来い」
「うん?」
ため息を吐いて苦笑する彼の目の前に立つ。首を傾げながら見上げると、ふわりと優しい温もりに包まれた。
手に持っていた肩布は有紀にかけるつもりだったらしい。
「暖かくなったとはいえ朝はまだ寒い。薄着のまま出歩くな、せめて何か羽織れ」
出歩くなとは言わない優しさに有紀は肩布を握りしめほわりと微笑んだ。
幼さを残す昔から見慣れた笑みに絳攸の表情にも軟らかさが浮き立つ。
「ごめんなさい。でも絳攸も何か羽織らないと」
「俺は寒くないからいいんだ。なにを見ていたんだ?」
「ん、あれ」
指さす先に梅が綻ぶのを見て、絳攸はやはり年を重ねてもこの幼なじみであり妻となった彼女は変わらないのだなと再認識した。
昔から、季節に疎かった絳攸にその都度変わり目の訪いを報せてくれた。
「ああ、数日後には満開だな」
「劉輝様にも教えて差し上げてね」
「あの方は既に知っているだろう」
「それでも」
婚姻と共に後宮女官を辞した有紀は遠く離れても、懐かれていた友人への心遣いは忘れない。
無言で見上げてくる妻に根負けした絳攸が頷くと、妻は嬉しそうに顔を綻ばせた。
その笑みは、今は絳攸の為に向けられる。
「旦那様、御方様。朝餉の支度が整いました」
家人の声に二人顔を見合わせて頷き合うと、自然な動きで手と手を取り合い屋敷へと踵を返した。
****
こんな感じの新婚夫婦です。
甘い?のか。
きっと朝餉の席には黎深と百合姫がいることでしょう。
こんな感じの話でよければ読みたい方いらっしゃいましたらご一報いただければ調子に乗ってまた何か書きますが(笑)
[8回]
ふと、北風が吹く季節になったのだと気がついた。
熱さを孕んだ風は形を潜め、肌寒さを感じさせる冷たい風が吹き下りる。
食卓に並ぶものは湯気が立ち上るものが増え、羽織る服装もだんだんと分厚いものに変わっていく。
そろそろ毛糸で暖かな防寒具を編んでもいい頃合いだろう。
そこまで思い至りそういえば、と有紀は記憶の引き出しを引っ張り出した。
随分前に旅先で購入したものがどこかにあった気がする。
読みかけの本を机に置いて有紀はがさがさと部屋を探し始めた。瞬く間に家人が飛んできて、共に捜索を開始した。
「なんだ、絳攸。その布っきれは」
珍しく自邸で迷子になっていない義息を見つけた黎深はその腕にかかっているものを見て目を潜めた。
そもそも今日は朝からどこかに出ていた気がしたが、そこで買ってきたのだろうか。
「れ、黎深様。今日は百合姫様はどちらに……?」
「百合か? どこかの室にいるだろう」
その返答に絳攸はあからさまにホッとしたようだった。その様子に眉根を寄せる。
何か面白くない。
「で、そのちんけな布はどうしたというんだ絳攸」
「あ、ええ。その…有紀に会ってきたのですが」
「知っている。其れがなんだ」
どう言ったものかと悩んで絳攸が言葉に詰まる。
そもそもなぜ自分の行動を把握しているのか。いや、それは黎深だから置いておくとして。
素直に言ったとしてもこの方に通じるだろうかと。
あからさまにいらいらし始めた黎深にびくつきながら絳攸は心の中で幼なじみに助けを求めた。
(だから自分で渡してくれと言っただろう!!)
「何やってんの? 廊下で立ってると寒いでしょう」
痺れを切らした黎深がそっぽを向いたその瞬間に、百合姫が天の助けとばかりに現れた。
自分が居る室内に招く仕草をする百合に素直に従う黎深を見送り、絳攸はほっと息を吐いた。
「絳攸、それなんだい?」
「あ、有紀に今日渡されたんです。『これから寒くなるから、よければ』と。百合姫様と黎深様の分も預かってきました」
「わ、膝掛けだね。黎深。ほら、黎深。拗ねてないで受け取りなよ。有紀さんが君のために編んでくれたんだから」
絳攸から自分と夫の分を受け取ると、百合姫は室内にいる黎深に手渡した。案外素直に受け取ることを意外に思いながら自分の手にあるものをじっくりと触った。
「変わった依り方がしてある糸だね。市場に出回っていない奴かな?」
「どうせまた放浪しているときにでも見つけたんだろう。……まあ、悪くない作りだから使ってやる」
不遜な言い方だが頬は緩んでいる。そんな黎深に若干頬をひきつらせながら百合姫は絳攸に向き直る。やはり浮かべた笑顔はひきつっている。
「絳攸からお礼を言っておいてもらえるかな? 君も貰ったようだし、後でお礼を用意しようか」
「はい」
内心どうしてみんなして自分に頼むのだと思いながら、絳攸は頷いた。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
不完全燃焼!!しばらくアウトプットはお休みかな。
[0回]
すべてを、洗い流す。すべてに、恵みをもたらす。
「わー、降ってきたっ」
ふらふらと貴陽を出歩いてきた有紀は久しぶりに一人でウィンドウショッピングという名の冷やかしを楽しんでいたところで、夕立に降られた。
とっさに肩布を頭に掛けてどこか雨宿りの場所を探すが、見渡せる範囲にある店の軒先は雨宿り客で一杯だった。
割り入る隙間がないわけではないが、夕立な訳だしこのままでもいいかと自己完結した時。有紀に降り注ぐ雨が消え去った。
「え?」
「そのまま帰ったら風邪ひきますよ?」
聞き慣れた耳障りの良い声に振り返ると、眉目秀麗な青年が呆れを含ませた笑顔で有紀に傘をさして気配なく後ろに立っていた。
見知らぬ人がいれば話しかけるのをためらう類の美形ではあったが、有紀は顔見知りだったために柔和な笑みで見上げた。
「静蘭、久しぶり」
「ええ、お久しぶりです。有紀さんはまた散歩ですか?」
「うん。静蘭は……」
彼の空いている手をみると買い物籠が見えた。まだ何も入っていないところをみると今から買い物だろうか。
有紀の考えを読んだかのように、静蘭は「そうですよ」と微笑んだ。
「お嬢様は今日はアチラで帳簿付けをされてくるらしいので私が」
「あー…。胡蝶さんは秀麗ちゃんが大好きだからね」
貴陽一の女郎で帳簿付けの賃仕事をしている秀麗の姿と、そこを取り仕切る伎女の姿を思い起こし、有紀は苦笑を浮かべた。
たまに有紀も頼まれて手伝いに行くが、秀麗はそこにつとめる者達に大切にされている。
「有紀さんも今夜はご一緒にどうですか?」
「え、いいの?」
「ええ。お嬢様も旦那様も喜ばれます」
嘘偽りない笑みで静蘭は言った。客が一人増えると食費を圧迫するが、そんなことよりも人を招いて食卓を囲むことの方を大切にするのだ。
しかし静蘭も他の客ならば、少し難色を示す。けれど、この知己の少女は別だった。自分のそんな気持ちに少し驚きつつも、すんなりと受け入れてしまう。
「じゃあ、お呼ばれさせていただこうかな」
「ええ、是非」
「そうだ! この間旅先で食べたのが美味しかったから、みんなに食べて貰いたいな」
「それはとても楽しみですね」
傘の中でそんな話をしていると、次第に雨足も弱くなり、雲の隙間から陽光が差し込み始めた。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
静蘭が自分から食事に招待する希有な人物です。
[1回]
稀に、とても故郷が恋しくなるときがある。
もう二度とその場所に行けないと、触れることは叶わないのだと分かってはいるのに。
否、分かっているからこそ。とても恋しくて、そして現実に悲しくなるのだ。
不意に耳が拾った旋律に燕青は首を傾げた。同じくその音を拾ったのは燕青だけでなく、室内にいる者達全員だった。
なんとなく心が掻き毟られるような焦燥と、望郷感が胸を満たし大体の官吏が切なそうに目頭を押さえていた。
だが、心に深く蓋をしている燕青は懐かしくて暖かい思い出を思い返しただ笑った。
「なあ、悠舜。これって誰が弾いているんだろうな」
徐々に穏やかになっていく二胡の音。旋律も、心をかき乱すものではなくて、穏やかに凪ぐ湖面のようになっていた。
右腕ともいえる年上の官吏を見ると、彼はじっと二胡の音に耳を傾けていたがやがて燕青を見ると。
「有紀さんですよ。……とても寂しいみたいですね」
「寂しい? ……ああ、俺には良くわかんねぇけどそうなんかな」
「寂しい、悲しい。色々な切ない感情を持て余しているのでしょうね」
そういって悲しげな瞳を伏せた。
「…悠舜、ちょっくら行ってくるわ」
「はい、行ってらっしゃい。お昼までには帰ってきてくださいね」
「りょーかい」
深く明るく笑う彼につられてあの寂しげな娘が笑ってくれるのを期待して悠舜は笑んだ。
(不思議な言葉でいくつかのお題2)
ちっとも本編が進まないので…
たまにはこんな短いのもいいかなぁと
[1回]