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小ネタ日記

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薄桜鬼現 代パロ 019 :きょうだい


※薄桜鬼現代パロディで永倉と義兄妹設定の家族夢になります。

デフォルト名:皆川 恵実(みながわ えみ)





 突然ですが、お兄ちゃんが出来ました。



 母は女手一つで私を育ててくれた。暮らしは楽ではなかったけれど、たくさん愛情も注いで貰ったし、たくさんの幸せもくれた。たくさんの思い出も。

 私ももうすぐ中学を卒業するからお母さんももっと自由に生きて欲しい。卒業後の進路を相談した時にそのことをしっかりきっぱり伝えた。


 そんなことがあった春からひとつ季節が移ろった、高校受験を控えた夏休みの直前。



「恵実。お母さん、再婚しようと思うんだ」

 母から突然カミングアウトされた。しかも相手の人には私よりも年が上の男の子がいるらしい。

 私の返答にドキドキしているらしい母親の仕草に微笑みながら、私は小さく頷いた。

「お母さんが幸せになれる人なら」
「恵実ちゃんも一緒に幸せになれる人よ」
「なら、私は反対しないよ」

 ほんわりと嬉しそうな笑みを浮かべた母は、今からとても幸せそうで。苦労を表に出さないで頑張っていた母のその笑顔を浮かばせてくれた『お父さん』にとても会ってみたくなった。




「君が恵実ちゃんかな? はじめまして、永倉です。こちらが息子の新八」

 よろしくね、と握手をした『お父さん』はとてもハンサムで、母は面食いだったことが新たに発覚した。物腰も優しくて、とても気を使ってくれる人で何より母と微笑み合う姿がとても優しくて。




 そして夏休み前のテストが終わった日に新しい家に引っ越した。

 引っ越しといっても私も母も荷物はそこまで多くない。お父さん達もそこまで多くないからすぐに片付いてしまう量だった。
 ただ私は学校の教科書とかが入っている段ボールが重たくて二階に運ぶ為に階段の前で気合いをいれていた。

「よし!」

 腕捲りをして準備万端な体勢を整えて段ボールを担ぐ。若干重心がぐらついてふらつくけれど耐えられない程ではないからゆっくりと一歩一歩歩いていく。
 階段は短くはないけれど長くもない。だから一段ずつゆっくりと登れば踏み外す心配はない、筈。


「あ、おいおい。俺を呼べって言ったろ?」


 一段登ろうとした時、簡単に段ボールを持ち上げられた。私には頑張らないと持ち上がらないものが軽々と持ち上げられるのは彼しかいない。

「新八さん。えっとその……」
「遠慮はいらねぇって。これは部屋でいいんだな」

 私の答えをきかずに彼は段ボールを持っているとは思えない足取りで階段を登っていく。慌てて着いていくと彼は部屋の中で既に待っていた。早い。

「ここでいいか?」

「はい、ありがとうございます」
「いいっていいって。また重てぇ荷物があったら遠慮しねぇで言うんだぞ? 俺がちょちょいのちょいで運んでやるからな」

 にっと歯を見せて笑う姿は格好いいけど何故か爽やか系ではない。そのことが少し面白い。笑いを堪えながら頷くと満足そうにして彼は部屋を出ていった。

 彼は、私のお兄ちゃん、永倉新八は今年の春から高校の先生で働いているらしい。新社会人というやつだ。
 お仕事で忙しいと思われるのに、貴重な休日を使わせるのはとても申し訳なかったけど、体力は有り余っているとの自己申告により肉体労働を主に担当するということで合意されている。

 一人っ子だったからずっと兄とか姉が羨ましかった。
 だから突然出来たお兄ちゃんが凄く嬉しい。しかも格好いいし。
 『お兄ちゃん』って呼びたいけど、まだ少し勇気が足りないようで無難に『新八さん』としか呼べていない。

 急ぐつもりはないけど、いつか身構えないで自然とお兄ちゃんって呼べるようになりたいな、と思う。

 とりあえず、片付けをするにもまだ部屋に収納があまりないからお昼を食べ終えたら皆でお買い物に行く予定。お父さんとお母さんは書類とかの何かでまだ戻ってきていない。

 時計を見ると単短針が12時に近くなってた。
 お昼ご飯を作らないと、お昼なしになってしまう。だがしかし、台所用品は準備があっただろうか……。
 両親に電話で聞けば分かる筈だが、それより先に自分で見た方が早い気もする。分からなければ、兄に聞けばいいだろう。

 結論付けて一階に降りると、台所に既に人影があった。
 今家のなかにいる人物は自分と兄しかいない。

「新八さん……?」

 声をかけると彼は手に巨大なフライパン(中華鍋?)を握り締めて振り返った。

「おう、恵実ちゃん。今から昼飯作るんだけどよ、何か好き嫌いあるか?」
「大丈夫です」
「よし、好き嫌いがないことはいいことだ! ちょっと待ってくれな」

 にかっと笑うと手際よく何かを切り始める。

 誰かが台所に立つ姿を見るのはとても久しぶりな気がする。
 母と二人で住んでいた時は私がいつも食事を作っていたから、何だか新鮮だ。

 静かに弾む心に少し浮かれながら何か手伝うことはないかと、台所に回り込む。
 置いてあるのは、焼きそばの麺と、お肉と調味料。

 ……野菜は?

 鼻唄混じりにお肉を切っていく背中を見て、くすりと笑ってしまった。

「お兄ちゃん、野菜は?」
「おっとすまねぇ! えっと……ん? い、今恵実ちゃん……?!」
「キャベツと、人参と、んーと……」

 中身があまり入っていない冷蔵庫から適当に野菜を出していく。条件反射なのか、素直に受け取っていく兄はとりあえず野菜をざくざく切っていく。

 それにしても二人分にしては多くて、四人分にしてはちょっと少ない分量だけど、何人分作るのだろうか。でもお兄ちゃんはたくさん食べそうだからいいのかもしれない。

「っと恵実ちゃん、皿を出してもらっていいかい?」
「はい。二枚でいいですか?」
「おう。頼むな!」

 お肉を焼き始める音がして、食欲をそそる臭いもし始めた。
 台所から料理を作る音が聞こえるのが、こんなにも心が弾むのだということをはじめて知った。

 机の上を食事が出来るように片付けながら準備を整えていく。
 鼻唄が聞こえてくる台所を振り返ると私が出したお皿の上につけ分けていた。片方は山盛、もう片方は特大な山盛。もしかしなくても山盛は私の分だろうか。

「恵実ちゃん、これぐらいで足りるか?」
「……それの半分で」
「えっマジか! たくさん食べねぇとでっかくなれねえぞ?」

 心底不思議そうにしている姿はとても面白くて、片手に中華鍋で悩んでいくのがなんだか可愛かった。私の分の山盛を自分の分のお皿に乗せているけれど、あんなに食べれるのかと感心してしまう。

「美味しそう!」
「だろう? 俺の腕もなかなかなもんだぜ?」
「ねえ、新八さん」
「ん? やっぱり大盛にするかい?」

「お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」

 目をぱちぱちと何度も瞬き、そして彼はにかっと満面の笑みを浮かべた。

「おう!」



 私、皆川恵実は今日から永倉恵実になります!



***


ツイッターでお世話になっているにあさんとスカイプでお話している最中にお聞きした、薄桜鬼の永倉との義兄妹話です。

引っ越し当日のお話書きたいなぁと思ってたら、なんだかネタが降ってきたので、勝手に設定をお借りしてしまいました。

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